2020年のJERAセントラル・リーグを語り尽くす
新型コロナウイルスの影響により、予定よりも3カ月遅れて開幕した2020年のプロ野球。「無観客」でのスタートに、「交流戦」や「オールスター戦」の中止、セ・リーグでは「クライマックスシリーズ」も中止となるなど、さまざまな面から“異例のシーズン”と言われた中で、なんとか全12球団が120試合の短縮日程を消化することができた。
そんな歴史上類を見ない“異例のシーズン”を、プロ野球解説者たちはどう見たか…。
今回はセントラル・リーグの特別協賛スポンサーである株式会社JERAの協力の下、“球界のご意見番”として、その一言一言が注目を集める江本孟紀さんと、田尾安志さんのスペシャル対談を実施。今季のセ・リーグを振り返りつつ、どこよりも早い?来季の展望についても話を聞いた。
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進行=師岡正雄アナウンサー
撮影=兼子愼一郎
江本「3割のクリーンアップは一人もいない」
―― まずは今シーズンのJERAセントラル・リーグを制した巨人の印象をお二方にお伺いしたいと思いますが、江本さん、今シーズンのジャイアンツは最後、ちょっと苦しみましたけど
江本:うーん…いけないのは日本シリーズ。負けたことによって、強かったのを忘れてしまった。本当に強かったのかなっていうね。よく考えたら打率3割のクリーンアップは一人もいない。開幕当初は.220〜.230がずっと続いた。ただ、その間に大きく崩れずに勝ってきたというのはすごい。逆に言えば、いかにあとの5球団が弱すぎたか。
―― よく言われていたのが、原監督の采配についてです。苦しい時期に若手を上手く起用して、それもハマったなと思うんですけれど。
江本:チームの調子が悪ければ誰かを使っていくというのは当たり前。それが若いやつだったというだけの話。一軍のレギュラーに代わるガッチリした選手がいなかったということ。だからやりくりをしていた。それが競争心を煽って良かったんじゃないですかね。結果的に。
―― 江本さんの目からご覧になって、ジャイアンツ今年目立った選手というのは?
江本:戸郷でしょうね。あと菅野ね。菅野は去年いなかったでしょ?
―― 去年は腰を痛めて……
田尾:居るには居ましたけどね(笑)
江本:原監督と喋ってさ、去年、菅野いたっけって言ったら「いやいなかったです」って原監督も言ってたくらいだから(笑)
―― そういう話をされてましたね。原監督と江本さん。
江本:要するに、菅野は今年、投手陣を引っ張っていたと思いますよ。そこに戸郷が出てきた。期待された選手はそんなに大したことなかったんだけど、その辺がやっぱり目立ったと思います。
田尾「他の5球団がちょっと不甲斐なかった」
―― 田尾さんいかがですか。
田尾:僕は順位予想を3位にしてたんですよ。去年は貯金13で優勝したんです。それでメジャーに行った山口俊の貯金が「11」だった。彼が抜け、計算できる先発は菅野ひとりしか思い浮かばない。それで優勝は厳しいだろうということです。だから、3位にしましたけど、下手したらBクラスもあるなと思っていた。
それが蓋を開けてみたら貯金22。去年以上の貯金をしてしまった。江本さんも言われたように、他の5球団がちょっと不甲斐なかった。特に阪神。スタートで3タテ食らって、ガタガタやられましたからね。
―― 序盤でつまづきましたね。田尾さんからご覧になって目立った選手はいかがですか?
田尾:選手はやはりピッチャー。一番心配してたところにサンチェスと戸郷が出てきて。それで今村とか畠とか。この辺りも出てきて、それなりになってきた。そうやってローテーションピッチャーがよく出てきてくれたなと。そういう気がします。
野手陣はね、少々打てなくても守ってくれればそれなりになると思いますけど、ピッチャーはいないと苦しい。そういう意味では、よくサンチェスとかがいいピッチングしてくれたなと思いますね。
―― 開幕直前までジャイアンツは先発の頭数に加えて、後ろだってどうなのかと、そういう不安材料が多かったですよね。
江本:そうそう。だから、いま言ったように先発ピッチャーが計算できない。ローテーションをちゃんと組めるかなとか。菅野はいいとしても、サンチェスも一応計算はできるにしても、ふたりじゃダメだったからね。
―― その時点で戸郷はあまり挙げられてなかったですよね。
江本:なんかね、ふにゃふにゃした投げ方するけど球はいいんだよ、これが(笑)
田尾:勢いありましたね。
江本:この前ファン感謝デーでね、戸郷が喋ってるのを聞いたんだけど、ムチャクチャ頭いいなって思いましたよ。あのセリフをずっと覚えるというのはね、我々にとっては「ああ、今年もありがとう、ファンのみなさん」って、こんな程度で終わってるのが、理路整然と。感心したね。
うーん、だけど結局、巨人の投手陣は当然心配でしたよ……。
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