◆ 根尾昂は投手に転向
1年の折り返し地点を迎え、プロ野球のシーズンも前後半を分けるオールスター戦が徐々に近づいてきている。
この6月に大きな話題を呼んだのが、中日・根尾昂の投手転向だ。
大阪桐蔭高時代に甲子園春夏連覇を成し遂げ、2018年のドラフト会議では4球団が1位で競合した逸材。昨季はキャリアハイとなる72試合に出場を果たしたが、打率.178(169-30)で1本塁打と外野手としては物足りない成績に終わった。
今年は遊撃手への再転向プランもあった中、急転直下で決まった投手への転向。ここまで5試合の登板で4回と1/3を投げて防御率は2.08と奮闘を見せているが、今後はどんな場面で登板があるのか。これからの成長に期待がかかっている。
根尾が指名された2018年のドラフト会議では、小園海斗(報徳学園高→広島)と藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)、さらには太田椋(天理高→オリックス)という4人の高卒野手が1位で指名を受けた。しかし、ここまでを振り返ってみると、一軍で結果を残しているのは昨季規定打席に到達した小園くらい。ほかの3名はなかなかレギュラーに定着することができず、プロの壁にぶち当たっている現状だ。
そんな中、ドラフト2位以下で指名された選手の中で、現在一軍の戦力として活躍を見せている選手も徐々に出てきている。
また、今季ブレイクのキッカケを掴みそうな楽しみな存在も出てきているので、ここで改めて触れておきたい。
◆ 今や打線の核となった“ジェームス”
まずこの世代の野手におけるトップランナーとなっているのが、日本ハムの野村佑希だろう。
この3年は故障に泣かされるシーンも目立ったが、今季はここまで64試合に出場して打率.286(241-69)をマーク。パ・リーグ打撃成績の5位につけているのだ。
BIGBOSSこと新庄剛志監督はここまで選手をあまり固定せずに戦ってきているが、野村の出場数は首位打者の松本剛に次ぐチーム2位。また、最多となる36試合で4番を任されている。
さらに日本ハムでは、同じ高卒4年目の万波中正もここまでリーグ4位タイの10本塁打と奮闘中。7月を前に登録抹消となったが、ここからの逆襲に期待したい。
また、長打力でブレイクの兆しを見せているのがヤクルトの濱田太貴だ。
ベテラン・青木宣親の休養時や、相手の先発が左投手の時に積極的にスタメンで起用され、ここまで打率.243(111-27)を記録。キャリアハイを更新する6本塁打を放っている。
ポジションを争う青木も40歳。次世代へのバトンタッチがチームの課題となっていただけに、濱田の台頭は好調なチームの中にあっても大きい。
他にも、濱田と同じ右の大砲候補では、ロッテの山口航輝が昨季9本塁打を放って今季もここまで5本塁打とレギュラー獲りに向けてアピール中。
直近では巨人の増田陸が1番での起用を増やすなど、新星候補として注目を浴びている。
来年には大卒ルーキーとして同世代がプロの世界に入ってくる「高卒4年目」の世代。
ライバルが増える前に、いち早くプロ野球選手としてのキャリアを築き上げる選手がどれだけ出てくるか。後半戦の楽しみとなりそうだ。
◆ 「高卒4年目」野手まとめ
▼ ドラフト1位
根尾 昂(大阪桐蔭高→中日) ※今季途中から投手転向
藤原恭大(大阪桐蔭高→ロッテ)
太田 椋(天理高→オリックス)
小園海斗(報徳学園高→広島)
▼ ドラフト2位
小幡竜平(延岡学園高→阪神)
野村佑希(花咲徳栄高→日本ハム)
増田 陸(明秀日立高→巨人)
▼ ドラフト3位
野村大樹(早稲田実→ソフトバンク)
林 晃汰(智弁和歌山高→広島)
▼ ドラフト4位
万波中正(横浜高→日本ハム)
山口航輝(明桜高→ロッテ)
石橋康太(関東一高→中日)
濱田太貴(明豊高→ヤクルト)
▼ ドラフト5位
宜保 翔(未来沖縄高→オリックス)
益子京右(青藍泰斗高→DeNA)
水谷 瞬(石見智翠館高→ソフトバンク)
牧野翔矢(遊学館高→西武)
▼ ドラフト6位
田宮裕涼(成田高→日本ハム)
▼ ドラフト7位
羽月隆太郎(神村学園高→広島)
▼ 育成ドラフト
渡邉 陸(神村学園高→ソフトバンク)
中村宜聖(西日本短大付高→ソフトバンク)
黒田響生(敦賀気比高→巨人)
文=BASEBALLKING編集部