充実のキャンプ
「先輩のプレーをいろいろ見て学んだり、暖かい環境で自分の技術向上にいい練習ができたと思います」。ロッテのドラフト1位ルーキー・鈴木昭汰が、充実の春季キャンプを送っている。
このキャンプのテーマは、「実戦に向けて強さを変えずに制球力をつける」こと。そのために重要視したのが「フォームの安定」だ。鈴木の球を受けた捕手陣からは「まっすぐの強さがあるからしっかりそれを活かしていこう」と声をかけてもらったという。また、自身が武器にしているスライダーやツーシームに関しては「いい感じだと思います」と、手応えを口にした。
8日には3年目・山口航輝の打撃投手を務め、セットポジションから力強いストレートを投げ込み、打ち損じさせる場面も見られたが、その一方で柵越えも許した。
鈴木は「ストレートで差し込めてはいるんですけど、少々甘くなったり、まだ完璧ではない。そこを追い求めていきたい」と課題を挙げつつ、変化球を含めて「手応えは五分五分。もう少し突き詰めてやってきたい」と、さらなる成長を見据えた。
熾烈な競争がはじまる
この日行われる予定だった紅白戦に登板予定だったが、雨のため中止。12日に石垣島キャンプを打ち上げ、13日からはいよいよ対外試合もスタート。鈴木は、13日からはじまる那覇遠征のメンバーに選出され、これから開幕一軍、そして先発ローテーション入りに向けた競争が本格化していく。
鈴木は「正直競争だと思うので、アピールできるように頑張っていきたい。自分の持ち味である強気のピッチングと打者を抑えにいく姿勢をしっかり見せていきたい」と、決意を新たにした。
マリーンズの左腕事情は、規定投球回には届かなかったもののシーズンを通して先発を務めた小島和哉、先発とリリーフの両方をこなした中村稔弥、新人時代の13年から7年連続40試合に登板している松永昂大などがいるが、チェン・ウェイン、チェン・グァンユウといった実績のある左腕が退団し、やや手薄な状況。ドラフト1位の鈴木には、大きな期待がかかっている。
しかし、当の本人は「そういうことをあまり考えずに自分のやることをやっていけば、結果に繋がると思うので、自分のやることをしっかりやっていきたい」と、目の前のひとり、一球に集中していく。鈴木が自ら持ち味だと語る“強気のピッチング”で、練習試合、オープン戦で結果を残し、先発ローテーションの一角に名乗りを挙げられるのか、注目だ。
取材・文=岩下雄太