春先は佐々木千隼がロングで存在感
前半戦20度逆転勝ちがあった3位・ロッテ。今季ここまで384得点を挙げているが、イニング別では3回の55得点に次いで6回の48得点、8回の47得点と試合中盤から終盤にかけての得点が多い。序盤1、2点リードを許している展開でも、先発、リリーフ陣が踏ん張り終盤に逆転勝ち、負け試合を引き分けに持っていっている試合もある。
そのなかでも、ビハインドゲームで投げるリリーフの存在が光る。開幕直後は佐々木千隼がビハインドゲームのロングリリーフを担っていたが、今季4勝のうち3度がリードを許す展開で登板し、その後味方が逆転して挙げた白星だ。
今季初勝利を挙げた4月18日のオリックス戦は1-2の8回から登板し、三者凡退に抑えると、直後の9回にチームは逆転勝ち。2勝目を挙げた4月21日の日本ハム戦も、4-5の9回から登板し、三者凡退に仕留め、その裏に岡大海の逆転2ランでサヨナラ勝ち。5月25日の阪神戦も三者凡退に抑えた直後の8回にマーティンの逆転2ランが飛び出し、4勝目を手にした。
佐々木は4月に行ったオンライン取材で「ビハインドだったらできる限り傷口を広げないように、そのあと逆転できるように流れが持ってこれるようなピッチングができたらいいなと思って心がけています。ただ、そんなに簡単ではないので、結果的にそうなればいいなと思います」と、ビハインドゲームでの心構えを明かしている。
大嶺もロングで安定した投球披露
大嶺祐太も5月後半から6月前半にかけて、ビハインドゲームのロングリリーフで、チームに流れを呼び込んだ。
佐々木が4勝目を挙げた5月25日の阪神戦では、1-3の5回に先発・二木康太の後を受けて2番手で登板し、2回を無失点に抑えると、6月4日のDeNA戦では5-5の4回からマウンドに上がり2回を無失点に抑え、17年6月8日の中日戦以来となる白星を手にした。
大嶺は6月のオンライン取材で「ロングで投げる時はビハインドなので、なるべく最少失点でというか、チームに流れがいくように心がけるようにしています。なるべく四球を出さないように、テンポが崩れないように、打撃に入りやすいように投げています」と話している。
ビハインドゲームを勝ちゲームに
直近でいえば、7月3日の楽天戦もリリーフ陣の粘りが逆転勝利を呼び込んだ。
2-2の5回一死一、二塁から2番手として登板した東妻勇輔が銀次に適時打を浴び勝ち越しを許したが、この1点でなんとかしのぐと、6回・小野郁、7回からの2イニングをフローレスが無失点に抑え、2-3の8回に中村奨吾の第6号2ラン、岡大海の第3号2ランで逆転に成功。5-3となった9回は守護神・益田直也が締めて勝利した。
そのほか、5月14日の西武戦では2-4とリードを許す展開も7回・小野、8回・河村説人、9回・土居豪人がそれぞれ無失点に抑えると、9回にレアードが同点2ランを放ち、負けゲームを引き分けに持ち込んだということもあった。
先発が早いイニングでマウンドを降りたあとも、リリーフ陣が最少失点で切り抜ければ、今季は12球団ナンバー1の得点力を誇る打線が試合終盤に逆転してくれる可能性を秘めている。勝ちゲームを勝ちきり、負けゲームを勝ちゲーム、引き分けにする試合が増えれば、リーグ優勝も見えてくる。
文=岩下雄太