「プロ野球というのをよく知れたシーズンだったかなと思います」。
ロッテの河村説人は、プロ1年目を終えた今季をこのように振り返った。“よく知れた”部分について「何もわからない状態で入ったので、それでCSまでいけましたし、1年目にしては学べたものが多かったのかなと思います」と話し、「技術的にももちろん学んだんですけど、試合の流れであったり、毎日の生活の流れ、移動、いろいろと知れましたね」と、自分のなかでもルーティンのようなものが確立できたようだ。
星槎道都大からドラフト4位でプロ入りした河村は、プロ入り後初の対外試合登板となった2月16日の広島との練習試合から3月7日の西武戦にかけて6試合連続で無失点に抑えるなどアピールし、開幕一軍入りを掴む。
開幕当初の役割は主にビハインドゲームでのリリーフ。「最初は勝ちパターンではない部分で投げていたので、なんとか抑えるのはもちろんなんですけど、もっともっと投げる機会が多くなるように、しっかり投げたいなと思って投げました」。登板機会が増えるように、チームのために腕を振った。5月14日の西武戦では2-4の8回に登板し、わずか9球で三者凡退に終えると、9回裏にレアードの2ランで引き分けたという試合もあった。
しかし、5月18日のオリックス戦、5月21日の楽天戦で2試合連続失点を喫すると、5月22日に一軍登録を抹消された。
「ファームでうまく相手のバッターとの考え方というか、一軍から落ちてきて“二軍の選手に打たれてたまるか!”という思いで投げていました。この投げる感じがすごくよかったなと今では思っているので、バッターに対する意識、考え方を二軍で大切にしていました」。
ファームでは3試合リリーフ登板した後、6月13日のヤクルト戦から3試合連続で先発し、6月26日の楽天戦では6回・106球を投げ、5安打、7奪三振、0失点に抑え、7月7日に再昇格。プロ初先発となった7月7日のソフトバンク戦で5回を2安打1失点にまとめ、プロ初勝利を挙げた。
後半戦に入ってからはファームで先発登板を重ね、9月12日の楽天戦で一軍先発し5回1失点で2勝目、チームが3連敗中だった9月25日の西武戦では、走者を出しながらも5回2/3・111球、6安打、4奪三振、1失点の粘りのピッチングで3勝目を手にした。
9月25日の西武戦で印象に残ったのが3-0の4回一死二、三塁で山川穂高を迎えた場面。相手の裏をかいたような初球115キロのカーブでストライクを取った。
河村は「ランナーが二、三塁とかで、自分も投げる気はなかったんですけど、加藤さんが要求してくれて、すごくいいタイミングで挟んでくれたかなと思いますね。今年、カーブのなかでは一番使い所がよかったかなと思います」と振り返る。
加藤とは相性がよく、河村は加藤がマスクを被った登板は4試合・21回2/3を投げて自責点5、防御率にすると「2.08」だった。
河村は加藤と好相性だった要因に「カーブの使い方がすごくうまいなと自分も思っています。配球の面ですごく助かっていました」と話し、「また、あまり走られる機会も多くないので、そこも嬉しいなと思います」と感謝した。
一、二軍を含めて先発転向後の投球を見ていて、変化球が低めに集まっていると抑え、変化球が高めにくると打たれ出すように見えた。本人はどのように感じていたのだろうかーー
「高い、低いの問題ではないと思うんですけど、変化球がうまく制球できているときは、良いピッチングができているとき。後半は先発になって投げ出したとき変化球の手応えがよかったので、そこは繋がったかなと思います」。
そのなかで、自信を持って投げられた変化球について河村は「リリーフのときはフォークボールを使う事が多かったんですけど、先発になってスライダーをフォークより気持ち多めに投げていた。それがうまく制球もできていた。有効になったボールかなと思います」と、大学時代から自信を持っていたフォークではなく、スライダーを挙げた。
河村のスライダーを見ると横に曲げるだけでなく、10月29日の日本ハム戦では高濱祐仁に対し1ボール1ストライクから3球目に縦に落ちるスライダーで空振りを奪うなど、縦に落ちるスライダーも投げていた。
「感覚の問題なんですけど、より大きく曲げたいときとちょっと小さめに抑えたいときは多少変化が変わるかもしれないです。種類は1種類です」。
「空振りを取りたいときもそうですし、ある程度そのときの理想の変化量があると思う。それに近づけられるように投げられればと思います」。
後半戦は4試合に先発し3勝1敗、防御率2.08と来季に期待のもてる投球内容で終えた。
振り返れば、春季キャンプ中に行ったオンライン取材では「今の実力では先発に回れないと思っています」と自己評価していたが、シーズン最終盤は先発に欠かせない戦力の一人に成長した。
「球速自体はリリーフのときよりも出ていないと思うんですけど、それでもまっすぐでファウルが取れたりすることが多かった。自分の球をいろいろ再認識できた。しっかり投げればなんとか試合を作れるくらいになっているのかなと思います」。
収穫と課題がみつかったプロ1年目を終え、この秋は「まずは体をゼロまで戻して、そこから入れたいなという気持ちがあるんですけど、あとは球速を一番あげたいなと思っているので、そこを意識して取り組んでいます」と、ストレートアップを目指しトレーニングを積む。
「(来年は)開幕ローテーションに入って、そこから1年間回れるように投げたいと思います」。プロ野球選手としてのリズムを覚えた来季は、今季以上のパフォーマンスを見せて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太
ロッテの河村説人は、プロ1年目を終えた今季をこのように振り返った。“よく知れた”部分について「何もわからない状態で入ったので、それでCSまでいけましたし、1年目にしては学べたものが多かったのかなと思います」と話し、「技術的にももちろん学んだんですけど、試合の流れであったり、毎日の生活の流れ、移動、いろいろと知れましたね」と、自分のなかでもルーティンのようなものが確立できたようだ。
開幕一軍を掴むも
開幕当初の役割は主にビハインドゲームでのリリーフ。「最初は勝ちパターンではない部分で投げていたので、なんとか抑えるのはもちろんなんですけど、もっともっと投げる機会が多くなるように、しっかり投げたいなと思って投げました」。登板機会が増えるように、チームのために腕を振った。5月14日の西武戦では2-4の8回に登板し、わずか9球で三者凡退に終えると、9回裏にレアードの2ランで引き分けたという試合もあった。
しかし、5月18日のオリックス戦、5月21日の楽天戦で2試合連続失点を喫すると、5月22日に一軍登録を抹消された。
「ファームでうまく相手のバッターとの考え方というか、一軍から落ちてきて“二軍の選手に打たれてたまるか!”という思いで投げていました。この投げる感じがすごくよかったなと今では思っているので、バッターに対する意識、考え方を二軍で大切にしていました」。
ファームでは3試合リリーフ登板した後、6月13日のヤクルト戦から3試合連続で先発し、6月26日の楽天戦では6回・106球を投げ、5安打、7奪三振、0失点に抑え、7月7日に再昇格。プロ初先発となった7月7日のソフトバンク戦で5回を2安打1失点にまとめ、プロ初勝利を挙げた。
加藤と好相性
後半戦に入ってからはファームで先発登板を重ね、9月12日の楽天戦で一軍先発し5回1失点で2勝目、チームが3連敗中だった9月25日の西武戦では、走者を出しながらも5回2/3・111球、6安打、4奪三振、1失点の粘りのピッチングで3勝目を手にした。
9月25日の西武戦で印象に残ったのが3-0の4回一死二、三塁で山川穂高を迎えた場面。相手の裏をかいたような初球115キロのカーブでストライクを取った。
河村は「ランナーが二、三塁とかで、自分も投げる気はなかったんですけど、加藤さんが要求してくれて、すごくいいタイミングで挟んでくれたかなと思いますね。今年、カーブのなかでは一番使い所がよかったかなと思います」と振り返る。
加藤とは相性がよく、河村は加藤がマスクを被った登板は4試合・21回2/3を投げて自責点5、防御率にすると「2.08」だった。
河村は加藤と好相性だった要因に「カーブの使い方がすごくうまいなと自分も思っています。配球の面ですごく助かっていました」と話し、「また、あまり走られる機会も多くないので、そこも嬉しいなと思います」と感謝した。
自信を持って投げられた球種
一、二軍を含めて先発転向後の投球を見ていて、変化球が低めに集まっていると抑え、変化球が高めにくると打たれ出すように見えた。本人はどのように感じていたのだろうかーー
「高い、低いの問題ではないと思うんですけど、変化球がうまく制球できているときは、良いピッチングができているとき。後半は先発になって投げ出したとき変化球の手応えがよかったので、そこは繋がったかなと思います」。
そのなかで、自信を持って投げられた変化球について河村は「リリーフのときはフォークボールを使う事が多かったんですけど、先発になってスライダーをフォークより気持ち多めに投げていた。それがうまく制球もできていた。有効になったボールかなと思います」と、大学時代から自信を持っていたフォークではなく、スライダーを挙げた。
河村のスライダーを見ると横に曲げるだけでなく、10月29日の日本ハム戦では高濱祐仁に対し1ボール1ストライクから3球目に縦に落ちるスライダーで空振りを奪うなど、縦に落ちるスライダーも投げていた。
「感覚の問題なんですけど、より大きく曲げたいときとちょっと小さめに抑えたいときは多少変化が変わるかもしれないです。種類は1種類です」。
「空振りを取りたいときもそうですし、ある程度そのときの理想の変化量があると思う。それに近づけられるように投げられればと思います」。
来季に向けて
後半戦は4試合に先発し3勝1敗、防御率2.08と来季に期待のもてる投球内容で終えた。
振り返れば、春季キャンプ中に行ったオンライン取材では「今の実力では先発に回れないと思っています」と自己評価していたが、シーズン最終盤は先発に欠かせない戦力の一人に成長した。
「球速自体はリリーフのときよりも出ていないと思うんですけど、それでもまっすぐでファウルが取れたりすることが多かった。自分の球をいろいろ再認識できた。しっかり投げればなんとか試合を作れるくらいになっているのかなと思います」。
収穫と課題がみつかったプロ1年目を終え、この秋は「まずは体をゼロまで戻して、そこから入れたいなという気持ちがあるんですけど、あとは球速を一番あげたいなと思っているので、そこを意識して取り組んでいます」と、ストレートアップを目指しトレーニングを積む。
「(来年は)開幕ローテーションに入って、そこから1年間回れるように投げたいと思います」。プロ野球選手としてのリズムを覚えた来季は、今季以上のパフォーマンスを見せて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太