ファーストステージで大活躍
2位・ロッテが、3位・楽天との『2021 パーソル クライマックスシリーズパ』のファーストステージを1勝1分で勝ち抜き、10日からリーグ制覇したオリックスと日本シリーズ進出をかけてファイナルステージを戦う。
ファーストステージは初戦が1点を追う8回にエチェバリアの本塁打で同点に追いつき、9回に代打・佐藤都志也の適時打でサヨナラ勝ち、第2戦も1点を追う7回にマーティンの値千金の同点ソロで引き分けに持ち込んだ。
荻野貴司、マーティン、中村奨吾、レアードといった主力が良い働きを見せた中で、2試合連続で『6番・ライト』でスタメン出場した高卒3年目の山口航輝もファーストステージの打撃成績が打率.667(6-4)、1本塁打、2打点と先輩たちに負けじと存在感を示した。
特に2戦目は0-2の2回無死一塁で迎えた第1打席、楽天の先発・岸孝之が投じた初球のストレートをセンター左に弾き返すと、1-2の4回一死一塁の第2打席は3ボール2ストライクからの7球目チェンジアップをレフトへ運ぶ適時二塁打。
さらに2-2の6回一死走者なしの第3打席は、2番手・安楽智大が1ボール1ストライクから投じた3球目のストレートを振り抜くと、打球はライトポールに直撃する一時勝ち越しとなるソロ。三塁打が出れば、サイクル安打という活躍ぶりだった。
昨年の今頃はファームで汗を流す
3年目の今季9本の本塁打を放った山口だが、昨年までのプロ2年間は一軍出場がなく、昨年の今頃はフェニックスリーグで汗を流していた。そのフェニックスリーグの期間中に山口は、すり足気味に打っていた構えを、左足をあげて打つ打撃フォームに変更した。
「自分の中で飛ばしたいというのがありました。そのなかで、長打というのを増やしたいと考えたときに、何か変えてみようと思い、今まで野球を始めた頃からすり足で打っていたのを、足をあげて打ってみようかなと。少し練習してフェニックスに入って、そのなかでいい形で打てました」と今年2月に行ったオンライン取材で語っている。
シーズンが始まってからも、打撃フォームを微調整させている。9月に行ったオンライン取材では「楽に構えられる位置からと思っているので、変わったかなと思います」と話し、ホームベースからやや離れて打席に立つケースが多くなっていたことについて訊いてみると、「少し離れたり、くっついたり色々試している感じです」と打席内で工夫していることを教えてくれた。
またその時の取材で、「力だけじゃダメだというのもわかりましたし、当てにいくのではなく、振りにいくなかで、コンパクトにというイメージでやっています」と、一軍の投手と対戦したなかで新たに取り組み始めたことについても明かしている。
「今できることをしっかりやらないといけない立場だと思うので、1日1日自分ができることをしっかりやっていきたい」と話した通り、9月上旬に行ったオンライン取材以降も“バット”でチームの勝利に貢献。10日から始まるオリックスとのファイナルステージでも、そのパワフルなスイングで勝利に繋がる一打を放って欲しいところだ。
文=岩下雄太