話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、福岡ソフトバンクホークス対北海道日本ハムファイターズの開幕3連戦でホームランを放った若き大砲たちにまつわるエピソードを紹介する。
開幕シリーズのなかでも、ひときわ注目を集めたソフトバンク対日本ハム。神輿に担がれて入場した藤本監督に対し、新庄監督改め「BIGBOSS」は始球式で打席に立つと、女性アナウンサーがマウンドから投げた球をわしづかみ! 新監督同士の演出勝負も楽しめましたが、やはり注目すべきは実際に戦う選手たちです。
なかでも今年(2022年)の開幕シリーズで目を見張ったのは、ソフトバンク・柳田悠岐を尊敬し、「越えるべき目標」と位置づけている若きスラッガーたちの奮闘ぶりです。
まずは、開幕2戦目に「4番・ファースト」で起用されるや、今季第1号を放った日本ハム・清宮幸太郎です。4点を追う9回1死走者なしの場面、ソフトバンク3番手・藤井皓哉が投じた149キロのストレートを捉えると、打球はライトを守る柳田の頭上を越え、ライトスタンド中段にまで届く特大アーチとなりました。
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このホームランを見て、シーズン前の自主トレを思い出した方もいるでしょう。今年1月、「がらっと環境を変えたい」という清宮の希望で、球団の垣根を越えて柳田悠岐の自主トレ「ギータ道場」に入門した清宮。「質問にも丁寧に答えてくださる。本当にここに来てよかった」と充実した表情を見せていました。
しかし自主トレ中に新型コロナ陽性判定を受け、ギータ道場が中断したことも影響したのか、オープン戦では思うように結果が出なかった清宮。開幕戦は出番なしに終わりました。そんな悩める男に救いの手を差し伸べてくれたのは、試合中にもらったギータ師匠の一言でした。
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昨年(2021年)はプロ4年目にして初めて1軍出場機会がなかった清宮にとって、実に517日ぶりの一撃。「ギータ師匠を越えて行きます」という宣言のようにも思える、師匠の頭上を越えての恩返し弾。ますます今後が楽しみです。
そして、日本ハム期待の大砲と言えば、万波中正も忘れるわけにはいきません。実は柳田と万波について、開幕3戦目の試合前、BIGBOSSと藤本監督との間でこんなやりとりがあったと言います。
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藤本監督のアドバイスも踏まえてのことか、BIGBOSSは試合前、万波にこんなハッパをかけ、奮起を促しました。
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結果としてこの第3戦、万波は5回にレフトスタンドに飛び込む今季第1号アーチを放ちました。オープン戦は5本塁打を放つも、終盤に調子を落として19打席連続ノーヒットで終了。開幕スタメンも逃してしまった万波。この一発で吹っ切れ、柳田ばりのフルスイングで続けることができるのか、こちらも大いに注目です。
そして、清宮よりも万波よりも柳田の影響を直に受けていそうなのが、ソフトバンクの次世代スター候補・栗原陵矢です。昨季は全143試合に出場し、いずれもキャリアハイとなる打率.275、21本塁打、77打点を記録。東京五輪の金メダルメンバーでもあります。
そんな栗原が開幕第2戦の試合前、円陣で声出しを務めた際に、こんなユニークな発言をしました。
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この謎の「ルンバ作戦」が功を奏したのか、この第2戦で栗原は今季第1号となる先制アーチを放ち、チームの連勝に貢献。さらに、翌日も2戦連発となるホームランを放ってチームの開幕3連勝を牽引しました。
ちなみに、栗原が言う「副キャプテン」は自称。それでも、キャプテン柳田のあとに続こうという気概が見えて来ます。
もちろん、若きスラッガーたちに影響を与える立場の柳田も、まだまだ老けこんで欲しくはありません。今季は藤本監督に指名され、キャプテンとして臨むシーズン。新人時代から指導を受ける藤本監督を胴上げしたい、という思いは人一倍強いはず。彼らが刺激しあえばしあうほど、今年もパ・リーグは大いに盛り上がりそうです。
開幕シリーズのなかでも、ひときわ注目を集めたソフトバンク対日本ハム。神輿に担がれて入場した藤本監督に対し、新庄監督改め「BIGBOSS」は始球式で打席に立つと、女性アナウンサーがマウンドから投げた球をわしづかみ! 新監督同士の演出勝負も楽しめましたが、やはり注目すべきは実際に戦う選手たちです。
なかでも今年(2022年)の開幕シリーズで目を見張ったのは、ソフトバンク・柳田悠岐を尊敬し、「越えるべき目標」と位置づけている若きスラッガーたちの奮闘ぶりです。
まずは、開幕2戦目に「4番・ファースト」で起用されるや、今季第1号を放った日本ハム・清宮幸太郎です。4点を追う9回1死走者なしの場面、ソフトバンク3番手・藤井皓哉が投じた149キロのストレートを捉えると、打球はライトを守る柳田の頭上を越え、ライトスタンド中段にまで届く特大アーチとなりました。
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「自分にとってはきょうが開幕戦。ギータさん(柳田)の上に打てるとも思っていなかったので、よかった」
~『中日スポーツ』2022年3月26日配信記事 より
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このホームランを見て、シーズン前の自主トレを思い出した方もいるでしょう。今年1月、「がらっと環境を変えたい」という清宮の希望で、球団の垣根を越えて柳田悠岐の自主トレ「ギータ道場」に入門した清宮。「質問にも丁寧に答えてくださる。本当にここに来てよかった」と充実した表情を見せていました。
しかし自主トレ中に新型コロナ陽性判定を受け、ギータ道場が中断したことも影響したのか、オープン戦では思うように結果が出なかった清宮。開幕戦は出番なしに終わりました。そんな悩める男に救いの手を差し伸べてくれたのは、試合中にもらったギータ師匠の一言でした。
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柳田に、試合中に勇気づけられていた。「ギータさん(柳田)にも『状態良さそうだから自信持っていけ』と言われていたので、自信を持って打席に入りました」。言われたのは「(守備をしていた)一塁で」。5回に中前打で出塁した柳田からエールを受け、会心の打球で応えた。
~『日刊スポーツ』2022年3月26日配信記事 より
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昨年(2021年)はプロ4年目にして初めて1軍出場機会がなかった清宮にとって、実に517日ぶりの一撃。「ギータ師匠を越えて行きます」という宣言のようにも思える、師匠の頭上を越えての恩返し弾。ますます今後が楽しみです。
そして、日本ハム期待の大砲と言えば、万波中正も忘れるわけにはいきません。実は柳田と万波について、開幕3戦目の試合前、BIGBOSSと藤本監督との間でこんなやりとりがあったと言います。
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「『万波どう思いますか』『柳田が入ったときはどんなんだったんですか』って。2メートル手前のワンバウンドを振っていたよって。万波も小さくならずにどんどん振らせたらと話しました。すごく礼儀正しいですよ」
~『サンケイスポーツ』2022年3月27日配信記事より(藤本監督の言葉)
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藤本監督のアドバイスも踏まえてのことか、BIGBOSSは試合前、万波にこんなハッパをかけ、奮起を促しました。
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『試合前に聞いた新庄監督の言葉で我に返った。「悩んでるのも見たくないな。とにかく思い切りいこう。ウジウジやんのは、やめよーぜ」。万波も「それで本当にちゃんと前を向けた」と、感謝した』
~『日刊スポーツ』2022年3月28日配信記事 より
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結果としてこの第3戦、万波は5回にレフトスタンドに飛び込む今季第1号アーチを放ちました。オープン戦は5本塁打を放つも、終盤に調子を落として19打席連続ノーヒットで終了。開幕スタメンも逃してしまった万波。この一発で吹っ切れ、柳田ばりのフルスイングで続けることができるのか、こちらも大いに注目です。
そして、清宮よりも万波よりも柳田の影響を直に受けていそうなのが、ソフトバンクの次世代スター候補・栗原陵矢です。昨季は全143試合に出場し、いずれもキャリアハイとなる打率.275、21本塁打、77打点を記録。東京五輪の金メダルメンバーでもあります。
そんな栗原が開幕第2戦の試合前、円陣で声出しを務めた際に、こんなユニークな発言をしました。
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「今年副キャプテンをやらしていただきます栗原です。昨日キャップ(柳田)がいい部下がいるチームは強いと言いました。優秀な部下、ルンバ! あれの何がすごいかって僕らがいなくても自由に動くし、ゴミを見つけて勝手に拾っていってくれるみたいな。だから今日はみなさん、ベンチにいる時も、グラウンドにいる時も自分でやること見つけて、『ルンバ作戦』で行きましょうよ!」
~『スポーツ報知』2022年3月26日配信記事 より
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この謎の「ルンバ作戦」が功を奏したのか、この第2戦で栗原は今季第1号となる先制アーチを放ち、チームの連勝に貢献。さらに、翌日も2戦連発となるホームランを放ってチームの開幕3連勝を牽引しました。
ちなみに、栗原が言う「副キャプテン」は自称。それでも、キャプテン柳田のあとに続こうという気概が見えて来ます。
もちろん、若きスラッガーたちに影響を与える立場の柳田も、まだまだ老けこんで欲しくはありません。今季は藤本監督に指名され、キャプテンとして臨むシーズン。新人時代から指導を受ける藤本監督を胴上げしたい、という思いは人一倍強いはず。彼らが刺激しあえばしあうほど、今年もパ・リーグは大いに盛り上がりそうです。