球団過去最高となる約83.3%減で契約更改
今シーズン5位に終わった中日は、待望の立浪和義新監督就任で注目を集めている。秋季練習最終日には、チーム期待のプロスペクトでもある根尾昂を来シーズンは外野に専念させることを明言。大島洋平以外固定できなかった、外野陣の強化を図ることに着手している。
10月のドラフト会議では、1位でブライト健太(上武大)、2位で鵜飼航丞(駒沢大)を、さらには5位でも福元悠真(大商大)と3人も右打ちの大卒外野手を指名しており、得点力不足に悩んだチームのテコ入れに必死だ。
得点力不足のチームではあるが、本来は右翼のレギュラーに君臨していなければならないのが平田良介。その平田は2018年には打率.329(493-162)と好成績をマークするなど、長らく右翼を任されてきた。
しかし今シーズンは、開幕スタメンを果たすも4月下旬に登録を抹消。その後は、心臓病の一種である「異型狭心症」の影響もあり一軍復帰を果たせず、21試合の出場で打率.155(58-9)、本塁打は2010年以来11年振りに0本に終わった。
そんな平田は、1億5000万円減となる年俸3000万円で契約を更改。契約更改後の会見では、「現在はだいぶ良くなった。打撃に関してはまったく問題ない」と語っており、レギュラー奪回へ向け気持ちは入っているようだ。
平田の減俸を減給率で表すと約83.3%となる。この減給率は、中日では2016年の岩瀬仁紀と並び球団最高である。自由契約や移籍後の再契約を除くと、それ以上の減給率だった選手は、2010年以降では杉内俊哉(巨人/90%/2016年)、中島宏之(巨人/約86.7%/2020年)、成瀬善久(ヤクルト/約86.1%/2018年)、小笠原道大(巨人/約83.7%/2013年)の4名しかいない。
そんな大減俸となった選手たちは、翌シーズンに復活できたのか。振り返ってみたい。
2020年の中島は約86.7%の大減給から復活
2015年に股関節痛を発症し球界最高の90%減となった杉内は、翌2016年に一軍で登板することはできなかった。それ以降もリハビリに励んだが、結局は一軍に復帰することはできず2018年に現役を引退している。
FA権を行使し2015年にヤクルトに移籍した成瀬は、在籍3年でわずか6勝と結果を残せなかった。そのため複数年契約の切れた翌年は、約86.1%の減額となった。復活を期待された2018年は一軍登板すらなくオフに戦力外通告を受けている。
2013年の小笠原と2016年の岩瀬は、大減給となっても出場機会を得た選手だ。しかし、小笠原は22試合の出場で打率.250(36-9)、岩瀬は15試合の登板で防御率6.10と苦しい結果に終わっている。
だが、小笠原は同年オフにFA権利を行使し中日へ移籍。その後は代打の切り札として結果を残した。一方の岩瀬は大減給となった2016年シーズンこそ苦戦したが、2017年・2018年と2年連続で48試合以上に登板。中継ぎとして戦力となった。このふたりは大減給となったシーズンこそ活躍できなかったが、その後、復活を果たした一例だ。
大減給となったシーズンに復活を果たした選手もいる。中島はオリックスから巨人に移籍した1年目の2019年にわずか43試合の出場にとどまり、打率.148(54-8)と低迷。そのオフに約86.7%減の大減俸となるも、翌2020年は100試合の出場で打率.297(279-83)と見事に復活。オフの契約更改ではアップを勝ち取っている。
平田は、来シーズンを34歳で迎えることとなりベテランの域に差し掛かる年齢になるが、まだまだ老け込むには早い。今シーズンも、致命的な故障で離脱したわけではなく病気による影響が大きかった。実績のある選手だけに、体調が戻れば再びレギュラーを争うことも十分に可能だろう。大減給から復活した先人たちがいるのも心強い材料ではなかろうか。
ライバルは、ドラフトで指名した大卒の新人3人や根尾だけでない。売出し中の岡林勇希、本職は二塁ながら外野の練習もこなしている阿部寿樹もいる。また立浪監督は、外野を守れる新外国人選手を調査中とも語っている。
平田は競争を勝ち抜き、V字復活することができるだろうか。そのためにも、立浪監督の初戦となる開幕戦で、まずはスタメンに名を連ねることが目標となるだろう。
※年俸は推定