優勝マジックは3
ロッテは25日に行われたソフトバンク戦に7-15で敗れ、オリックスが楽天に勝利したため、優勝マジックは「3」のままだが2位に後退。ロッテがリーグ制覇するためには残り3試合を3勝0敗、もしくは2勝1分が条件となる。
25日のソフトバンク戦は投手陣が20被安打で15失点を喫し大敗したとはいえ、打線が14日のオリックス戦以来となる2桁11安打を放ち7得点を挙げた。11安打で7得点を挙げたこともそうだが、4回表終了時点で1-10となっても、攻撃陣が最後まで諦めず戦う姿勢を見せていた。一方的な試合展開になるとどうしても淡白な攻撃になってしまうが、1-10となった4回裏は得点とはならかったものの、先頭のマーティンがきっちりとボールを見極め、四球を選び出塁した。
続く5回も先頭の安田尚憲が、ソフトバンク先発・千賀滉大に3ボール2ストライクから150キロを超えるストレートを2球連続でファウルにしたあとのフォークをライト前にはじき返した。岡大海が右中間を破る二塁打で二、三塁とチャンスを広げ、藤岡裕大がセンター前に意地の2点適時打。後続が打ち取られこの回は2点で終わったものの、5回の1イニングだけで36球を投げさせた。
千賀がマウンドを降りた後も、3-13の7回二死走者なしから佐藤都志也が粘りに粘って、2番手・石川柊太が投じた10球目のストレートをライトスタンド中段に突き刺す第5号ソロ。4-15の8回は甲斐野央に対し、先頭の中村奨吾が四球を選び、一死二塁からレアードがレフトスタンドに打った瞬間にそれとわかる第29号2ランを放った。
6-15の9回も二死走者なしから中村が、板東湧梧の初球のストレートを捉え二塁打。続く山口航輝の三ゴロで試合終了かと思われたが、三塁・高田知季の悪送球で二塁走者の中村が生還した。投手陣が打ち込まれ、打線が千賀の前に沈黙して敗れるというのではなく、最後まで選手たちが戦う姿勢を見せ、次に繋がる敗戦だったのではないだろうか。
逆境に強い
もう1つも負けられないという厳しい状況だが、過去にもCS出場を争う球団が先に全日程を消化し、ロッテが全部勝たなければCSに出場できないという状況だったことがある。
それが、3位から下剋上で日本一となった2010年だ。このときは3位・日本ハムが先に全日程を消化した状況で0.5差の4位だったロッテが、2試合を残すという展開だった。ロッテは9月29日のオリックス戦に3-2で勝利して、日本ハムと並び同率3位になると、最終戦となった10月1日のオリックス戦に5-4で勝利し単独3位でCS進出を決めた。
15年も9月が終了した時点で4位も、10月1日の日本ハム戦に勝利し3位に浮上。10月2日の楽天戦に敗れ、既に全日程を終えていた西武と並び同率3位となったが、残り4試合を4連勝でフィニッシュ。3位でCS進出した。
“優勝争い”と“CS争い”、当時とメンバーが変わっており単純に比較はできないが、マリーンズの歴史においてこういったミラクルが数年に1度の確率で起こっている。
残りは27日の楽天戦、29日・30日の日本ハム戦の3試合。“エース級”の投手との対戦が予想され、苦しい戦いが強いられそうだ。ただ、3連戦は1度もなく、唐川侑己、国吉佑樹、佐々木千隼、益田直也の“勝利の方程式”の4人を出し惜しみするとなく投入ができる。
先発陣は初回から全力で飛ばして、6回からは唐川、国吉、佐々木、益田で逃げ切ることも可能だ。なんといっても、10月は6回終了時点でリードしていれば8勝0敗1分。打線も9、10月は低調だが、全く点が取れないというわけではない。
“1敗も許されない崖っぷちの状況”と言うとネガティブになってしまうが、“3連勝で優勝”とポジティブな言葉に変換すれば前向きになれる。ちなみにロッテは今年、3連勝以上が8度ある。直近の3連勝は10月13日のオリックス戦から15日のソフトバンク戦にかけての3連勝だ。泣いても、笑っても残りは3試合。選手たちは自分の力を信じ、ファンも選手を信じて最後までともに戦おう。
▼ ロッテの残り試合
27(水)vs楽天[楽天生命パーク]
29(金)vs日本ハム[ZOZOマリン]
30(土)vs日本ハム[ZOZOマリン]
文=岩下雄太