小島&佐々木朗が楽しみなロッテ、高齢化が進む楽天
コロナ禍の昨季は9回打ち切りの特別ルールだったため引き分け試合が増加。イニング短縮の影響でNPB全体の規定投球回到達者は2020年の14人からさらに減少すると予想されていたが、東京五輪による長期中断もあってか2021年は23人に増える結果となった。分業制が定着し、先発陣の充実度を表す「三本柱」というワードも聞かれなくなってきたが、やはりスターターの充実度はチーム力を示す重要な指標。ここでは各球団の陣容を探りながら、2021年に期待したい先発三本柱を勝手にピックアップ。今回はパ・リーグ編。※( )内は2021年の成績。
●オリックス
田嶋大樹(24先発、8勝8敗、防御率3.58)
主要4タイトルを総なめし沢村賞にも輝いた山本由伸を軸に、2年目の宮城大弥はリーグ2位の13勝を挙げ大ブレイク。2年連続で規定投球回をクリアした田嶋大樹を含めた3人は今年も先発陣の牽引役となる。右肘クリーニング手術からの完全復活を目指す山岡泰輔は、救援も視野に入れながら春先の状態を見て起用法を定める方針。それでも、昨年の日本シリーズで好投した山﨑福也と山﨑颯一郎、新たにドラフト1位で加入した椋木蓮、新外国人のジェイコブ・ワゲスパックなど、リーグ連覇へ人材は揃っている。
●ロッテ
小島和哉(24先発、10勝4敗、防御率3.76)
佐々木朗希(11先発、3勝2敗、防御率2.27)
石川歩(12先発、6勝3敗、防御率3.38)
昨シーズン後半から抜群の安定感を誇り、ともに初の2ケタ勝利と規定投球回クリアを達成した小島和哉。楽天とのCS開幕戦を託されベールを脱いだ令和の怪物・佐々木朗希には左右の若きエースとして通年での活躍を望みたいところ。3人目は右肘のクリーニング手術後、安定した投球を見せたベテラン・石川歩を選んだ。3投手以外にも美馬学、二木康太、岩下大輝、河村説人、鈴木昭汰など人材は豊富。さらに2020年9月にトミー・ジョン手術を受け、復活が近い種市篤暉も楽しみな存在だ。
●楽天
田中将大(23先発、4勝9敗、防御率3.01)
則本昂大(23先発、11勝5敗、防御率3.17)
早川隆久(23先発、9勝7敗、防御率3.86)
昨季は田中将大と則本昂大、9勝10敗で防御率3.44だった岸孝之の3投手が規定投球回をクリア。実績豊富な面々が先発陣を牽引したが、6勝8敗で防御率5.04に終わった涌井秀章も含め、全盛期と比較するとやや物足りない結果に終わった。前述の4投手は30歳を越えており先発陣の高齢化は不安の種。そこで期待を込め、3人目にはルーキーイヤーに9勝を挙げた早川隆久を選出した。昨季10勝を挙げた瀧中瞭太や大型左腕・弓削隼人、先発再転向を見据える西口直人ら、若手の突き上げに期待したい。
陣容揃う日本ハム、ドラ1・隅田に期待の西武
●ソフトバンク
千賀滉大(13先発、10勝3敗、防御率2.66)
石川柊太(25先発、6勝9敗、防御率3.40)
コリン・レイ(6先発、3勝1敗、防御率2.03)
昨季の先発防御率はオリックスの3.33に次ぐリーグ2位の3.36。9勝4敗、防御率1.60を記録したニック・マルティネスは退団したが、あわやノーヒットノーランかという快投を見せたあと家庭の事情で昨年8月に途中退団していたコリン・レイが再入団。メジャー通算52勝のタイラー・チャトウッドも新たに獲得した。軸は6年連続2ケタ勝利中の千賀滉大と昨季チームでただひとり規定投球回をクリアした石川柊太。昨季4勝の東浜巨は復活を見据える。和田毅は今季も貴重な左腕として君臨。オフの大型契約が話題となった武田翔太、来日4年目となるカーター・スチュワート・ジュニアも期待大。
●日本ハム
上沢直之(24先発、12勝6敗、防御率2.81)
伊藤大海(23先発、10勝9敗、防御率2.90)
加藤貴之(25先発、6勝7敗、防御率3.42)
昨季のチーム順位は5位だったものの、先発防御率はリーグ3位の3.42だった日本ハム。新庄剛志ビッグボス体制となる今年も、先発陣は昨シーズン規定投球回をクリアした上沢直之、伊藤大海、加藤貴之の3投手が柱となる。昨季終盤に台頭してきた立野和明にはブレイクの予感が漂う。今季は再び先発一本での勝負を見据える河野竜生、4年目を迎える吉田輝星も楽しみな存在。新たに獲得したジョン・ガント、コディ・ポンセの両右腕も先発タイプで、ハイレベルな開幕ローテ争いに注目が集まる。
●西武
髙橋光成(26先発、11勝9敗、防御率3.78)
今井達也(25先発、8勝8敗、防御率3.30)
隅田知一郎(西日本工業大/2021年ドラフト1位)
最下位からの巻き返しへ、昨秋のドラフトで4球団競合の末に獲得した即戦力左腕・隅田知一郎には1年目からのフル稼働に期待したい。もちろん、昨季シーズン規定投球回をクリアした髙橋光成、今井達也、10勝8敗で防御率3.79だった松本航の継続的な活躍は必須。4年目を迎える渡邉勇太朗は飛躍の1年になりそうだ。菊池雄星がメジャーへ旅立って以降、左の先発が低迷しているだけに、浜屋将太や佐々木健、新外国人のディートリック・エンスやドラフト2位の佐藤隼輔らの活躍にも期待したい。