12球団トップの盗塁数
「もっと走れるなという場面もありますし、そのなかでも自制であったり、ここをいってはいけない場面だなという勘といいますか、そういうのも大事だと思います。もっともっと走れると思っていますが、全部いくんじゃなくてちゃんと、考えた上で、根拠を持ってやっていきたいと思います」。
ロッテの髙部瑛斗は交流戦終了時点で12球団トップの21盗塁を記録し、交流戦も12球団トップの8個の盗塁を決めた。
昨季ファームで9月・14試合で10盗塁を決めるなど28盗塁をマークしてファームの盗塁王に輝いた韋駄天は、一軍の舞台で変わらず盗塁数を積み重ねている。
盗塁をするうえで一軍と二軍の違いについて「多少は感じますけど、そこまで変わりはないんじゃないかなと思います」と話す。
イニング別では1回と8回が最多
髙部のイニング別での盗塁数を見てみると、1回と8回の6個が最も多い。
ここまでチームトップの57試合で1番を務める髙部は、攻撃に勢いをつけるため初回の盗塁が多いのはなんとなく理解できるが、失敗が許されない試合終盤に盗塁数が多いのは自信、それこそ髙部が話していた根拠がなければ走れないのではないだろうかーー。
勝っている場面で盗塁を失敗すれば相手に流れが傾く可能性があり、負けている場面であればアウトカウントが1つ増え、チャンスの機会を潰してしまう。どちらにしてもリスクしかない。
髙部は初回と8回の盗塁が多い理由について「序盤と後半というので、序盤はなんとか勝負するというところだと思いますし、後半の8回というのはどうしても1点が欲しいときに先に進めたいと思うので、その結果前半と後半で分かれているんじゃないかなと思います」と自己分析した。
試合終盤の盗塁に関して、「覚悟を決めて、腹をくくって決めています」と、緊張やプレッシャーを跳ね除けて、次の塁を積極的に狙っている。12日のDeNA戦でも4-2の8回二死走者なしから安打で出塁し、1番・荻野貴司の打席中に二塁盗塁を決め、荻野の三塁打で生還。9回に2点を失い5-4で勝利したことを考えると、次の1点を奪う上で大きな意味を持つ安打と盗塁だった。
▼ 髙部のイニング別盗塁数
1回:6盗塁
2回:1盗塁
3回:4盗塁
4回:0盗塁
5回:2盗塁
6回:2盗塁
7回:0盗塁
8回:6盗塁
9回:0盗塁
10回:0盗塁
11回:0盗塁
12回:0盗塁
50盗塁以上に期待
髙部は2位の松本剛(日本ハム)に5個差をつけて盗塁ランキングトップを走る。このペースで盗塁を決めていけば、シーズン終了時には48盗塁という計算となり、球団のシーズン盗塁ランキングで小坂誠(97年・56盗塁)、西村徳文(88年・55盗塁)に次いで球団3位の記録となる。
もちろん50盗塁以上走り、シーズンの球団記録を塗り替えて欲しいところ。今季初めて一軍のレギュラーとして出場する髙部にとっては、疲れた時期に盗塁のペースを落とさず、伸ばしていけるかがポイントになっていきそうだ。
取材・文=岩下雄太