3人が内野全ポジションで出場
昨季パ・リーグ6球団で内野の全ポジションで出場した選手は6人いるが、そのうち3人がマリーンズの選手だった。
マリーンズの内野陣は昨季、一塁・井上晴哉、二塁・中村奨吾、三塁・安田尚憲、遊撃・藤岡裕大で固定されていたなかで、鳥谷敬、三木亮、茶谷健太の3人は内野の全ポジションで出場した。
そのほか一軍にベンチ入りしていた野手を見ると、福田光輝が二塁、三塁、遊撃の3ポジションで出場し、西巻賢二も二塁と遊撃のポジションを守った。外野手登録の菅野剛士、岡大海、福田秀平も一塁で出場しており、レギュラーと呼ばれる選手以外は、チーム状況に応じて様々なポジションで出場する傾向にある。
▼ 昨季内野全ポジションで出場したロッテの選手
・鳥谷敬
一塁:1試合・0失策
二塁:1試合・0失策
三塁:24試合・1失策
遊撃:7試合・0失策
・三木亮
一塁:6試合・0失策
二塁:1試合・0失策
三塁:9試合・0失策
遊撃:3試合・0失策
・茶谷健太
一塁:4試合・0失策
二塁:3試合・0失策
三塁:2試合・0失策
遊撃:21試合・0失策
試合前に入念な準備
選手たちも試合前の練習で、複数のポジションでノックを受けている。昨季の試合前練習を見ると、茶谷でいえば本職のショートとサードでノックを受ける日もあれば、ショートとファースト、ショートとセカンドなど複数のポジションでノックを受けていた。
昨年1月のロッテ浦和球場で行っていた自主トレでも、ショート、サード、セカンドでノックを受け、汗を流していた。複数のポジションを守っていても、実戦と練習では違うという。ファーストで出場した昨年2月8日の楽天モンキーズとの国際交流試合後に、茶谷は「ピッチャーが投げる球に対しての打球なので、スピンがあったり、フックかかったりとか色々あるので、違いますね」と明かしている。
2年連続で内野の全ポジションで出場した三木も、近年の自主トレを見ると、新しいシーズンに向けて遊撃だけでなく、二塁や三塁でもノックを受けることが多い。19年1月の自主トレでは遊撃だけでなく、18年に出場のなかった二塁でもノックを受けていた。
その理由について聞いたときには「いつでも入れるような体の動きというか、確認というかそういうのをしておきたい。ポンと入れられたときに戸惑っている部分があれば、やっぱり駄目だと思う」と、内野の全ポジションでレベルの高い守備を見せる背景にはこういった入念な準備がある。
出場機会アップのきっかけに
このようにマリーンズは、1つのポジションだけでなく、複数のポジションをこなす“ユーティリティー性”が求められているといえそうだ。このオフ獲得したメジャー通算922試合に出場したエチェバリアも、ブレーブスでプレーした昨季は遊撃、二塁、三塁と3つのポジションで出場した。基本的には遊撃で出場することになりそうだが、状況に応じて二塁や三塁での出場も十分に考えられる。
選手たちは準備面で大変な部分はあると思うが、若手選手に目を向ければ、レギュラーを奪うひとつの手段として複数のポジションを守れることで出場機会は増えることだろう。また、打撃面で結果を残すことができれば、レギュラーを奪う可能性も見えてくる。控えの内野手陣、特に若手の突き上げが強くなればなるほど、競争が激しくなる。
文=岩下雄太