佐藤輝が26打席連続無安打……
8月29日に阪神が首位から陥落。開幕から長らくドラフト1位ルーキーの佐藤輝明をはじめとした打線がチームを引っ張ってきたが、ここにきてチーム状態はあまり芳しくない。
8月31日の中日戦では、オールスターゲーム後に一時帰国していたマルテがようやく復帰したものの、大山悠輔と佐藤が不振でスタメンを外れた。その試合で大山と佐藤は代打で出場したものの、ともに空振りの三振。とくに佐藤は26打席連続無安打と浮上の兆しは見られない。
打線に元気がないのであれば投手陣の踏ん張りに期待したいところだが、同試合ではチームの勝ち頭である青柳晃洋が5回5失点と打ち込まれた。試合前まではリーグトップだった防御率も「1.91」から「2.22」に悪化し、柳裕也(中日/2.10)に次ぐリーグ2位に後退。シーズン終盤を迎えての不振は、ファンからしても気がかりだろう。
ここまでの阪神が叩き出した411得点は巨人と並んでリーグ2位タイ。よって、大山や佐藤をはじめとした打線の復調を待ちたくなるが、過去の優勝年を見ると、打線よりも投手陣の踏ん張りでリーグ優勝を成し遂げてきたことがわかる。
タイトルホルダーがチームをけん引
これまで阪神は5度のリーグ優勝があるが、そのうち4度はチーム防御率がリーグトップだった(1962年「2.03」、1964年「2.75」、2003年「3.53」、2005年「3.24」)。
また、1962年は村山実(最優秀防御率)、1964年はバッキー(最多勝、最優秀防御率)、2003年は井川慶(最多勝、最優秀防御率)、2005年は下柳剛(最多勝)と、最優秀防御率や最多勝のタイトルを獲得する投手がチームを引っ張っていたこともわかる。
過去の優勝で唯一、チーム防御率がリーグ1位でなく、なおかつ投手のタイトルホルダーも出なかった1985年は、打撃三冠王のバースという圧倒的な存在がいた。その他にも掛布雅之、真弓明信、岡田彰布ら長打力がある打者が多く、現在でも球団記録となっている219本塁打を放っている。その打力で、チーム防御率リーグ4位だった投手陣をカバーした。
この1985年の猛虎打線の印象がどうしても強いが、阪神は広い甲子園球場を本拠地としていることもあり、これまでの5度の優勝のうち4度は投手陣の力で優勝をもぎ取ってきたという実績がある。
今シーズンは現時点で青柳がリーグトップタイの10勝、そしてリーグ2位の防御率2.22とタイトルを狙える頼れるエースがいる。抑えのスアレスもリーグトップの27セーブをマークし、防御率1.41と、こちらもタイトルは射程圏内だ。そして過去の優勝からも鍵を握りそうな、チーム防御率は3.46でリーグ2位。中日のチーム防御率3.17を追い抜くのは難しかもしれないが、そこに肉薄していくことで優勝が見えてくるのかもしれない。
※数字は2021年8月31日終了時点