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救援防御率リーグ2位の「3.30」 ロッテの“強力ブルペン陣”を振り返る

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ロッテのブルペン陣を支えた守護神・益田直也(C) Kyodo News

救援陣を補強


 13年ぶりの2位に入ったロッテ。唐川侑己、ハーマン、澤村拓一、益田直也の“勝利の方程式”に加え、小野郁、東條大樹といった救援陣が、Aクラス入りに大きく貢献した。

 救援防御率はリーグ2位の「3.30」。昨年は守護神・益田の前を投げる“8回”の男を固定することができず、救援防御率はリーグ4位の「3.66」、マリーンズのイニング別失点では8回の87失点が最も多かった。

 その反省を踏まえ、日本で実績のあるハーマン、ジャクソン(シーズン中に退団)を獲得し、楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償選手として将来を嘱望されているリリーバー小野を補強した。

 日本で実績のある外国人を補強した理由について、昨年12月に松本球団本部長は「(海外での)実績があっても、マウンドやボールに加えて、日本は機動力も使うので、クイックなど、トータル的に(すぐに適応するのは)難しい。そういう意味で、日本での経験があることはすごい強み。ジャクソン、ハーマンは、今年(2019年)一番の課題だったところなので、日本での経験がある外国人を優先した」と狙いを説明した。

勝利の方程式確立も…


 その狙いが見事的中する形となった。7回・ハーマン、8回・ジャクソン、9回・益田の“勝利の方程式”で開幕を迎え、開幕直後には8連勝し、8連勝のうち4試合が2点差以内のリードを逃げ切るゲームだった。

 ハーマン、ジャクソン、益田に負担がかかりそうなところだが、1週間で投げる登板数、連投などしっかりと管理されていた。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン開幕が遅れるなど、投手陣の調整が難しかったことに加え、大事なシーズン終盤を見据えて、リリーフ陣を大事に起用しているようにも見えた。

 開幕直後の6月28日のオリックス戦は、6-5の1点リードの9回、連投中の益田ではなく、9回にジャクソンが登板し、1回を三者三振に抑えたということもあった。

 終盤を見据えてリリーフ陣を大事に起用し、ハーマン、ジャクソンが加入して僅差でも逃げ切る形ができたなか、7月8日にジャクソンが退団。それまで勝ち試合の7回を務めていたハーマンが8回に回り、7回を投げる投手は流動的になった。7回の男が固定できず、リリーフ陣も不安定で、7月が終わった時点で救援防御率はリーグ5位の「4.39」と、必勝パターンを再構築する必要があった。

夏場以降は救援陣が安定


 チームのピンチを救ったのは、唐川侑己だった。7月29日に今季初昇格を果たした唐川は、8月9日のオリックス戦で今季初めて1-0の7回、勝ち試合で登板。モヤをチェンジアップで空振り三振、続く宗佑磨を外角のチェンジアップで空振り三振を奪うと、最後は安達了一を投手ゴロ。1イニングを無失点に抑え、今季初ホールドをマークした。この試合から7回・唐川、8回・ハーマン、9回・益田の“勝利の方程式”が再び確立された。

 ジャクソンが退団した後も、連投が続けば、その日の状況に応じて、臨機応変に投手を入れ替えて起用する姿勢は変わらなかった。ハーマンが連投中だった9月5日のソフトバンク戦では、5-4の8回に唐川が投げ、翌6日ソフトバンク戦の4-2の9回、3連投中だった守護神・益田ではなく、ハーマンが9回を締めるというパターンもあった。

 ソフトバンクと首位争いをしていたこの時期、開幕から3連投をした投手がいなかったなかで(月曜の休日を挟んで3連投はいた)、9月3日の西武戦から5日のソフトバンク戦にかけて今季初めて益田が3連投した。そんな中で、球団は9月7日に巨人からトレードで澤村拓一を補強。リーグ制覇へ向けてさらに救援陣に厚みをもたらした。

 澤村が移籍後初登板となった9月8日の日本ハム戦では、3-2の6回から澤村、唐川、ハーマン、益田の“必勝リレー”で勝利。勝ちパターンで起用できる投手が4人になったなか、9月16日にハーマンが『右手第2指伸筋腱損傷』で離脱。

 ハーマンが離脱後は、7回・唐川、8回・澤村、9回・益田が“勝ちパターン”の投手継投となった。また9月29日の日本ハム戦の週から澤村、益田が1週間に2度連投し、チームでは今季初めて1週間に4度登板。残り30試合を切り、1週間に4度以上の登板が“解禁”された。澤村が加入した9月の月間救援防御率は、リーグトップの「2.48」をマークした。

 大事な終盤戦に向けて先を見据えた起用をしていたが、打線が深刻な不振に陥り10月にチームはまさかの失速。登板間隔が空き、抜群の安定感を誇っていた益田、澤村が失点する場面も見られた。それでも、11月8日の西武戦に8-2で勝利し、チームは4年ぶりにCS進出を果たした。

 先制点を挙げた試合の勝率はリーグトップの.769(40勝12敗2分)、ホームでは勝率.864(19勝3敗1分)と無類の強さを誇った。また、6回終了時点でリードした試合は44勝3敗1分。昨季はイニング別失点で8回が最も多い87失点だったが、リリーフ陣を補強した今季は8回の失点数が47と減少した。ジャクソン退団後は苦しい台所事情となったが、唐川、ハーマン、澤村、益田の勝利の方程式が確立することができたことは、非常に大きかった。

▼ 勝利の方程式の投球成績
唐川侑己 32試 1勝1敗14H0 S 防1.19
ハーマン 38試 3勝2敗23H1S 防2.15
澤村拓一 22試 0勝2敗13H1 S 防1.71
益田直也 54試 3勝5敗5H31S 防2.25

▼ 3連投した投手(移動日挟む3連投は含まない)
益田直也(9月3日西武戦、4日ソフトバンク戦、5日ソフトバンク戦)
澤村拓一(10月29日ソフトバンク戦、30日楽天戦、31日楽天戦)

▼ 1週間に4登板以上した投手
益田直也(9月29日〜の週、11月3日〜の週)
澤村拓一(9月29日〜の週、11月3日〜の週)

ビハインドゲームの投手陣が奮闘


 勝利の方程式の4人もそうだが、小野、東條らビハインドゲームで投げることの多かったリリーフ陣の働きも素晴らしかった。

 開幕一軍を掴んだ小野は、7月26日の西武戦で0回2/3を投げ3失点で敗戦投手となり、防御率は5.27となったが、続く7月29日の楽天戦から8月23日のソフトバンク戦にかけて7試合連続無失点を記録。8月30日のオリックス戦から10月1日の日本ハム戦にかけて12試合連続無失点という投球を見せた。

 7月終了した時点で14試合・14回2/3を投げて10与四球だったが、8月以降は26試合・24回1/3を投げて与四球が8と大きく減少した。四球数が減ったことで投球も安定し、7月終了時点の防御率が4.91だったが、8月以降は防御率2.22、シーズンの防御率も3.23だった。

 昨季自己最多となる58試合に登板した東條は、開幕直後はピリッとしない投球もあり、7月が終了時点で15試合・9回1/3を投げて防御率6.75。7月29日に一軍登録を抹消されたが、8月15日に再昇格を果たすと、再昇格後は24試合・19回を投げて防御率0.47。降格前は左打者に被打率.462(13-6)と苦戦していたが、再昇格後は左打者の被打率が.160(25-4)と向上した。

 シーズン通して一軍で過ごすことはできなかったが、2年目の東妻勇輔はハーマン、唐川が連投中だった8月21日のソフトバンク戦で6-3の8回を任され、澤村が加入後に降格となるも再昇格後にはロングリリーフを務めた。昨季自己最多の44試合に登板したチェン・グァンユウは今季19試合と登板数は減少したが、ロングリリーフ、ワンポイント、時には勝ちパターンと様々な役割をこなした。3年目の山本大貴は12試合中11試合で無失点投球を披露し、フローレスも10月6日に再登録された後は6試合連続で無失点に抑えた。

 リーグ2位の救援防御率「3.30」はもちろん選手の頑張りによるところも大きいが、シーズンオフに課題点を補強し、シーズンが入ってからもトレードでさらにリリーフ陣を強化したフロント、きっちりと1週間で投げる登板数、連投などしっかりと管理した首脳陣、この3つがうまく機能したことが大きいといえるだろう。

▼ 主な救援陣の投球成績(※成績は救援のみ)
小野 郁 40試 2勝2敗4H0S 防3.23
東條大樹 39試 1勝1敗5H0S 防2.54
チェン・グァンユウ 19試 1勝0敗2H0S 防3.20
東妻勇輔 13試 0勝0敗1H0S 防3.00
フローレス 13試 2勝1敗1H0S 防6.05
山本大貴 12試 0勝0敗0H0S 防2.63

文=岩下雄太
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