平成以降の新人王は投手が73%
キャンプも中盤に差しかかり、紅白戦や対外試合も徐々に増えてきた。今キャンプで12球団最速の紅白戦を行った阪神は、9日に日本ハムと対外試合で対戦。その試合に「2番・左翼手」として先発出場したドラ1・佐藤輝明選手が、対外試合初本塁打を含む3安打3打点と活躍し、いきなり存在感を示した。
ドラフトで4球団が競合したスラッガーは、自主トレ中に「新人王を目指してやっていきます」と高らかに宣言。慣れない外野の守備をこなしながら、ここまでは順調にアピールを続けている。外国人選手たちが出遅れていることもあり、開幕一軍はもちろんのこと、スタメンの座を手にする可能性も十分にありそうだ。
投手の状態が上がり、主戦級の投手が出てくる今後の試合でも結果を残せるかは未知数だが、それでも起用し続けたくなるスイングを見せている。虎党でなくとも「新人王」を期待したくなるような内容だ。とはいえ、過去の『新人王』を振り返ってみても、野手の受賞者はそれほど多くない。平成元年(1989年)以降に受賞者した63人(2000年のパ・リーグは該当者なし)のうち全体の73%に当たる46人が投手だった。
昨年の新人王も、セ・リーグが森下暢仁(広島)、パ・リーグが平良海馬(西武)と、ともに投手が受賞。新人王を受賞するには、ある程度の出場機会を得やすい投手が有利と言われるが、数字上もそのとおりの結果となっている。
平成以降のドラ1野手による「1年目新人王」は……
平成以降に誕生した野手の新人王は17人いるが、2017年の京田陽太(中日)と源田壮亮(西武)など、ドラフト2位以降の選手や社会人出身選手が多く、1位指名から新人王を受賞したのは、2010年の長野久義(Honda−巨人)と2016年の髙山俊(明治大−阪神)、そして記憶に新しい2019年の村上宗隆(九州学院高−ヤクルト)の3人しかいない。
そのうち村上は2年目での受賞になる。高卒2年目での受賞なのだから十分に凄いが、ドラフト1位で1年目に新人王を受賞したというパターンは長野と髙山のふたりだけ。ちなみにパ・リーグでは平成以降、ドラフト1位の野手が新人王を受賞したことがない。直近でのドラフト1位の野手によるパ・リーグの新人王受賞は、1986年の清原和博(PL学園−西武)まで遡ることとなる。
アマチュア時代から高評価を得てドラフト1位でプロ入りを果たし、1年目から結果を残す——。そのうえで新人王を受賞するというのは、非常にハードルが高い。ポジションが限られている野手では尚更だ。
特にセ・リーグは指名打者がなく、阪神の外野陣ではセンターの近本光司が当確。新外国人のメル・ロハス・ジュニアにも間違いなく出場機会は与えられるだろう。その他にも、実績十分な糸井嘉男、紅白戦からアピールを続けている、かつての新人王・髙山、その他にも右の大砲候補として期待がかかる陽川尚将や、井上広大などもいる。
とはいえ、ロハスは依然として来日時期が不透明であり、来日してから試合に出られるまで時間を要することになる。また、糸井も今年で40歳になることを考えると、フルで出続ける可能性は低いだろう。要するに、練習試合やオープン戦である程度の結果を残せれば、少なからず出場機会を得ることはできるはず。まずは対外試合での“大暴れ”に期待を寄せたいところだ。
▼ 平成元年(1989年)以降の野手新人王
1989年:【セ】笘篠賢治(中央大−ヤクルト/3位)
1992年:【セ】久慈照嘉(日本石油−阪神/2位)
1996年:【セ】仁志敏久(日本生命−巨人/逆2位)
1996年:【パ】金子 誠(常総学院高−日本ハム/3位)※3年目
1997年:【パ】小坂 誠(JR東日本東北−ロッテ/5位)
1998年:【パ】小関竜也(国学院栃木高−西武/2位)※4年目
2000年:【セ】金城龍彦(住友金属−横浜/5位)※2年目
2001年:【セ】赤星憲広(JR東日本−阪神/4位)
2005年:【セ】青木宣親(早稲田大−ヤクルト/4位)※2年目
2006年:【セ】梵 英心(日産自動車−広島/大社3位)
2009年:【セ】松本哲也(専修大−巨人/育3位)※3年目
2010年:【セ】長野久義(Honda−巨人/1位)☆
2016年:【セ】髙山 俊(明治大−阪神/1位)☆
2017年:【セ】京田陽太(日体大−中日/2位)
2017年:【パ】源田壮亮(トヨタ自動車−西武/3位)
2018年:【パ】田中和基(立教大−楽天/3位)※2年目
2019年:【セ】村上宗隆(九州学院高−ヤクルト/1位)※2年目