「緩いボールで攻める」という姿勢
楽天が前半戦最後のカードに勝ち越し。
先発・岸孝之が6回を7奪三振で2失点に抑える力投を見せ、6月8日以来で約1カ月ぶりとなる白星を掴んだ。
初回に3点、3回に1点と序盤から援護を受け、4回までスコアボードにゼロを並べた岸。
ところが5回、先頭・今宮健太に安打を浴びた後、松田宣浩に一発を浴びて2-4。つづく野村大樹にはストレートの四球を与え、さすがのベテランにも動揺の色が伺えた。
それでも、トップに返って三森大貴をファウルフライに打ち取ると、中村晃も捕邪飛。怖い柳田悠岐に対してもカーブから入ってストレート3つ。ラストボールを外角いっぱいにズバっと決め、なんとかピンチを切り抜けた。
岸はその後の6回まで投げ、7回からは継投。安樂智大から酒居知史とつなぎ、8回の酒居は一死満塁というピンチを招いたもののそこから連続三振で無失点。
9回はクローザーの松井裕樹が締めて逃げ切り成功。楽天が4-2で前半戦ラストゲームを勝利で飾り、先発・岸に約1カ月ぶりとなる今季4勝目がついた。
14日に放送されたCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』では、この日の勝因として「岸孝之-炭谷銀仁朗のベテランコンビ」が真っ先に挙がった。
投手出身の解説・齊藤明雄氏は「岸が緩急でうまくバッターを攻めていた」とコメント。象徴的なシーンに5番・甲斐拓也との対決を挙げ、「1打席目は5球全てカーブで三振に取っていて、2打席目も初球カーブから。甲斐に『カーブだろうな』と思わせたところで、最後はまっすぐで手も足も出ない三振」と、特に緩いカーブの使い方を絶賛。
つづけて、「今日は炭谷と2試合目のコンビになりましたが、岸の良いところを引き出しているなぁという感じがしますね」と、トレードで加入した“かつての同僚”の存在についても言及。「緩いカーブを投げるのは怖いんですが、あれがあるのでまっすぐが生きてくる」と、あえて緩いボールで攻めていったバッテリーの姿勢を讃えた。
また、捕手出身の達川光男氏も、炭谷の加入について「楽天は若いキャッチャーばかりだったので、炭谷の補強は大きいですよね」とコメント。
具体的には「バッターの洞察力にすごく長けていますよね。ふつう5球も続けてカーブって、若い子はなかなかできない。インサイドの使い方も上手ですよね」と特長についても語りつつ、「西武、巨人から楽天へ来ましたけど、一番のびのびやっていますね」と、新天地でのプレーぶりの変化も推察する。
前半戦終了時点で、首位・オリックスとの差は1.5ゲーム。経験豊富なベテラン捕手は、優勝への最後のピースとなるのか。
電撃トレードからチームの救世主へ…?後半戦も“楽天・炭谷銀仁朗”から目が離せない。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2021』