本前は練習試合からアピール
ロッテの育成の小沼健太投手、山本大斗外野手の2人が春季キャンプA組スタートとなった。
昨年も本前郁也、サントスといった育成選手たちが春季キャンプ一軍スタートを切り、本前は開幕前の3月14日に支配下選手登録を勝ち取った。
昨年の春季キャンプから支配下選手登録になるまでの本前を振り返ると、春季キャンプでは2月8日に行われたシート打撃で育成のサントスに対し19球を投げ、安打性のあたりを1本に抑える。
2月13日からの遠征にも一軍帯同し、2月18日の楽天との練習試合で2回を1失点、2月24日のソフトバンク戦では3回無失点とアピール。3月に入ってからも、オープン戦初登板となった3月11日の楽天戦で3回を無失点、14日に支配下選手登録を掴み取った。
本前の支配下選手登録までの一軍実戦成績は、3試合・8イニングを投げて、3被安打、3奪三振、1失点。
昨季二軍でイースタン・リーグ最多の18セーブを挙げた小沼が、開幕前までに支配下選手登録となるためには、2月15日からはじまる練習試合の遠征メンバーに入る必要がある。当たり前のことだが、遠征メンバーに入ったと仮定して、実戦では結果、プラス強固なリリーフ陣に割って入るためには投球内容も大事になってくる。
小沼の課題は“奪三振数”の少なさ。昨季ファームで34試合・34回2/3を投げて、奪三振数は20個だった。「今までも三振が取れる方ではなかった。結果的に三振も少なく、四球も少ないんですけど、一軍に上がるためには三振数というのを、防御率以上に僕自身大切にしないといけないと思っています」と昨年11月のオンライン取材でこう自己分析している。一冬を越えて、どこまで課題を克服し、成長した姿を見せることができるかがカギとなりそうだ。
山本大斗は高卒2年目の育成選手。直近の高卒でプロ入りした安田尚憲、山口航輝といった選手たちは、高卒2年目に二軍でみっちりと鍛え、安田は2年目に二軍で打点と本塁打王に輝いた。最近の流れでいけば、二軍の実戦で腕を磨くケースが多い。山本は一軍キャンプでアピールして、支配下選手登録となり、外野のレギュラー争いに顔を出していくかなどを含めて、どういう未来を作っていくか注目だ。
フローレスと和田はキャンプ二軍スタートだった
20年は、春季キャンプ二軍スタートだったフローレスと和田康士朗が開幕前に支配下選手登録を掴んでいる。
当時30歳だったフローレスは、育成契約初年度が26歳以上の外国人選手は支配下登録選手になる場合、3月末までにならなければならないという決まりがあったなかで、春季教育リーグ、二軍練習試合で12イニングを投げて無失点に抑えるなどアピールに成功。3月31日というギリギリのタイミングで、支配下登録選手となった。
和田は楽天モンキーズとの国際交流試合でライトスタンドへ飛び込む特大の本塁打を放つと、第3クールから一軍に合流し、那覇の一軍遠征の切符も掴み取った。代走で出場した2月14日の広島との練習試合では、相手が前進守備を敷く中、藤原恭大が放ったセカンドへのゴロで、三塁走者の和田は好スタートを切りホームイン。2月20日の韓国・サムスンとの練習試合でも代走で出場し2盗塁をマークすれば、2月22日の西武との練習試合でも盗塁を決めた。オープン戦で武器である足でアピールして、開幕前の6月に支配下選手登録となった。
和田の例を考えると、決して春季キャンプB組スタートでも、開幕前に支配下選手登録を勝ち取ることができないというわけではない。昨季二軍で7勝を挙げた育成2年目の佐藤奨真はB組スタートだが、ロッテの投手事情でいえば左投手は手薄。小島和哉が10勝を挙げたが、その他の左腕は結果を残して一軍を掴みとりにいく立場の投手だ。アピール次第では佐藤も、十分に開幕前の支配下選手登録のチャンスはありそうだ。
昨季まで支配下選手だったため、入団時育成だったフローレス、和田、本前とは異なるが、今季から育成選手となった松永昂大もいる。松永は昨季一軍登板がなかったが、新人から7年連続で40試合以上に登板するなど実績十分で、投げられる状況にあれば、左のリリーフが少ない現状、支配下復帰も考えられる存在だ。ロッテ浦和球場で行った1月19日の自主トレでは、キャッチボールで強めの球を投げていた。
2月1日から始まるサバイバルレース。和田、フローレス、本前のように今季も開幕前に、支配下選手登録を掴む選手が出てくるか楽しみに待ちたい。
▼ ロッテの育成選手
<投手>
120 田中楓基
121 小沼健太
125 永島田輝斗
129 佐藤奨真
138 松永昂大
<捕手>
122 谷川唯人
126 村山亮介
<内野手>
123 速水将大
<外野手>
124 山本大斗
130 サントス
131 ペラルタ
▼ 井口監督就任後、開幕前に支配下登録を勝ち取った育成選手
【2020年】
和田康士朗
フローレス
【2021年】
本前郁也
文=岩下雄太