完全復活の左腕
DeNAのベテラン左腕・田中健二朗投手と、2年目の若手左腕・坂本裕哉投手が3日、契約を更改。両左腕ともに来季の更なる活躍を誓った。
19年8月のトミー・ジョン手術から厳しいリハビリを経て、今年9月16日に一軍復帰登板を果たした田中は、球団から「復帰おめでとう。来年も頑張ってください」と労われたことを明かし、「長いリハビリから復帰できたので、凄く良いシーズンだった」と振り返った一方で、「一軍に上る前の7、8月はファームで結構打たれていた。そのへんはもっとやれたかな」と反省点も口にした。
ストレートは自己最速の147キロをマークしたが、「嬉しいけどスピードで勝負する人間ではない」と冷静に分析。復帰後は代名詞の大きなカーブより、落ち球が増している傾向もあるが、「全部の球種をうまく投げられているかといえばそうではなく、その時々で対応している感じ。スタイルを変えようと思ってそうしているわけではない」と、モデルチェンジは否定した。
「怖さ、痛み、違和感はなくなってきている。ちゃんと腕が振れている」と完全復活を果たしたことで、来シーズンは「そこしかないと思っている」と明言した“勝利の方程式”入りに全力を尽くす。
2年目左腕は悔しさを胸に
先発として4勝をマークした坂本裕哉は、球団代表から「来年はもっと競争が激しくなるが期待している。ローテーションを守ってくれればチームは強くなる」との言葉をかけられ、「1年を通して先発ローテーションを守って、チームの勝利に貢献したい」と発奮した。
今季は「納得のいくシーズンではなかった」と振り返り、「投げる試合でチームに貢献できた割合が少なかった。先発は長いイニングを投げなければいけない仕事なのに、平均イニングも少なく中継ぎの負担も多くしてしまった」と、多くの反省点を口にした。
秋からは「パーソナルトレーナーについてもらって、筋出力を上げている」とのこと。「特に下半身が使い切れていないので、正しい身体の使い方をして球速を上げ、長いイニングでも出力を維持していけるように」と、身体のレベルアップに着手。オフは同じ左腕で「シーズン中からアドバイスをもらっていた」という砂田毅樹とトレーニングをともにするプラン。「考え方の深い方。吸収して実戦で使えるように」と、メンタル面の充実も図る。
目標の数字は、ルーキーイヤーから2年続けて5点台の防御率。「一軍のピッチャーとして話にならない数字。3点台以下を目標にする。1年目、2年目とは見違えるような数字にする」と宣言。3年目の飛躍に向け、クールな左腕が闘志を燃やす。
取材・文=萩原孝弘(はぎわら・たかひろ)