中村稔を好リード
9日の日本ハム戦で右手人差し指に死球を受けたロッテの正捕手・田村龍弘が、「右手第2指末節骨剥離骨折」により10日に一軍登録を抹消され、10日の日本ハム戦から2試合連続で柿沼友哉が先発マスクを被っている。
10日の日本ハム戦は3-5で敗れ、6連勝中のチームを勝利に導くことができなかったが、井口資仁監督は試合後、「かわりに柿沼もずっとやってくれていましたし、(田村の離脱を)考えずに今いるメンバーでやるしかない。柿(沼)も良いリードをしてくれると思います」と期待を寄せた。
『9番・捕手』でスタメン出場した翌11日のオリックス戦では、2年目の中村稔弥を7回終了時点までノーヒットノーランに抑える好リード。8回無死走者なしから安達了一に初安打を浴びたが、中村の後を受けて登板した澤村拓一、守護神・益田直也もしっかりとリードし、オリックス打線を1安打無失点に抑えた。
投手とのコミュニケーション
過去の取材を振り返ると、柿沼は“投手とのコミュニケーション”を大切にしているように見える。
柿沼は「引っ張っていくことは大事だと思うんですけど、“俺に任せろ”じゃなくて、お互いのコミュニケーションが大事だと思いますし、ピッチャーあってのキャッチャー。ピッチャーが投げやすいようにしてあげることが、気持ちよく良いボール投げられることだと思います。ピッチャーの良さをどう引き出すかが、僕は大事だと思いますね」と投手に寄り添い、投手の気持ちに立って、良さを引き出すかことを第一に考えている。
“投手の良さ”を引き出すための準備を怠らない。昨年の秋季キャンプでは、「上(一軍)で被っていて、キャッチングでもうちょっとピッチャーを助けられなかったかなと感じた部分なので、1球でも多く、ピッチャーを有利にしてあげる。そうしたら自分自身も楽になると思いますし、そういった意味を込めてキャッチングは、コーチと話して毎日やっていこうと話しをしたので、そこは続けるようにしています」と練習の最後に室内練習場でキャッチング練習するのが日課だった。
柿沼といえば、投手のボールを受けるときにミットを下げずに捕る。全体練習が終わったあとに、キャッチャーミットを下げずにボールを捕り続けるのは「もちろんきついです。きついけどやらなくていいのかといったら、そういうわけにはいかない。頑張るしかないです」と何球も受け続けた。
昨年の今頃は故障で離脱
話が前後してしまうが、昨年の今頃は、クライマックス・シリーズ進出を目指し楽天と熾烈な3位争いを演じていたが、柿沼9月4日『左尺骨骨折』で一軍登録を抹消。
昨年は捕手陣の故障が相次ぐ中で少ないチャンスでアピールし、徐々にスタメン出場機会を増やしていったなかでの離脱。シーズン終了直後「最後の最後の怪我が、やっぱり悔しいですね。結局、CS争いしている緊張感を味わえませんでした」と悔しさを滲ませていた。
あれから1年、経験を積み、昨季に比べて頼もしくなった。正捕手・田村が不在でチームにとって大きな痛手だが、リーグ優勝を争う大事な試合が続く中で、ルーキーの佐藤都志也らとともに投手陣を引っ張っていって欲しい。
文=岩下雄太