まっすぐとカーブ
「まっすぐ自体は強く投げようという意識で投げていたので、そこでカウントが取れたのはよかったと思います」。
ロッテの本前郁也は2回を無失点に抑えた17日の巨人戦に続き、22日に行われたオリックス戦でも3回を0安打1与四死球無失点と、アピールに成功した。
「今日は1球も投げていないです」とこの日の登板ではチェンジアップを1球も投げなかった。17日の巨人戦でもチェンジアップを投げていなかったように見えたが、チェンジアップを投げずに抑えようなど、何か意図があるのだろうかーー。
「今年からチェンジアップは変えているので、精度も試合で投げられるくらいの高さではない。少し練習してから試していこうかなと思っています。なので今は、ストレートと大きいカーブで組み立てられるようなピッチングができればいいかなと思って挑んでいます」。
22日のオリックス戦ではストレート主体で、カウント球としてカーブを投げることが多かった。9-1の5回二死走者なしの場面で、育成・山中尭之の初球に投げたカーブは非常に良い球だった。
1月の自主トレは「和田さんのもとで体幹の使い方、体の使い方をもう一度イチから教えてもらいました」と昨年に続きソフトバンク・和田毅と行ったが、体の使い方を教わったなかで、「そのとき(自主トレ)くらいからカーブが良い感じになってきた」と手応えを掴んだという。
「今は良い感じなので、その感覚をもっとよくできればいいかなと。カーブは投げ続けています」。今後も精度をさらに高めていくつもりだ。
そして、勝負球としてスライダーを投げていく考えを持つ。
「去年はカーブよりスライダーでカウントを取っていた。自分のなかで決め球がなかったので、スライダーを決め球にできるように。まずはカーブとまっすぐでカウントが取れるようなピッチングをしないといけない。今はこういうピッチングになっています」。
リズムの良い投球
本前の投球を見ていると非常にリズムが良く、少ない球数で打者を打ち取っている。
昨季シーズン最終登板となった10月30日の日本ハム戦が、まさに“少ない球数”で打ち取る投球だった。初回から少ない球数でリズムよくアウトを積み重ね、5回を投げ67球、4安打、1失点だった。
「フェニックスリーグで調子が良くて、少ない球数でストライク先行。まっすぐで押せていた。(フェニックスリーグでやってきたことを)そのままやっていこうかなと、ああいう結果になりました」と振り返る。
今季も「1年間(先発を)任せてもらえるように、ストライク先行、打者にいいリズム作れるようなピッチングができればと思います」と、“少ない球数でストライク先行”を継続していく考えだ。
「去年は一軍にいる時間がすごく短かったので、今年は最初から最後まで一軍で投げられるようにしていきたいと思っています」。
昨季は開幕先発ローテーションを掴み、プロ初登板・初先発となった4月1日の楽天戦でプロ初勝利を挙げたが、その後は勝ち星を挙げることができなかった。今季こそ開幕ローテに入り、チームの勝利に数多く貢献していきたいところ。そのためにもストレート、早いカウントで投げるカーブ、決め球のスライダー、練習中のチェンジアップを加えて、打者をしっかりと封じていきたい。
取材・文=岩下雄太