両チームのファンから温かい拍手
オリックスの能見篤史投手兼任コーチ(43)が12日、本拠地の阪神戦で今季初登板。
古巣ファンからも大きな拍手で迎えられた中、1回無失点の好投を見せた。
2004年の自由枠で阪神に入団し、昨年からオリックスでプレーするベテラン左腕。今季は10日の一軍昇格から登板機会がなかったが、ついに開幕の日を迎えた。
舞台は古巣・阪神戦。0-6で迎えた8回表、4番手としてマウンドに登ると、小野寺暖を1球で三ゴロに打ち取り、中野拓夢も投ゴロであっという間に二死。ロハス・ジュニアには四球を与えたが、長坂拳弥を1球で中飛に斬って1回を無失点で終えた。
「監督の粋な計らいもあったので、しっかりと下の方でも投げ込んで来ましたし、ある程度投げられるようには準備をしている」と語ったように、今季初登板や古巣戦にも気負うことなく淡々と仕事を全う。新型コロナの感染もあって出遅れてしまったが、「あまり影響はなかった」という。
この日は最速142キロを計測したが、球速については「落ちなきゃ良いなというところ。あまり気にはしていない」とのこと。
「良い緊張感でしたけど、点差も点差だったので。でも自分の役割はしっかりと出そうと思った」と冷静に振り返りながら、「お客さんの数が去年、おととしと違いましたので、ちょっと鳥肌が立ちましたけどね。拍手の多さに」と笑顔も。
今後については「この歳なので、何か困った時とか、そういう時になにか手助けができれば良いかなと思う」としつつ、「まだ投げられるなって思ってくれるのは大事だと思うので、継続していきたい」と、一軍の舞台で戦い続けるためのコンディションの維持をテーマに掲げた。
エース・山本由伸をはじめ、“能見コーチ”を精神的な支えにしている選手も多いが、自身も「僕は選手だけじゃない。上手く言えないですが、“つかみ取って欲しい”というのはあります」と、若手の成長を願っている。
その中で、期待している投手が多いことを強調しながら、「良いピッチャーが多いですし、ちょっとしたことで劇的に変わるピッチャーも必ずいる。もっとできるんですけど、その辺が難しいですね」と、両立することの難しさも口にした。
今回はビハインドでの登板となったが、本人が口にしたような「困った時」には、昨年のように競った場面での登板というのも当然ながら考えられることだろう。
38歳で抑えを任される平野佳寿とともに、ブルペンを引っ張っていくような活躍に期待がかかる。
取材・文=どら増田