27日は田中将大が2度目の登板
このオフのトップニュースと言えば、田中将大の楽天復帰。春のキャンプでも、古巣に戻ってきた背番号18の動向は大きな注目を集めた。
2月も終わりが近づき、キャンプも徐々に実戦のフェーズへと移行。ここから熱を帯びていくのが、楽天の“豪華すぎる”開幕投手争いだ。
日米通算177勝を誇る田中将大といえど、石井一久新監督は「特別な選手ではありますが、特別扱いはしない」と明言。田中がメジャーに渡って以降、長らくチームのエースとして君臨した則本昂大に加え、昨季5年ぶりに最多勝を獲得した涌井秀章、近年は苦しむも通算132勝の岸孝之と、どの選手も大役を任されるだけの力を持った選手。あとはどれだけ開幕までに仕上げることができるか、これから約1カ月間の過ごし方ですべてが決まる。
田中は4人の中で一番早く、2月20日の日本ハム戦で初の実戦登板。中田翔に3ランを浴び、2回を投げて3失点という内容だったが、本人は「球速も思ったよりも出ましたし、 そういうところに関しては2イニングで40球近くを投げることができ、すごくいい段階を踏めていると思います」と前向きなコメント。「まだまだ状態は上げていかなくてはならないですね」と口にした。
そして、初実戦から中6日。27日のヤクルト戦で2度目の実戦マウンドに挑む。1週間前よりも球数を増やし、イニング数も増やしていくことが予想される中、前回登板よりも前進した姿を見せることができるか。大きな注目を集める。
則本・岸・涌井の3人はいずれも無失点スタート
田中のライバルとなる3人も、開幕を約1カ月後に控えたこのタイミングで初めての実戦登板を終えている。
昨季は3連勝発進も終わってみれば5勝7敗と、安定感に欠いたシーンも見られた則本は、23日の日本ハム戦に登板して2回をパーフェクトピッチ。初登板を振り返り、「無事に終えられたのでよかったと思います。次はもう少しキレや球威を出していけたらと思います」と、手ごたえを語りつつ、次回への課題を語った。
岸は昨季も腰痛などのコンディション面で悩まされたが、11試合の登板で7勝0敗とさすがの投球を披露。今季は開幕から離脱なく、3年ぶりとなる2ケタ勝利を目指すシーズンとなるが、初実戦となった25日のDeNA戦で2回無失点の好投。「良かったと思います。キャッチャーの要求しているところには半分以上は投げられました」と、こちらも上々の手ごたえを語った。
そして、昨季から楽天に加入し、いきなりチームトップの11勝(4敗)を挙げた涌井も、26日のヤクルト戦に先発して2回を無失点。出した走者は味方の失策によるもので、被安打は0という快投だった。涌井は開幕投手について尋ねられると、「投げたいですが、監督が決めることです」と正直な想いを吐露。「候補が4人いるのでしっかり結果を残して『こいつに任せたい』と思ってもらえるように投げるだけです」と、力強く語った。
実績豊富な男たちが、それぞれの想いで見据える「3.26」の開幕戦──。
震災から10年という特別な年に、本拠地・楽天生命パークで迎える日本ハム戦。16時のプレイボールの瞬間、マウンドの上に立っているのは一体誰か…。どこよりも豪華な楽天の開幕投手争いは、まだはじまったばかりだ。
文=尾崎直也