大逆転勝ち
5位・ロッテは、1-3の7回に打者一巡の猛攻で5点を奪い6-3の逆転勝ち。今季初めて先制を許した試合で勝利した。
かなりチグハグな序盤だった。2回に先発・石川歩が先制点を許し、3回に中村奨吾の適時打で同点に追いつくも、直後の4回に逆転され、その裏連打で無死一、三塁としたが無得点に終わった。石川は6回3失点とゲームを作ったが、毎回走者を背負う苦しい投球。
この試合の流れを変えたのが、1-3の7回に登板した佐々木千隼だった。3番・浅村栄斗から始まる打順も浅村を左飛、4番・島内宏明を遊ゴロ、5番・マルモレホスを3ボール2ストライクから最後は低めに落ちる121キロのスライダーで空振り三振、クリーンナップをわずか14球で料理した。
その裏、この回先頭の岡大海が楽天先発・田中将大からレフトへ本塁打を放ち1点差に迫ると、中村奨吾の適時打で同点。なお一死一、三塁から佐藤都志也がレフトへ適時打を放ち勝ち越し。さらに二死満塁から代打で登場した山口航輝が、楽天の3番手・弓削隼人が1ボール1ストライクから投じた外角のツーシーム逆らわずにライトへ2点適時二塁打。この回打者10人・楽天投手陣に29球を投げさせ、5点を奪い逆転に成功した。
こうなれば、あとはリリーフ陣で逃げ切るだけ。6-3の8回は西野勇士が先頭の茂木栄五郎、辰己涼介を連続三振に仕留めるなど、1回をパーフェクトリリーフ。9回は守護神・益田直也が先頭の鈴木大地に死球を与えたが、後続を打ち取り逃げ切った。
ビハインドのリリーフは重要なポジション
試合を振り返れば、7回に5点を奪った打線も見事だったが、その直前の7回表に佐々木が楽天のクリーンナップを三者凡退に打ち取ったのが大きかった。
6回まで先発・石川が毎回走者を背負う投球だったなか、リズムよく3人で打ち取ったことで、攻撃に良いリズムを与えた。佐々木といえば、昨年のこの時期はビハインドゲームで登板し、その後に味方が逆転し白星を何度も手にしていた。
地味な役割だが非常に重要で、勢いのついた相手打線を止めるとともに、チームに流れを呼び込む投球も求められる。ここで失点すれば流れが完全に相手に傾いてしまう可能性もある大事なポジションなのだ。
ビハインドゲームでの心構えについて去年4月に行ったオンライン取材で「ビハインドだったらできる限り傷口を広げないように、そのあと逆転できるように流れが持ってこれるようなピッチングができたらいいなと思って心がけています」と語っていた。まさに、佐々木の言葉通り、チームに“流れを持っていく”投球だった。
昨季はビハインドゲームから徐々に序列をあげていき、夏場以降は勝ち試合の8回を担当した。今季は開幕に出遅れ、復帰後も新型コロナウイルス陽性判定を受け離脱。再昇格後はビハインドゲームでの登板が続いている。今季も与えられた役割で結果を残していき、勝ちパターンに返り咲きたいところ。
チームという視点でみれば、それだけリリーフ陣が充実してきたともいえる。小野郁、東條大樹、ゲレーロ、西野勇士は安定した投球を見せ、トミー・ジョン手術明けの西野は連投がなく、8回は西野、ゲレーロの両右腕が交互に担当し、守護神・益田が連投となれば、8回・西野、9回・ゲレーロという継投パターンもあった。開幕直後不安定だった“勝利の方程式問題”も解決の方向に向かっている中で、佐々木も加わることになれば、救援陣の層も厚くなる。
打線も最悪の状態を脱出して、先行して逃げ切って勝利する形が一番良いが、17日の試合のように終盤の集中打で逆転という試合が増えていけば、自然とチームも上向いていくはず。そういった意味でも、いい形で勝利した次の試合に勝つことが重要になってくる。
文=岩下雄太