地元開幕で3連敗
地元・横浜スタジアムでの開幕シリーズ。連敗で迎えた第3戦、手中に収めたかに見えた初勝利がスルリと逃げた。
5-4とリードして迎えた9回表、三浦大輔監督は「オープン戦を見て決めた」というクローザー・山﨑康晃をマウンドに送る。
スタンドを埋めたファンから“着席式ヤスアキジャンプ”の後押しを受けて登場した背番号19だったが、先頭の坂倉将吾の初球打ちは遊撃手の大和が処理するも一塁送球はセーフ。さらに堂林翔太の遊ゴロでは併殺が取れないミスも重なり、二死二塁から上本崇司の内野安打と四球で満塁のピンチを迎える。
打順はトップに返って西川龍馬。1ボール・1ストライクからの3球目、低めのボールをうまく拾われると、打球は無情にも前進守備のセンターの頭上を超えていった。
指揮官自らマウンドへ出向いての激励も実らず、あとアウトひとつのところから3失点。9回裏に1点を返すもひっくり返すことはできず、6-7で敗れて開幕3連敗を喫した。
坂本裕哉は「合格点」
それでも、一昨日からの2試合とは違った戦いを見せたのも事実だ。
先発の坂本裕哉は最速147キロ、アベレージでも140キロ台中盤をマークするストレートを軸に、ストライクゾーンで勝負。カットボールやチェンジアップのほか、新球・ツーシームも駆使して4回までパーフェクトピッチングを展開した。
5回一死から坂倉に初安打を許すと、二死からの4連打で逆転されてしまう。左腕は「得点を許した場面、試合の流れを感じ断ち切ることができず、逆転を許してしまったことは反省点」と悔やんだが、その後は再び立ち直りを見せ、前日まで苦戦を強いられたカープ打線を相手に7回を投げきったことは収穫。ゾーンで勝負できた結果、7回を95球でまとめ、被安打も6とはいえ5回以外はわずかに1本。与四球はゼロで、課題だった制球面でも成長を見せた。
三浦監督は「(失点した)あのイニングだけじゃないですか。まぁ最少失点に抑えなければいけないですけど……」としつつ、「ストレート中心でしっかりと攻めていた」と、この日の投球を評価。
つづけて、「シーズンを考えても、7回まで行けたということを続けてもらいたい」とコメント。昨年は先発ながら平均で5回も持たなかった部分もあって、大きな成長ぶりを感じたようだ。
打線も佐野恵太のチーム1号を皮切りに、宮﨑敏郎と牧秀悟といったクリーンナップに本塁打が飛び出し、売り出し中の楠本泰史も3戦を終えて打率.333と開花の兆しを見せている。9回裏も代打の関根大気が執念で四球をもぎ取り、牧が意地の適時打を放った。これには指揮官も「打つ方は良い形で粘りを見せている」とし、「投打が噛み合うようにやっていきたい」と前を向いた。
まだ3試合。“横浜反撃”はこれからだ。
取材・文=萩原孝弘