プロ初本塁打
ロッテ二軍は8月に入り、ファームで練習や実戦で技術向上を図る若手野手陣の奮闘が目立つ。
育成ドラフト4位・村山亮介は3日の西武戦、0-1の6回一死走者なしの場面で、出井敏博が0ボール1ストライクから投じた外角の147キロストレートを右中間へプロ第1号となる本塁打を放った。11日の巨人戦では、2-4の2回無死走者なしの第1打席、エース・菅野智之が1ストライクから投じた2球目の真ん中147キロストレートを弾丸ライナーでレフトスタンドに放り込んだ。
村山は今年4月に行ったオンライン取材で、「長打力が売りなので、ピッチャーのまっすぐのタイミングにしっかり合わせられるようなバッターになりたい。そこから変化球の対応とかやることはたくさんあるんですけど、打者はそういうところを目指してアピールできればいいなと思います」と意気込んでいたなかで、プロ第1号、第2号はいずれもストレートを捉えた。
育成2年目の谷川唯人も11日の巨人戦でプロ初本塁打。4-4の4回一死一、三塁の第2打席、昨季一軍で二桁勝利を挙げた左腕の高橋優貴が1ボールから投じた2球目の143キロのストレートをレフトスタンドにプロ第1号3ラン。これが決勝点となった。
谷川は腕の位置を下げたり、上げたりと打撃フォームに試行錯誤しながら、その時自分にあった形で試合に挑んでいる。打撃の課題について6月に行ったオンライン取材で「練習と試合は違うので、練習のときにまっすぐをどれだけ打てても、試合で対応できなかったら意味がない。試合ではまっすぐをしっかりセンターに打ち返すというところと、打率が下がる原因として三振が多かった。まっすぐ空振りというより、ボール球を振って自分が追い込まれるという形が多かった。ボール球を振らないようにというのを一番の課題としてやっていました」と話している。
将来の長距離砲候補
谷川と同じ高卒2年目の西川僚祐、山本大斗の“将来の右の長距離砲候補”も、確実性が上がってきた。
西川は開幕から23打席無安打と苦しいスタートとなり、4月終了時点で打率.133(60-8)、0本塁打、5打点と苦しんだが、5月以降は打率.298(161-48)、5本塁打、27打点。6月は月間打率.311(45-14)をマークし、8月もここまで月間打率.321(28-9)だ。
7月は月間10打点を挙げ、同月1日のDeNA戦で0-1の9回に砂田毅樹からレフトへ逆転2ランを放てば、8日の西武戦では十亀剣からレフトスタンドに満塁本塁打を放った。11日の巨人戦では東海大相模の先輩・菅野から第2打席にレフトへ適時二塁打を放っている。
7月30日に支配下選手登録となった山本は、ここまでファームでチームトップの8本塁打。7月6日の楽天戦から8日の西武戦にかけて3試合連続本塁打を放った。山本は試合を決める重要な場面での一発が多い。
7月6日の楽天戦では4-4の11回に決勝3ラン、7月8日の西武戦は0-0の7回に先制ソロ、7月27日のヤクルト戦では2-3の8回にレフトへ弾丸ライナーの逆転2ラン。さらに今季初めて1試合2本のアーチを描いた8月14日のヤクルト戦では、3-4の9回に一時同点となる本塁打を放った。
7月27日、8月14日のヤクルト戦はいずれも一軍で実績のある石山泰稚から本塁打を打っているが、昨年8月にプロ入り後初めて一軍の試合に出場したエキシビションマッチでは「ちょっと打ちたいという欲がありすぎました。正直あんまり覚えていなくて、なんで振ってしまったのかなと」と、石山の前に高めのストレートに2球連続で手を出し空振り三振に倒れていた。この1年で成長した姿を見せている。
若い選手たちがファームでメキメキと力をつけてきている。村山と谷川は育成選手のため一軍出場ができないが、西川と山本は支配下選手のため、一軍に出場できる挑戦権はある。安田尚憲や山口航輝は2年目までみっちりとファームで鍛え、3年目に一軍に定着したが、西川と山本もファームで経験を積んで来年の春から一軍で勝負となるのか。それとも、チーム状況によっては一軍で経験を積む機会が訪れるのか。今後の育成方針を含めて、起用法にも注目していきたい。
文=岩下雄太