ニュース 2021.11.15. 17:00

前半の岩下、後半の小島と朗希 ロッテの先発陣を振り返る

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プロ2勝目を東北の地で挙げたロッテ・佐々木朗希 (C) Kyodo News

チーム先発防御率「3.93」


 ロッテはシーズンの最終盤までオリックスとリーグ優勝を争ったが、2年連続2位に終わった。

 先発陣のチーム防御率はリーグ5位の「3.93」、先発投手の指標のひとつにあたるクオリティ・スタート(6回以上3自責点以内)もリーグ5位の65だった。優勝したオリックスには投手4冠の山本由伸、リーグ2位の13勝を挙げた宮城大弥と“勝ち頭”が2人いたが、今季のロッテ先発陣に関していえば、シーズン前半は岩下大輝、後半に小島和哉、佐々木朗希が安定した投球を見せるも、シーズン通して“勝ち頭”、“エース”と呼べる存在がいなかった。

 パ・リーグの防御率、QSランキングを見ても、防御率、QSともにリーグ12位の小島がチームトップ。この数字を見ただけでも、先発陣の台所事情が苦しかった理由が見えてくる。

▼ パ・リーグのQS数
1位 75 オリックス(山本、宮城、田嶋、山崎福)
2位 73 日本ハム(上沢、伊藤、加藤)
3位 72 楽天(田中、岸、則本)
4位 69 ソフトバンク(マルティネス、石川、千賀)
5位 65 ロッテ(小島、美馬、岩下)
6位 54 西武(高橋光、今井、松本)
※()はQSを10回以上達成した投手


序盤は岩下が先発陣を引っ張る


 シーズンを細かく振り返ると、昨季リーグトップの133回1/3を投げた石川歩が故障で出遅れ、昨季チームトップの10勝を挙げた美馬学、昨季自己最多の白星を積み重ねた二木康太、小島、岩下の3人に、ルーキーの鈴木昭汰、開幕前に育成選手から支配下選手となった本前郁也が開幕ローテ入り。20代の投手が5人、開幕ローテーションに入るフレッシュな顔ぶれとなった。

 前半戦、先発陣を引っ張ったのは岩下だ。前半戦は14試合に先発し、全て5イニング以上投げた。6月18日の西武戦から7月13日の西武戦にかけて自身4連勝。前半戦だけでシーズン自己最多の8勝をマークし、交流戦明け最初の試合となった6月18日の西武戦では、先発を託された。

 岩下は「去年は正直1週間に1度投げ続けるのがいっぱいいっぱいだったんですけど、今年はそのなかで1週間に1度、どれだけのことができるのかということを意識しながら投げられている部分はあるかなと思います」と5月上旬の取材で話していた。

 昨季からの上積みが期待された二木と小島は開幕から先発ローテーションで投げていたが、ピリッとせず。開幕投手を務めた二木は4月2日の日本ハム戦から3試合連続で7イニング以上を投げるなど、4月終了時点で防御率2.42だったが、5月以降は徐々に不安定な投球が増えた。小島も交流戦前までは“左打者”に課題を抱えるなど、前半戦が終了したときに5勝を挙げるも防御率は4.69。

 昨季“エース格”だった石川は4月13日の楽天戦で今季初登板したが、6月に右肘関節クリーニング手術を行い、美馬も交流戦で2試合連続2桁失点を喫し6月13日に一軍登録抹消となった。

 先発としてある程度“計算”していた石川、美馬、二木、小島の故障や不調といった“誤算”もあり、前半戦のチーム先発防御率は「4.41」だった。


佐々木朗希、小島が躍動


 東京五輪による中断が約1カ月あり、なんとか先発陣を立て直したいところだったが、後半戦が始まってからも、先発陣が早いイニングで失点を繰り返す。8月もチーム先発防御率は「4.33」と、“勝負の9月”を前にその不安は解消されなかった。

 9月最初の1日の西武戦で岩下が2回を投げ6失点、3日の日本ハム戦は7-5で勝利したが、小島が4回1/3を投げ5失点、翌4日の日本ハム戦も鈴木が4回3失点でマウンドを降りた。

 5日の日本ハム戦で新外国人のロメロが7回1失点に抑えゲームを作ると、この試合を境に先発陣が安定。5日の日本ハム戦から20日の日本ハム戦にかけて13試合戦ったが、5回を投げきれなかった先発は15日のソフトバンク戦で3回1/3で降板した美馬のみ。そのほかの12試合は先発投手が5イニング以上投げ、6イニング以上投げた試合は10試合もあった。

 先発陣が安定してきたなかで、抜群の存在感を放ったのが佐々木と小島の2人。5月16日の西武戦でプロ初先発を果たした高卒2年目の佐々木は、登板翌日に登録抹消し、登板間隔をしっかりとあけながら起用され、与えられた登板機会で結果を残し続けた。

 9月10日の楽天戦ではプロ入り後自己最長となる8回を投げ、2安打、9奪三振、2失点、この登板以降の4試合は全てQSを達成。東京五輪明けに限ると、6試合・37イニングを投げて、イニング数を上回る44奪三振、2勝0敗、防御率1.22と、打線の援護に恵まれない試合が多かったため勝ち星は2勝にとどまったが、圧巻の投球内容だった。

 小島も9月11日の楽天戦でプロ初の完投勝利を挙げると、続く9月19日の日本ハム戦では完封勝利。10月3日の楽天戦でも今季2度目の完封勝利と、後半戦は5勝1敗、防御率は2.67。右の佐々木、左の小島の2人が、シーズン後半の先発陣を支えた。


9月以降は先発陣が安定 その裏に加藤の存在


 小島、佐々木朗をはじめ9月以降は先発陣が安定し、9月のチーム先発防御率は「3.12」、10月のチーム先発防御率は「3.33」と改善された。その要因のひとつに6月15日に加藤翔平とのトレードで中日から加入した加藤匠馬の存在が挙げられる。

 前半戦は1度もスタメンマスクを被ることはなかったが、後半戦に入り先発マスクを被る機会を増やした。9月は24試合中20試合でスタメンマスクを被り、加藤がスタメン出場した試合は11勝7敗2分と勝ち越し、先発マスクを被ったときときの9月のチーム先発防御率は「2.83」だった。

 シーズン通して小島と佐々木朗希との相性が良く、小島は加藤がマスクを被ったときの防御率は「2.14」、佐々木も加藤がマスクを被ったときは防御率「1.22」。さらにシーズン途中先発に配置転換となったルーキーの河村説人も、加藤がマスクを被った時の防御率が「2.08」だった。


来季に向けてエース格が必要


 シーズン通してエースと呼べる存在はいなかったが、前半戦は岩下、後半戦は小島と佐々木が“エース級”の働きを見せた。チームとしてもう一段階上を目指すためにも、シーズン通して“〇〇が投げれば勝てる”と計算のできる “絶対的なエース”が必要になってくる。

 その片鱗を見せたのが後半戦の佐々木だ。常時ストレートが150キロ以上を計測し、勝負球のフォークもストライクゾーンからボールゾーンに落ちるフォーク、カウント球として投げるフォーク、左打者のアウトコースに逃げるフォークなど何種類も操り、奪三振能力も高い。150キロを超えるストレートを投げながら、シーズンで与えた四球は16個と制球力も良い。後半戦で見せた投球を来季シーズン通して投げることができれば、“エース”に近い存在まで成長するだろう。

 個人的には、昨年9月にトミー・ジョン手術を受けた種市篤暉に期待している。19年に8勝を挙げ、昨季は自身初の完封勝利を挙げるなど、故障前はエースに近い位置までのぼりつめた。順調に来季、復帰することができれば、150キロを超えるワクワクするようなストレートで、パ・リーグの強打者たちを圧倒してくれるはずだ。

 ロッテの先発陣は“エース”が不在ではあるが、経験豊富な石川と美馬に、二木、岩下、河村、本前と、次々に名前出てくるだけの頭数は揃いつつある。二軍に目を向けても、育成選手ではあるが二軍で今季最多勝利に輝いた森遼大朗、同じくファームで7勝を挙げた育成の佐藤奨真も控えている。心配なのは若手先発陣が今年の経験値を来季リセットされること。さらに上積みができれば、来季は今季以上にチーム先発防御率、QS数も増えるはずだ。そして、軸となる先発が出てくれば、リーグ優勝に大きく近づくだろう。

▼ 主な先発陣の成績 ※成績は先発のみ
小島和哉 24試 10勝4敗 146回 振92 四51 QS13 防3.76
岩下大輝 21試 8勝8敗 114回2/3 振84 四44 QS10 防4.24
美馬 学 21試 6勝7敗 115回1/3 振92 四32 QS11 防4.92
二木康太 21試 5勝7敗 116回 振76 四27 QS9 防4.27
石川 歩 12試 6勝3敗 80回 振42 四9 QS7 防3.38
鈴木昭汰 12試 1勝3敗 61回 振58 四23 QS5 防4.57
佐々木朗希 11試 3勝2敗 63回1/3 振68 四16 QS5 防2.27
本前郁也 8試 1勝2敗 37回2/3 振17 四15 QS1 防4.78
河村説人 5試 4勝1敗 26回2/3 振15 四8 QS1 防2.02
ロメロ  4試 1勝0敗 23回1/3 振20 四9 QS3 防1.54

文=岩下雄太

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