人的補償で加入の小野、新天地で開花
新型コロナウイルスの集団感染など、苦しい時期がありながらも13年ぶりの2位でクライマックスシリーズ(CS)進出を果たしたロッテ。今回は若手選手にフォーカスし、2020年のロッテを振り返る。
2位死守の要因は、リーグ2位のチーム防御率3.81を記録した投手陣だ。先発では高卒7年目の新背番号18・二木康太が、シーズン自己最多の9勝(3敗)を挙げるなど15先発で防御率3.40をマーク。高卒6年目の岩下大輝はコロナウイルスによる一時離脱はあったものの、16先発含む17試合に登板し7勝7敗、防御率4.20を記録した。
大卒2年目の小島和哉は、石川歩に次ぐチーム2位の20試合に先発し、7勝8敗、防御率3.73と躍進。同じく大卒2年目の中村稔弥は、11先発含む16試合登板で2勝5敗、防御率4.78と苦しんだものの、小島とともに貴重な先発左腕として頭角を現した。
昨季8勝を挙げ、今季はローテーションの軸として期待された高卒4年目の種市篤暉は、8月に右肘を痛め9月にトミー・ジョン手術を受けた。4年目は3勝2敗、防御率3.47で終了。同手術の一般的なリハビリ時期を考慮すれば来季中の一軍復帰も難しいところだが、若き右腕の復活を気長に待ちたい。
リリーフでは高卒6年目の小野郁が、チーム2位の40試合に登板し2勝2敗4ホールド、防御率3.23を記録。楽天へFA移籍した鈴木大地の人的補償で新加入した右腕は、プロ初勝利をマークするなど新天地で開花した。
菅野は出塁率.389、和田はリーグ3位の23盗塁
攻撃陣はリーグ最多の491四球を選びチーム出塁率は同3位の.329を記録したものの、いかんせんチーム打率がリーグワーストの.235と低く、得点数も同5位の461得点に終わった。開幕当初から腰に不安を抱えていたブランドン・レアードは、8月4日の出場を最後に長期離脱。シーズン終盤には左足を痛めたレオネス・マーティンも戦列を離れ、ポイントゲッター不在が響く結果となった。
そんな中で高卒3年目の安田尚憲が、自己最多の113試合に出場し打率.221、6本塁打、54打点(チーム3位)を記録。CSでは第1戦で先制2ラン、第2戦では猛打賞を記録するなど、シーズンを通して貴重な経験を積んだ。
高卒2年目の藤原恭大もしっかり台頭。プロ1号&2号を、パ・リーグでは67年ぶりの2試合連続先頭打者弾で飾るなど、26試合の出場で打率.260、3本塁打、10打点を記録。3安打を放ったCS第2戦では、猛打賞のCS(プレーオフ時代含む)史上最年少記録(20歳6ヵ月)を打ち立て、安田とともに輝きを放った。
社会人出3年目の菅野剛士は、シーズン自己最多の81試合に出場し規定打席未到達ながらチームトップの出塁率.389を記録。OPS(出塁率+長打率)も.748をマークするなど打線に欠かせない存在になりつつある。
開幕前に支配下登録を勝ち取った21歳の和田康士朗は、主に代走要員としてリーグ3位の23盗塁を記録し、警戒された中での成功率.885はお見事。来季は打撃面を磨き、さらなるスケールアップに期待したい。
外国人の相次ぐ離脱やコロナ感染など苦しいシーズンだったが、終わって見れば多くの若手が優勝、CS争いを経験し、チーム力の底上げに成功したロッテ。収穫の多かった2020年。これを来季以降につなげたい。