6回終了時点でリードしていれば…
13年ぶりに2位となったマリーンズ。本拠地・ZOZOマリンスタジアムでは、35勝22敗3分と大きく勝ち越し、先制点を奪った試合は19勝3敗1分、6回終了時点でリードしていれば24勝1敗、1試合に5得点以上挙げると27勝2敗、1試合に2本塁打以上放つと9勝1敗と、とにかくマリンでは無類の強さを誇った。
まず先制点を奪った試合から振り返ると、今季ZOZOマリンで初勝利を挙げた6月23日のオリックス戦から10月7日のオリックス戦まで、先制した試合は18連勝。マリンで先制したら負けないという“不敗神話”が、シーズンの最終盤まで続いた。
その強さを支えていたひとつが投手陣。ZOZOマリンで6回終了時点でリードしていれば、24勝1敗と圧倒的な強さを見せた。7月10日の西武戦、6回終了時点で6-4とリードしていたが8回に同点に追いつかれ、9回に勝ち越しを許し6-7で敗戦。この試合での敗戦を最後に、7月11日の西武戦以降、6回終了時点でリードしていた試合は20連勝でシーズンを終えた。CS進出を決めた11月8日の西武戦も、6-2の7回からハーマン、澤村拓一、益田直也の“勝利の方程式”で逃げ切った。
“勝利の方程式”と呼ばれる唐川侑己、ハーマン、澤村、益田の4投手のZOZOマリンの今季成績を見て見ると、ハーマンは21試合に登板して2勝1敗、防御率3.43だったが、唐川が19登板、1勝8ホールド、防御率0.52、沢村が14登板、0勝2敗8ホールド、防御率1.35、益田が31登板、2勝1敗4ホールド、18セーブと安定した数字を残した。ちなみに、澤村と唐川がZOZOマリンで失点した登板はいずれも、同点の場面。つまり、7月11日以降6回終了時点でリードしていた20連勝の登板だけに限ると、唐川と澤村は1点も失っていないということになる。
昨季は守護神・益田の前を投げる投手を固定することができず苦しい戦いとなったが、今年は打線が低調の中、勝ち切れたのも“勝利の方程式”を含めた投手陣がしっかりと機能していたことが大きい。
▼ ZOZOマリン成績
唐川侑己 19試 1勝0敗8H0S 17回1/3 振16 自責1 防0.52
ハーマン 21試 2勝1敗12H0S 21回 振20 自責8 防3.43
澤村拓一 14試 0勝2敗8H0S 13回1/3 振 自責2 防1.35
益田直也 31試 2勝1敗4H18S 31回 振36 自責5 防1.45
▼ ZOZOマリン6回終了時点20連勝で登板した試合成績
唐川侑己 9試 0勝0敗5H0S 8回 振8 自責0 防0.00
ハーマン 8試 0勝0敗6H0S 8回 振9 自責4 防4.50
澤村拓一 10試 0勝0敗7H0S 9回1/3 振15 自責0 防0.00
益田直也 16試 0勝0敗0H11S 16回 振17 自責2 防1.13
打線は!?
投手陣が安定していることもあり、打線が援護できれば勝利に大きく近づき、1試合に5得点以上挙げた試合は27勝2敗。
7月28日の楽天戦は壮絶な打ち合いとなった。8回表が終了時点で9-12とリードを許す展開も、3点を追う8回裏に井上晴哉がこの日3本目となる本塁打などで、3点を奪い同点に追いつくと、12-12の9回裏に中村奨吾の押し出し死球でサヨナラ勝ち。マリーンズはこの試合に勝利して以降、ZOZOマリンで1試合に5得点以上奪った試合で1度も負けがなく20連勝。
和田康士朗がプロ初スタメンでプロ初安打を含む3安打3盗塁をマークした8月16日の日本ハム戦、二木康太が完封勝利した9月14日のオリックス戦、安田尚憲が同点の7回に劇的な勝ち越し3ランを放った10月3日の西武戦、美馬学が移籍後初完投勝利した10月4日の西武戦、CS進出を決めた11月8日の西武戦はいずれも、1試合に5得点以上挙げている。1試合5得点以上あげ、かつ6回終了時点でリードしていた試合の成績は、18勝1敗だった。
また、ZOZOマリンで1試合に2本以上放った試合は9勝1敗だったが、その1敗が3-4で敗れた11月3日のソフトバンク戦。勝利した9試合はすべて5得点以上奪っている。
ZOZOマリンで、6回終了時点でリードしていた試合、1試合5得点以上奪った試合の連勝記録は今季終了した時点で、継続されている。来季もZOZOマリンで勝利の瞬間を数多く味わいたいところだ。
文=岩下雄太