山口が4本塁打
昨季のマリーンズは、日本人の右打者で25歳以下の本塁打数がパ・リーグで唯一0本塁打だった。1日も早く“右”の和製大砲の台頭が待たれる状況の中で、今季はここまで25歳以下の日本人右打者の本塁打は早くも4本記録している。その4本は、多くのファンがご存知の通り、今年の8月で21歳を迎える山口航輝が放ったものだ。
山口は昨季ファームで全70試合に出場して、チームトップの7本塁打、30打点をマークし、8月25日の巨人との二軍戦からシーズン最終戦となった11月1日の楽天戦にかけて4番で出場するなど、34試合で4番を務めたが、一軍出場はなし。
昨年11月に行われたフェニックス・リーグで“もっと飛ばしたい”と、これまでのすり足気味に打っていた打撃フォームから左足をあげたフォームに変更。外野手登録だが、一塁の守備にも挑戦した。シーズンオフは「今年は勝負の年」と位置付けて、自主トレーニングでは体を絞り筋肉量を上げ、怪我をしない体づくりに励んできた。
春季キャンプ、2月の練習試合からアピールし、3月のオープン戦ではチームトップタイの6打点をマークして開幕一軍を掴む。3月26日のソフトバンクとの開幕戦でプロ初安打を放つと、4月9日の西武戦でプロ入りから何度も「右方向に打てることが持ち味」と話してきたライトスタンドにプロ初本塁打。4月25日のソフトバンク戦では、プロ入り後初めて高卒4年目の安田尚憲とのアベックアーチも実現した。打率こそ.156ではあるが、持ち前のパワーで右打者ではチームトップの4本のアーチを描く。
右打者に限らず、マリーンズは長年日本人の長距離砲を課題にしていただけに、山口にかかる期待は大きい。
高卒ルーキーも期待
山口が一軍で長打力を発揮しているなかで、ファームでも楽しみな右の長距離砲が実戦で技術を磨いている。
「バッティング、そのなかでもホームランを打ってしっかりアビールしていきたいです」。春季キャンプ中のオンライン取材で、力強く意気込みを語っていたロッテの育成ドラフト3位のルーキー・山本大斗(開星高)が、3月20日に行われたDeNAとのファーム開幕戦でプロ初打席・初本塁打を放った。
その後は本塁打こそ出ていないが、3月27日の楽天との二軍戦で左の王彦程からセンターに弾き返す適時打、『8番・ライト』で先発出場した4月11日の西武との二軍戦では3打点を挙げる活躍を見せた。
ドラフト5位の西川僚祐(東海大相模高)も、4月8日の巨人との二軍戦で横川凱からレフトへファームプロ初安打となる本塁打。初本塁打後、なかなか安打が出ない時期もあったが、『8番・レフト』で先発出場した5月2日の巨人との二軍戦でプロ入り後初めて複数安打を放った。
どちらかといえばマリーンズの若手野手は俊足巧打タイプが多いなかで、左打者の安田尚憲をはじめ、右の山口、西川、山本といった長距離砲は貴重な存在。5年後、10年後には毎年30本以上本塁打を放つような打者に成長していることを信じて、今はその時が来るのを楽しみに待ちたい。
文=岩下雄太