得点に繋がる犠打が多かったのは?
「106」
この数字はロッテが決めた今季の犠打数だ。昨季に続いて2年連続でチーム犠打数がリーグトップとなったが、この犠打数がどれだけ得点に結びついたのだろうかーー。
調べてみると、106犠打中得点に繋がったのは48犠打。得点に繋がる犠打がもっとも多かったのは、8犠打の中村奨吾と藤岡裕大の2人。
中村は決勝点につながる犠打を4度決めている。8月20日のソフトバンク戦では2-2の9回無死一塁の場面で、きっちりとピッチャー前に転がし一塁走者の和田康士朗を二塁へ進めると、レアードの申告敬遠で一、二塁となり、エチェバリアが打った瞬間にそれとわかる、左中間に決勝の3ランを放った。
9月26日の西武戦では2点を追う5回に佐藤都志也の2点適時打で同点に追いつき、なお無死一塁という場面で、初球で送りバントを決め、藤岡が決勝点となる勝ち越しの適時打を放った。ちなみに中村の今季の犠打数は15だが、全て成功させている。
藤岡は10月23日の日本ハム戦では、3-3の9回無死一塁から三塁へ送りバントを試み、これが犠打野選となり一、二塁とチャンスを広げ、その後、荻野貴司がライト前に適時打を放ちサヨナラ勝ちに繋げた。
▼得点に繋がる犠打を決めた選手トップ3
1位 8犠打 中村奨吾、藤岡裕大
3位 5犠打 田村龍弘、佐藤都志也
送って“還す”ことが多かった打者は?
一方で、送りバントで得点圏に走者を進め、“還す”ことが多かったのは全試合に1番打者で出場した荻野貴司だ。
イニングの先頭が下位打線からはじまった場合、1人出塁したときに犠打をするケースが多く、得点圏で荻野に回ってくるケースが多かった。8番を打つことの多かった藤岡の犠打で、荻野が還したことはサヨナラ打を放った10月23日の日本ハム戦をはじめ3度。
9番打者に加藤匠馬、柿沼友哉といった打撃に課題を抱える捕手が座っていたこともあり、一死からでも得点圏に進めて荻野で勝負ということも。6月8日のヤクルト戦では4-3の4回一死一塁から柿沼の犠打で二死二塁とし、1番・荻野がセンター前に弾き返す安打で二塁走者の藤岡が生還するということもあった。
送りバントで走者を進めた場面で打席を迎えたときの荻野の打点数は14打点。そのうちわけをみると、適時打が12打点、犠飛が1打点、押し出し四球が1打点となっている。
シーズン序盤に2番を打つことの多かったマーティンも、送りバントで走者を進めた場面で打席を迎えたときの打点数は10で、4月15日の楽天戦では3点適時二塁打を放っている。
犠打を絡めて無安打での得点も
イニングの先頭打者が出塁し、盗塁を決め、送って、内野ゴロで1点といった“無安打”で1点にしたこともあった。
4月9日の西武戦では3-1の6回に先頭の山口航輝が四球で出塁し、代走の岡大海が二塁盗塁を決め、藤岡がピッチャー前に転がして岡が三塁に進み、柿沼の三ゴロの間に岡が生還した。
6月18日の西武戦では0-0の3回に連続四球で一、二塁とし、高部瑛斗が送りバントを決め、1番・荻野が犠飛、無安打で先制点。
さらに8月27日の楽天戦の8回は先頭の中村が勝ち越しソロを放ったあと、マーティンが四球、代走の和田が二塁盗塁、レアードの四球で一、二塁とし、佐藤が初球で送りバントを決めて二、三塁。ここで代打・山口が遊ゴロを放ち、その間に三塁走者が3点目のホームを踏んだ。
四球、盗塁を絡めて送り、内野ゴロ、押し出しの四球を選び、無安打で得点できたのも、確実に送りバントを決め走者を進めることができたからだろう。
犠打に頼らず、ガンガン打って繋がっていく攻撃というのが理想的だ。ただ、そういった攻撃がなかなかできないなかで、今できる形で得点に結びつけることができたのもロッテの強さといえるだろう。
文=岩下雄太