2年ぶりの1stステージ!
いよいよ今週末の6日(土)から『パーソル クライマックスシリーズ パ』の1stステージが始まる。
昨季はコロナ禍によりファイナルステージのみの開催となったパ・リーグだが、今季は2年ぶりに1stステージからの開催となり、マジックを点灯させたまま2位でシーズンを終えたロッテと、田中将大の補強によって優勝候補に挙げられながら3位に終わった楽天が、25年ぶりのリーグ制覇を果たしたオリックスへの挑戦権をかけてZOZOマリンを舞台に戦う。
そこで今回は、ファーストステージの見所と展望を、プロ野球中継の解説を含めて様々な分野で活躍し、ロッテOBでもあるGG佐藤さんに伺った。(※インタビュー収録:11月2日)
ロッテはファイナルよりも1stステージが難しい?
——ロッテと楽天のシーズン終盤の戦いぶりはどのように見ていましたか?
GG佐藤 オリックスも含めて言えることになりますが、3チームともに最終的には攻撃力が落ちましたよね。打線に元気がなくなって得点力が落ちてしまったかなと感じます。ロッテにはずっとマジックがついていましたけど、裏マジックでオリックスにもついていましたから、オリックスの方が有利な展開でしたよね、最後の最後まで。
——ロッテが負けてオリックスの優勝が決まったときのGGさんのtwitterも拝見させて頂いていましたけど、改めてあのときの心境は?
GG佐藤 僕は開幕前からロッテを優勝予想していたんです。解説者の中で僕だけだったらしいんですけど、だから「一人勝ちになるぞ!」と思っていたので、それがかなわず悔しかったです(笑)。
——それがコアラのマーチのやけ食いに繋がったわけですね(笑)。
GG佐藤 そうです、そうです(笑)。
——そのロッテがシーズンを4連敗で終わってしまいました。目前で優勝を逃したことによるロッテのメンタルというか雰囲気、チームの立て直しなどは短期間でできるものでしょうか?
GG佐藤 まぁ最後の2連敗は消化ゲームでしたからあんまり関係ないですよね。その分ロッテの方が最後の最後まで実戦ができたというふうにプラスに考えることもできると思います。それはいいんですけど、ロッテはファイナルステージよりも1stステージの方が苦しいと思いますよ。
——どのあたりが苦しいですか?
GG佐藤 楽天の先発ピッチャーは三本柱の則本、岸、田中と予想しているんですけど、強力な3人ですよね。そこを上手く攻略できるのかがちょっと心配ですよね。
——なるほど。逆に「GG佐藤監督」だったらロッテの先発は誰に託しますか?
GG佐藤 第1戦は石川、佐々木と候補もいますけど、僕なら小島でいきたいですね。小島は楽天と相性もいい(※現在3連勝中)。楽天は左バッターが多いですしね。そのあとの第2戦は石川、第3戦は佐々木でいきます。「GG佐藤監督」だったらね。(※インタビュー2日後に、第1戦は佐々木、小第2戦に先発と発表)
ロッテのキーマンは荻野、楽天は松井?
——楽天でこの選手を乗せると怖いな、マークしておかないといけないという選手は誰になりますか?
GG佐藤 楽天は安定的な戦い方をしていますからキーマンというキーマンはいないと思うんですけど、(フェニックスリーグでも登板していた)松井裕樹のメンバー入りがあるんじゃないかと見ています。
あとは涌井をジョーカー的な使い方をしてくるんじゃないかとか。ロングリリーフもいけますし、大事なところで上手く使ってくるかもしれないです。だからキーマンというか松井と涌井が復帰・復調するかどうか、そこがキーになる気はします。
——ロッテのキーマンはどうですか? 先ほどピッチャーでは小島の名前が出ましたけど。
GG佐藤 打者は荻野です。荻野がリードオフマンとしてどれだけやってくれるかというところ。あとは外国人選手の出来ですね。マーティンとレアード次第!
——ちなみにGGさんは現役時代にロッテでCSに出場されていますけども、短期決戦独特の難しさなどはあるものですか?
GG佐藤 プロ野球選手って極端にいうと今日打たなくてもいい。明日打てばいいし、今日負けても明日勝てばいい。140数試合のトータルで3割を打てばいいし、最終的に70勝の後半くらい勝つことを目指してやっている。そういう意味では、短期決戦の戦い方には慣れていないものなんです。
オリンピックでもプロの選手が出てもあんまり活躍できなかったり、結果が出せないというのは、短期決戦の弱さがみんなあるからだと思うんです。そこにプラスして短期決戦ではエース級のピッチャーが出てくる。中継ぎも基本的には勝ちパターンのピッチャーばかり出てきますから、点が取れない。
——そこでいかにして点を取るのか? ということですね。
GG佐藤 そうですね。バントをするのか、思い切ってヒットエンドランを仕掛けるのか、足を絡めるのか、色々ありますけど、少ないチャンスをどうモノにしていくのか? それが短期決戦のキーポイントです。それが一番上手いのがオリックス、次がロッテ、その次に楽天ですかね。楽天はあんまり動かないですから。
オリックスはシーズンを通して点の取り方が上手かった。最終戦の2ランスクイズみたいに色んなことをしてきますし、相手からしたら嫌ですよね、ちょっとやりにくい。今年になってから急にね(笑)。
若い指揮官たちの采配にも注目!
——CSに残った3球団の監督は全員若くて、そんなに短期決戦の戦い方を熟知しているというほどの経験値はないないかもしれませんが、それぞれの采配、ベンチワークにも注目してみたいですね。
GG佐藤 本当ですね。ラッキーボーイが出ることがある反面、逆ラッキーボーイ、逆シリーズ男と呼ばれるような選手が出ることもあります。もう徹底してその選手で勝負してくるみたいなところもあるので、そういう選手を作らないこと。そういう選手が出たら思い切って代える、そういった判断、采配も短期決戦では必要になると思います。メンタルが回復するのを待っている時間がないですから。監督もシーズン中とは違う早い決断が求められると思います。
——キャッチャーはどうですか? 「短期決戦を制するチームに名捕手あり」という印象もありますが、3球団共にキャッチャーは固定されていない状況です。
GG佐藤 ロッテは田村のケガ(左内腹斜筋損傷)もあり加藤でいくと思います。楽天は銀仁朗(炭谷)が入ったのが大きい。変化球の使い方が上手いですし、岸とかを上手くリードしている。太田も勉強になっていると思います。
ファイナルステージは「0勝2敗」から始まると思うべし!
——ファーストステージを勝ち抜くのはどちらだと思いますか?
GG佐藤 もし楽天が勝ち抜いた場合はファイナルステージではオリックスが勝つと思いますし、ロッテが勝ち抜いた場合はオリックスを倒せる可能性があると思っています。
——どのあたりにロッテの可能性を感じていますか?
GG佐藤 10月(12〜14日)のオリックスとの最後の3連戦で先発の田嶋、山崎、宮城の左3枚に対して2勝1分けでロッテが勝ち越した。だからロッテが勝ち上がった場合は、その勢いのままオリックスを倒せそうな気もする。だからオリックスとしてもロッテが上がってくる方が嫌だと思いますね。
——山本由伸投手が出てきた場合はどうなりますか? 打ち崩すのが難しいですよね。
GG佐藤 無理です! アドバンテージの1勝も含めて0勝2敗から始まると思った方がいい。ファイナルステージは。楽天が上がってきた場合は、さっきの左の3人が来たら2敗はしてしまうと思うんです、左打者が多いし、今季の対戦成績もそれほど良くない印象がある(※対楽天戦は、宮城が防御率2.23、田嶋が防御率1.42、山﨑が防御率1.96)。
ロッテだったらさっきお話ししたとおり、その左3本は攻略できそうな気がするので、下剋上もあるのかなと。そういう意味でもロッテが上がってきた方が面白くなるかもしれない。
まぁでも、やっぱりファーストステージの楽天が怖いですね。ファイナルステージよりもロッテのポイントはそこですね。
——ちなみにCSはどちらで観られる予定ですか?
GG佐藤 初戦は千葉マリンに応援に行きます! チケットもとりました(笑)!
——それは楽しみですね。試合後のTwitter投稿も楽しみにしております!
取材・構成=永松欣也(ながまつ・きんや)