WBCでの優勝に必要なのは…
侍ジャパンの新指揮官が2日に発表され、今季まで日本ハムを率いていた栗山英樹氏が新監督に就任した。
任期は、2023年3月に開催が見込まれている第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)終了までの1年半で、同大会での世界一奪還が課された最大の目標となる。
今回は準備期間が1年半と短いこともあり、難しい部分も多いが、「日本の選手たちは野球に対して、日の丸に対して魂のある選手が多い」との印象を語り、「その思いをもった選手たちで、このスケジュールを乗り越えて、野球の本場アメリカで勝ち切ることが、どれだけ大変なのかはわからないけれど、そういった思いが感動を呼ぶと思うので、見てくれている人が感動するようなチームになれるようにしっかりやっていきます」と決意を新たにした。
そして、新たなチームに求める選手に関しては、「本当にシンプルに、世界一になれる選手たち、よろしくお願いします(笑) それが選ぶ基準です」と冗談を交えつつ、「もう負けたかなと皆んなが思うような状況でも心の底から“絶対大丈夫”と信じていける選手たちが必要。そういう選手たちの集まりを作っていきたい」とメンタル面の重要性を説いた。
その一方で、「ある程度“こう戦いますよ”と言ったときに、それを体現してくれる選手は日本にいると思う」と語り、未知の相手やストライクゾーンなど、様々な問題に対して「対応できる力を持った選手。その状況にあわせた“対応”ができるかということが重要。ある意味、幅の広く、対応力があって、力のある選手。大雑把な言い方ですけど、そういう選手が求められる」との見解を示した。
気になるメジャーリーガーの招集は!?
また、自身の愛弟子でもあるエンゼルス・大谷翔平選手の招集に関して話を振られると、「必要ですか、翔平?」と聞き返し、記者から「待っているファンは多いと思います」と返されると、「そうですか(笑)」と返答。
その後、「もちろんファンの皆さんが見たい夢のようなチームになってほしいという思いはあるし、そのためにどうしたらいいかは考えていく」と続け、「本当に必要であれば、どこに誰がいようと、こちらはお願いに行く。アメリカでプレーする選手を含め、翔平に限らず、勝つために必要な選手を呼ぶ」との考えを口にした。
実際、第2回大会以降は実現できていないメジャーリーガーの参加だが、栗山監督は「環境だったりボールだったり、アメリカの選手だったり、それを肌で感じている選手の経験は大きい」と語り、「プラス、いまアメリカで活躍している選手たちは、日本で大きな実績を残した、皆んなが憧れるような選手。若い選手が彼らと一緒にやることには意味があるし、その重要性は感じてる」とコメント。メジャーリーガーの招集に対する前向きな私見を述べた。
やりたいことより、選手が生きる形
WBCに関しては2009年の第2回大会で連覇を成し遂げて以降、優勝からは遠ざかり、2大会連続でベスト4という結果に終わっている。世界一奪還に向けて必要なことを問われた新指揮官は「色んな要素はこれから考えていくし、相手のチームやメンバーにもよる」としながら、「日本野球の本質的な良さ、きめ細かい、そして精度の高い、ピッチャーを中心とした守りの野球というベースはもちろんある」と主張。
その上で、自身のやりたい野球を問われると、「選手たちが一番勝ちやすい野球をするというのが監督の仕事」との考えを示し、「集まってもらった選手たちでどういうふうに勝つのか、そこを間違ってはいけない」と続けた。
東京オリンピックで金メダルを獲得したメンバーに関しては、「素晴らしい戦いだったし、素晴らしい選手たちであるのは間違いない」としつつ、「野球選手の状態はその年によって全然違うし、その時期によっても全然違う」と述べ、実績や経験値の重要性を認めつつ、大会前の状態も重要になってくることを強調した。
さらに、メンバー編成に関しては「野球界全体が一気に若返ろうとしている時期に見えるのも事実」とコメント。勝てるチームであることを大前提としつつ、「本当に若いスターが出てきた。彼らが日本の野球を引っ張るように、一気に駆け上がっていってほしいという思いもある」と、佐々木朗希(ロッテ)や奥川恭伸(ヤクルト)ら、台頭してきた新世代の躍進にも期待を寄せた。