チーム100得点
「この1点を、つかみ取る。」をチームスローガンに掲げるマリーンズが18日、12球団最速でチーム100得点に到達した。昨季は24試合目でチーム100得点を挙げており、昨季よりも3試合早いクリアとなった。
まずは18日のオリックス戦を振り返ると、1-2の9回にマリーンズは、先頭のレアードが制球に苦しむヒギンズから四球を選び出塁すると、ここで代走のスペシャリスト・和田康士朗が登場する。続く山口航輝も四球を選び一、二塁とし、逆転となる走者の山口にも代走・三木亮を送った。7番・藤岡裕大は初球バントをファウルにするも、2球目の153キロのストレートをきっちりとピッチャー前に転がし二、三塁。得点圏に進めて、代打・菅野剛士が登場したが、一飛に倒れて2アウト。
ここで終わらないのが今年のマリーンズ。岡大海が3ボール2ストライクから6球目のストレートをショートへ適時内野安打を放ち同点に追いつく。これで今季のチーム得点が100となった。打順はトップに戻り荻野貴司が四球を選んで満塁とし、3回に先制の適時二塁打を放ったマーティンが押し出し四球で逆転に成功した。
その裏、今週4度目のマウンドとなった守護神・益田直也がしっかりと締め、3-2で勝利。今季初めて貯金生活に突入した。
足を絡めた攻撃
今季は4月1日の楽天戦と2日の日本ハム戦で16得点を挙げているが、この32得点を引いても69得点。18日終了時点では、リーグ3位にあたる。昨季は13年ぶりの2位になったものの、チーム打率リーグワーストの.235、リーグワースト2位の461得点と“貧打”に喘いだが、ここまででいえば確実に攻撃力は上がっているといえるだろう。
足を絡めた攻撃、犠打といった細かいプレーの精度が上がり、そこから得点を奪うケースが多い。
足を絡めた攻撃でいえば、今季も1つ先の塁を狙った走塁が光る。4月11日の西武戦では0-0の3回一死一塁からマーティンの右安で一塁走者の荻野が三塁へ進み、続く中村の三ゴロで荻野が先制のホームを踏んだ。
4月15日の楽天戦では、0-0の4回無死一塁で安田尚憲が1ボール2ストライクからの4球目にライト前ヒット。スタートを切っていた一塁走者の中村奨吾は三塁へ(無死一、三塁)。続くレアードの犠飛で中村がホームに還るということもあった。
相手のミスやわずかな隙を得点に繋げる“いやらしさ”もある。4月1日の楽天戦では9-3の2回二死二塁から菅原が投じたボールを捕手の下妻が見失い、バックネット方向に転々としている間に二塁走者の菅野が一気にホームイン。
4月2日の日本ハム戦では、7-0の6回は一死一塁から田村龍弘がライトへタイムリー二塁打を放つと、打者走者の田村は送球間に三塁へ陥れる。続く藤原恭大がきっちりとレフトへの犠牲フライで得点を奪った。
4月13日の楽天では、3-1の二死二、三塁から角中勝也が放った二塁へのゴロを二塁・浅村がファンブルし、もたついている間に、三塁走者の藤岡に続き二塁走者の田村も生還した。
無安打で得点、犠打成功率100%
無安打で得点するケースがここまで2度あった。1度目は4月9日の西武戦の3-1の6回。先頭の山口が四球で出塁すると、代走の岡が藤岡の打席中に二塁盗塁を決め、藤岡が2ボール1ストライクから投犠で岡は三塁へ。柿沼の三ゴロの間に岡がホームインした。
2度目は4月10日の西武戦の4-2の7回だ。先頭の山口、続く藤岡の連続四球で一、二塁とすると、田村の投手前への犠打が野選となり満塁。一死後、荻野の押し出し四球で貴重な追加点を挙げた。
2度無安打での得点を決めているが、犠打を確実に決めていることも大きい。今季はここまで18日終了時点で、チームで14犠打を決めているが、成功率は100%。逆転勝ちした18日のオリックス戦も1-2の9回無死一、二塁から藤岡が、きっちりと送り走者を進めたことで、その後の得点に繋がった。
西武とクライマックスシリーズ進出を争った昨年11月も、月間11犠打を決めたが、犠打失敗は11月8日の西武戦、3-2の6回無死一塁で、藤岡がバントを試みるも三飛に倒れたこの1度だけ。昨季終盤から犠打の成功率が非常に高い。
開幕直後の攻撃陣は課題が多いように感じられたが、4月1日の楽天戦で16得点を奪い勝利して以降は、足を絡めた攻撃、相手のミス、隙を突いた攻撃、試合終盤にダメ押し点、さらには一発もあるなど、攻撃のバリーエションとともに得点力が増えた。12球団最速でチーム100得点となったが、この攻撃力、得点力を最後まで維持できるか注目だ。
文=岩下雄太