自己最長の9試合連続「4番」
頼みの助っ人コンビ、ブランドン・レアードとレオネス・マーティンの不調により、苦戦を強いられている今季のロッテ。
そんな中、ここに来て新たな打線の軸として注目を浴びている選手がいる。8月19日から「4番」に固定されている、高卒4年目の山口航輝だ。
現在のところ9試合連続で「4番」として出場しており、これは自己最長。実績ある井上晴哉の復帰後も打順は不動で、井口資仁監督ら首脳陣からの大きな期待感が垣間見える。
2018年のドラフト4位で指名を受け、高卒2年目までは一軍出場ゼロ。それでも、昨季のキャンプとオープン戦で結果を残し、開幕スタメンを掴み取ると、その試合でプロ初安打をマーク。出場9試合目に初アーチも記録するなど、一時はスタメンに定着していた。
ところが、シーズン通してその勢いを維持することはできず、78試合の出場で打率.207(203-42)と苦戦。それでも、チームの日本人選手では2位タイとなる9本塁打を放ち、長距離砲の片鱗を見せた。
今季は新型コロナ陽性による離脱期間もあって、出場試合は74試合に留まっているものの、すでに昨季と並ぶ9本塁打を記録。打率も.260(219-57)と、確実性も身についてきた印象がある。
ロッテの残る試合数は28。このまま起用が続けば、自身初の2ケタ本塁打到達はほぼ確実だろう。
高卒生え抜きの2ケタ本塁打は2014年が最後
ロッテの生え抜き高卒選手による2ケタ本塁打到達は、2014年の今江敏晃が最後。それから7年間も誕生していない。
ちなみに、ロッテより広い球場を本拠地としている球団でも、中日は福田永将(2019年)、阪神も中谷将大(2017年)、そして日本ハムでも近藤健介(2021年)が、生え抜きの高卒選手として2ケタ本塁打を記録している。
直近7年で生え抜き高卒選手が2ケタ本塁打を記録していないのは、12球団でもロッテだけだ。
ドラフトで高卒の野手を獲得していないわけではない。近年のドラフト1位だけを見ても、平沢大河(2015年)に安田尚憲(2017年)、藤原恭大(2018年)、そして松川虎生(2021年)と、むしろ高卒野手が多いくらいだ。
とくに平沢や安田、藤原といった3人は、ドラフト1位で競合抽選になったほどの有望株。そんな彼らが誰ひとりとして2ケタ本塁打を達成していないのは、少し寂しいところもある。
現在ロッテは5位だが、3位のオリックスとは4ゲーム差。最終盤の追い上げ次第では、クライマックスシリーズ出場も十分にあり得る。上位進出のためにも、山口の長打力は欠かせない。
大事な試合での一発は、チームを上位に導く原動力となるとともに、山口本人の大きな自信につながっていくはず。来季以降、20本塁打、そして30本塁打と数を伸ばしていくためにも、残り試合での大暴れに期待がかかる。
文=BASEBALLKING編集部