ミニッツ・メイド・パーク

◆ 初戦は日本時間27日9時9分から

 現地26日(日本時間27日)、第117回ワールドシリーズ(WS)が、ア・リーグ(AL)覇者アストロズの本拠地・ヒューストンで開幕する。対戦相手は、22年ぶりにナ・リーグ(NL)を制したアトランタ・ブレーブス。

 前評判では、直近5シーズンで3度目のWS進出となるアストロズが優勢。両者のレギュラーシーズンにおける成績を比べても、AL2位となる95勝67敗のアストロズに対し、ブレーブスは88勝73敗。地力はアストロズが一枚上だ。

 ただし、過去10年のWSでレギュラーシーズンの成績が良かった方のチームは5勝4敗(2013年は同率チームが対戦)と拮抗している。短期決戦だけに、ポストシーズンに入ってからの勢いが、より重要となっている。

◆ 多彩なアストロスと一発のブレーブス

 ここからは今季の両チームの各種データを比較しながら展望していこう。

 まず、打撃面を比べると、やはりアストロズ打線の破壊力が上。レギュラーシーズンでは両リーグ1位となる863得点を挙げている。一方、ブレーブスは同8位の790得点。しかし、ブレーブスは投手が打席に立つNLのチームということを考えると、アストロズ打線に大きく劣っているとまでは言えない。

 ただし得点パターンは本塁打頼みのブレーブスと多彩なアストロズという側面がある。ブレーブスの今季239本塁打は両リーグ3位で、得点数を本塁打数で割った数値は「3.31」。これが低いほど、本塁打頼みということになるが、今季ブレーブスの数値は両リーグで4番目に低かった。

 一方、221本塁打のアストロズはこの数値が「3.90」。これは両リーグ23位で、下からは9番目である。両リーグトップの834四球を選ぶなど、粘り強さもアストロズ打線の特長の一つと言えるだろう。

 タイプは違うが、ともに強打を誇る両者。このポストシーズンでは、アストロズ打線の勢いが勝っている。ともに10試合で本塁打数はブレーブス12本、アストロズ13本と変わらないが、得点数はブレーブスの「40」に対し、アストロズは「67」と大きな差がついている。

 その要因は両者の得点圏打率だ。ブレーブスが「.246」とやや低調。一方のアストロズは「.360」で、チャンスで勝負強さを見せている。WSでもこの傾向が続くようなら、アストロズの優位は揺るがないだろう。

◆ 投手陣は球宴後に明暗?

 続いて投手力を比較してみよう。レギュラーシーズンの防御率はブレーブスが「3.88」、アストロズが「3.78」と拮抗。ただし、オールスターを境に明暗が分かれている。

 ブレーブスの球宴前の防御率は「4.24」で、台所事情は決して芳しくなかった。しかし、球宴後は投手陣の立て直しに成功し、「3.44」まで改善。ポストシーズンでも「3.41」と安定している。

 対するアストロズの投手陣は、球宴前の「3.60」から、球宴後は「4.02」に悪化。ポストシーズンに入ってからは、「4.50」。エース格のマカラーズJr.が戦線離脱中なのも大きな痛手となりそうだ。

 続いて、両チームからカギを握る選手を1人ずつ挙げてみたい。

 まずブレーブスからは外野手のホルヘ・ソレアをピックアップ。今季途中にロイヤルズから加入した右の長距離砲で、移籍前は打率1割台に低迷していた。ところが、ブレーブス加入後は打撃が向上。55試合で打率.269、14本塁打を放ち、アクーニャJr.の穴を埋めている。

 ロイヤル時代には本塁打王にも輝き、16年にはカブスの世界一にも貢献。特に指名打者制が使えるアストロズ本拠地での爆発に期待したい。

 一方、アストロズのキープレイヤーには第2戦の先発マウンドが予想されるルイス・ガルシアの名前を挙げたい。

 このポストシーズンで3試合に先発し、2試合で序盤にノックアウトされたが、直近のレッドソックス戦では6回途中まで1安打、無失点と挽回に成功。もし、このシリーズが早期決着を見なければ、ガルシアは第6戦の先発マウンドにも登るだろう。第2戦と第6戦は、どちらもアストロズのホームゲームだが、ロードの「4.24」に対し、ホームでは「2.73」と安定した防御率を残している。ガルシアにとって慣れたマウンドで登板できることは大きなプラスと言えそうだ。

 下馬評で劣るブレーブスは第1戦のマウンドに、ポストシーズンの経験が豊富なチャーリー・モートンを送り込み必勝態勢。もしアストロズがホーム初戦を落とせば、第2戦は絶対に負けられない戦いとなる。

 残念ながら今年は日本人選手が不在のWSとなってしまったが、アストロズとブレーブスには死力を尽くした熱戦を期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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