石川が故障で離脱
ロッテは4日、3日に神奈川県横浜市内の病院で石川歩が『右肘関節クリーニング手術』を行ったと発表した。術後1〜2カ月でスローイングを開始し、全治3〜4カ月の見込みとなっている。
石川は昨季リーグトップの133回1/3を投げ、7月31日の楽天戦から9月4日のソフトバンク戦にかけて自身6連勝をマークし、8月度の月間MVPに輝いた。21先発中19試合で6イニング以上を投げ、20試合で5イニング投げるなど、チームトップの10勝を挙げた美馬学とともにシーズン通して先発ローテーションの柱として投げた。
今季は故障による出遅れで開幕を二軍で迎えたが、4月13日の楽天戦で今季初先発を果たすと、クオリティ・スタート(6回3自責点以内)は2試合だけだが、同登板から4試合連続で6イニング以上を投げ、先発の役割を果たした。故障前最後の一軍登板となった5月21日の楽天戦も6点を失ったが、5イニングを投げた。
先発すれば昨季から27先発中24試合で、6イニング以上を投げる“イニングイーター”でもあり、美馬とともに計算のできる先発投手といえる。二木康太、小島和哉、岩下大輝といった20代の先発陣が多い中で、実績もあり、安定した石川の離脱は痛い。
先発陣の奮起が求められる
ここまでの先発防御率は4.09で、交流戦の先発防御率は4.69だ。先発防御率自体は昨季もリーグ4位の「4.07」だったが、昨季はパ・リーグトップの700回2/3を投げ、先発投手の指標のひとつにあたるQSもリーグトップの62をマーク。
その長いイニングを投げていた石川が離脱し、計算ができ、かつ長いイニングを投げられる先発が美馬しかいないのが現状だ。岩下はチームトップタイの4勝をマークするが、QSは9先発中4度で、昨季9勝を挙げた二木、昨季シーズン通してローテーションを守った小島は今ひとつピリッとしない。
二木、岩下、小島の3人は昨季シーズン自己最多の白星を挙げ、今季はさらなる飛躍が期待されるシーズン。石川が離脱した今、この3人が美馬とともに先発の“軸”として長いイニングを投げ、チームに勝ちをもたらしていきたいところ。
岩下は5月に行ったオンライン取材で 「去年の中盤あたりから先発として長いイニングをというのは頭にあります。長いイニングを投げるということは、球数がかからないようにというのはあると思うんですけど、そのなかで自分のできることはゾーンの中で勝負することだなと思ったので、それを意識してやっている感じです」と、長いイニングを投げるという意識を持ってマウンドに上がっている。
交流戦を終えると
交流戦は6連戦だが交流戦後の6月18日(金)の西武戦(メットライフドーム)からの3連戦、月曜日を挟んで、22日(火)のソフトバンク(ZOZOマリン)の3連戦、金曜日に試合がなく、26日(土)、27日(日)の日本ハム2連戦。その後も、2連戦、3連戦と、現時点ではオールスター前まで6連戦の戦いがない。
五輪開けも8月17日の週が6連戦(西武3連戦、ソフトバンク3連戦)組まれているが、その後も9月の最終週まで、基本的に2連戦、3連戦という戦いが多い。
先発陣は美馬、二木、岩下、小島の4人に加え、鈴木、本前、佐々木朗希、再昇格後はロングリリーフで登板が多い中村稔弥、ファームにも有吉優樹、土肥星也などがいる。故障者や成績不振の投手が出ても、先発の枚数が5人であれば、なんとかやりくりできる状況だ。
ただリーグ優勝するのであれば、美馬、二木、岩下、小島の4人が常に試合を作り、若手の中からローテーションを掴む投手が出てくることが理想的。石川が離脱した今、石川のように長いイニングを投げ、チームに勝ちをもたらす投手が一人でも多く出てきてほしい。
文=岩下雄太