7回まで投げた右腕に指揮官が賛辞
マリーンズがホークスに7-3で快勝。1970年シーズン以来、50年ぶりとなる「8月の単独首位」に立った。
2試合連続で延長戦を戦っていた中、この日も相手の投手陣に対して打線が8イニングで合計212球を投げさせるという粘りの攻撃。14安打・7得点を奪ったことも、もちろん勝因のひとつではあるが、何よりも大きかったのは、先発・石川歩が長いイニングを投げたことだろう。
井口資仁監督は「先発が6~7回投げてくれると、中も楽ですし、今日もハーマンを含めて連投できない投手が何人かいた。4点差で益田も温存できた。石川がしっかりとイニングを放ってくれました」と、奮闘を讃えている。
上でも触れたように、連日の延長戦からのこの試合。勝ちパターンで登板することの多い唐川侑己とフランク・ハーマンが連投中というなか、守護神の益田直也も初戦・2戦目と連投していた。
勝っている展開で先発が5回~6回で降板となれば、今季は3連投しているリリーフ陣が誰もいないなかで、“勝ちパターン”の継投が難しくなっていくことが予想された。
そのなかで、石川が7回を105球、4安打、3奪三振で3失点に抑えたことは、チームにとっても価値のある投球だった。
好救援を見せた若き右腕
また、石川が7回まで投げたことに加え、後を受けた東妻勇輔と小野郁といった若手リリーフ陣が、走者を出しながらスコアボードに0を刻んだことも、今後の戦いに向けての収穫になったのではないだろうか。
前回登板は19日のソフトバンク戦。2-2の10回を無失点に抑え、この日を迎えた大卒2年目の東妻。
この日は6-3の8回からマウンドに登ると、先頭の中村晃には1球もストライクが入らずに四球を与えるも、柳田悠岐を三ゴロ、グラシアルを一邪飛、栗原陵矢を遊ゴロと中軸を落ち着いて3人斬り。無失点に抑え、今季初の“ホールド”をマークした。
昨季は一時的に勝ちパターンの8回を任された時期もあったが、「最後は打たれて下に落ちた。自信がなかったところから出てきたと思うので、来季(2020年)はどうにかできればいいかなと思います」と、シーズン終了後に反省を述べていた若き右腕。
この春のキャンプでは、その“自信”について「実戦をしていかないと身につかないと思う。試合で自信をつけていきたいと思います」と話していた。
19日の試合、そして21日の試合と、いずれも緊迫した場面で登板して無失点に抑えたことは、本人が言う“自信”に繋がっていくに違いない。
その後、8回に1点を加え、4点リードとなった9回は今季から加入した高卒6年目・23歳右腕の小野が登板。代打の明石健志には内野安打を許したが、デスパイネを三振、松田宣浩を二飛、代打・上林誠知を一ゴロに打ち取って試合を締めた。
開幕直後こそ失点する場面も目立ったが、登板を重ねるごとに安定感が出てきた。結果を振り返っても、7月29日の楽天戦から6試合連続無失点中。四死球も4試合連続で0と危なげない投球を続けている。
この日は登板のなかった唐川・ハーマン・益田の勝利の方程式に、この日好リリーフを見せた東妻と小野が今後も安定した投球を継続してできれば、“試合の締めくくり方”の幅も広がってくることだろう。
この勝利は50年ぶりとなる8月の単独首位を引き寄せた以上に、今後に繋がる意味のある1勝だった。
文=岩下雄太