優勝マジック5
2位・ロッテは残り6試合で優勝マジックが「5」。首位・オリックスは残り1試合で、最終戦となる25日の楽天戦は現在自身14連勝中のエース・山本由伸が先発することが濃厚。山本の今季楽天戦の登板成績が3試合・23イニングを投げて、2勝0敗、防御率1.17ということに加え、中8日で先発することを考えると、オリックスが勝利する可能性が高い。ロッテがリーグ制覇するためには、残り6試合で勝利を積み重ねて優勝マジックを減らしていくしかない。
巷ではロッテが残り試合数で勝ち続けなければリーグ制覇が厳しいこともあり、オリックスが有利だと見ている人が多い。ロッテは他球団のエース級とぶつかる可能性が非常に高く、25日のソフトバンク戦では、前回対戦で7回までノーヒットに抑え込まれた千賀滉大の先発が予想される。そういったことを踏まえて、オリックスが有利と言われるのは仕方がない。
安定の投手陣
残り試合でエース級の投手との対戦が続くが、シーズン最終盤で日程が緩やかなこともあり、ロッテも調子の良い先発を中心に投げさせることができる。後半戦に入ってから小島和哉は2度の完封勝利を挙げるなど、後半戦は9試合・61回1/3を投げて5勝1敗、防御率2.79とエース級の働きを見せ、高卒2年目の佐々木朗希も後半戦は5試合・31回を投げて2勝0敗、防御率1.45で、ここ3試合はクオリティ・スタート(6回3自責点以内)を達成し安定した投球を見せる。
6月に右肘を手術した石川歩も現在2連勝中で、前回登板の10月13日のオリックス戦では9回2失点で完投勝利。交流戦で2試合連続二桁失点を喫した美馬学もここ2試合はQSを達成し、前回登板の10月18日の西武戦は初回に失点したものの、2回以降はわずか1安打に封じ込むなど7回を1失点にまとめた。石川、美馬の“両エース格”も、ここへきて調子を上げてきた。
リリーフ陣も唐川侑己が一軍復帰し、唐川、国吉佑樹、佐々木千隼、益田直也の“勝利の方程式”は盤石。4連戦以上の連戦は1度もなく、“勝利の方程式”を3連投させることも可能だ。セットアッパー陣は唐川が戻ってきたこともあり、先発陣が長いイニングを投げれば、7回、8回を臨機応変に起用することができそうだ。
現状では打線の大量得点が見込めず、投手陣にかかる負担やプレッシャーは大きいが、先発がゲームを作り、その間に打線が1点を奪い、終盤はリリーフ陣で逃げ切るという形を作っていきたい。
過去には何度もミラクル
優勝マジック「5」で残り6試合。選手たちも負けられないというプレッシャーで、いつも以上に緊張感を感じることだろう。残り6試合中5試合は本拠地・ZOZOマリンスタジアムで行われる。今季マリンで31勝29敗7分とそこまで多く貯金が作れていないとはいえ、ホームで大勢のマリーンズファンの前で戦うことができる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で声援を送ることはできないが、拍手による熱い応援の後押しもある。
世間はオリックス優勢の風向きだ。2010年に3位からの下剋上で日本一したときは、シーズン最終盤に1つでも負けたら4位というところで、最後にマリンで3連勝して3位に入り、15年も9月が終了した時点で4位も10月1日の日本ハム戦に勝利すると、そこからシーズン終了まで4勝1敗で3位に入った過去がある。
“優勝争い”と“CS争い”、当時とメンバーが変わっており単純に比較はできないが、どこかでミラクルを起こすというのがこのチームの特徴のひとつだ。泣いても、笑っても残りは6試合。緊張感でガチガチになりすぎず、いつも通りの戦いをすれば勝てる。間違いなくチーム力はここ2年で上がっている。選手は自分の力を信じて、ファンも選手を信じて最後までともに戦おう。
▼ ロッテの残り試合
23(土)vs日本ハム[ZOZOマリン]
24(日)vs日本ハム[ZOZOマリン]
25(月)vsソフトバンク[ZOZOマリン]
27(水)vs楽天[楽天生命パーク]
29(金)vs日本ハム[ZOZOマリン]
30(土)vs日本ハム[ZOZOマリン]
文=岩下雄太