2022年10月7日の16時33分、ロッテから「監督就任の件」というプレスリリースが届いた。メールをクリックすると、それは吉井理人氏の一軍監督就任の報せだった。吉井監督就任に続いて1分もたたないうちに、福浦和也氏の一軍ヘッド兼打撃コーチ就任のプレスリリースが送られてきた。
10月2日に井口資仁監督の辞任が発表されてから、5日に鳥越裕介二軍監督、木村龍治投手コーチ、河野亮打撃コーチ、清水将海バッテリーコーチ、的場直樹戦略コーチ兼バッテリーコーチ補佐、6日に川越英隆二軍チーフコーチ、そして7日に森脇浩司ヘッドコーチ兼内野守備コーチ退団が発表されるなど、ネガティブなニュースが相次いだ。SNSなどを中心に来季以降のロッテを心配、不安視する声が多かったなかで、7日夕方に吉井監督就任が発表され、一気に歓喜に沸いた。
吉井監督は球団を通じて「(就任要請に)ただ、ただ驚いています。これまでコーチとしての役割ということで勉強をしながらやってきましたが、これからは全体のマネジメントを任される立場になるということで身が引き締まる思いです。基本的には選手のパフォーマンス向上と人間力の向上の2つを上げること。そして最終的には勝つこと、10月に大舞台に立てることを目指していきます」とコメントした。
吉井氏は19年から3年間ロッテの一軍投手コーチを務め、今季は「ピッチングコーディネーター」という役職でチームを支えた。吉井氏が投手コーチ時代の20年、21年には最強のブルペン陣を構築し、2年連続2位となった。
20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン開幕が遅れるなど、投手陣の調整が難しかったことに加え、大事なシーズン終盤を見据えて、3連投、1週間に4試合以上登板が非常に少なく、1週間の登板数をしっかり管理。
同年6回終了時点でリードした試合は44勝3敗1分。19年はイニング別失点で8回が最も多い87失点だったが、リリーフ陣を補強した20年は8回の失点数が47と減少した。ジャクソン退団後は苦しい台所事情となったが、唐川侑己、ハーマン、澤村拓一、益田直也の勝利の方程式が確立した。
翌21年は開幕から勝利の方程式が固まらず、4月が終了した時点で、6回終了時にリードしていながら逆転され敗れた試合は3度あった。それでも、5月以降は調子の良い投手を勝ちパターンで起用し、開幕直後はビハインドゲームを中心に存在感を示していた佐々木千隼は徐々に序列を上げていった。
東京五輪明けの後半戦は、7回・国吉佑樹、8回・佐々木千隼、9回・益田直也の勝利の方程式を確立。6回終了時点でリードした試合の試合は49勝5敗6分で、4月24日のソフトバンク戦から9月5日の日本ハム戦にかけて引き分けを挟んで28連勝ということもあった。
国吉は益田が3連投中だったときに勝ち試合の最後で投げ、佐々木が連投中のときには8回のマウンドにあがった。佐々木はシーズン通して1度も3連投、1週間に4試合以上の登板がなく、フレッシュな状態で登板することができた。益田はビハインドゲームでの登板は1度もなし。
特に2021年は、“勝利の方程式”と呼ばれる投手たちをチームの勢いをつけるために、1点、2点を追う展開で投げさせるということがほとんどなかった。
2年連続2位に入った昨季は救援陣の働きが大きかったが、延長12回制が3年ぶりに復活となった今季、延長戦の成績は5勝10敗1分、8回の失点はイニング別では3番目に多い67失点、守護神がシーズン途中に益田直也からオスナに変更、新型コロナウイルス感染による離脱者も多く“これがロッテの勝利の方程式”という形を最後まで作れなかった。
また3連投した投手は今季オスナだけだったが、安定した投球が続くと東條大樹、唐川、西野勇士など勝ちパターンを務める投手に依存する傾向が強く、ビハインドゲームでも登板するなど登板数が増え、疲労からか打ち込まれる場面もあった。その逆にビハインドゲームで投げることの多かった中村稔弥、八木彬などは2週間近く一軍登板がない時期もあった。今季は、投手運用という部分で苦労することが多かった印象だ。
投手コーチ時代、“投手運用”に定評のあった吉井氏には、今季最後まで固まらなかった“勝利の方程式”をはじめとした救援陣を、投手コーチとともにどう運用していくのか非常に注目だ。もちろん、野手を含めたチーム全体のマネジメントをどのようにしていくのかも見どころのひとつ。2025年に常勝軍団になるため監督を託された吉井氏のもと、来季どんな戦いを見せるのか、ワクワクしているマリーンズファンも多いのではないだろうか。
文=岩下雄太
10月2日に井口資仁監督の辞任が発表されてから、5日に鳥越裕介二軍監督、木村龍治投手コーチ、河野亮打撃コーチ、清水将海バッテリーコーチ、的場直樹戦略コーチ兼バッテリーコーチ補佐、6日に川越英隆二軍チーフコーチ、そして7日に森脇浩司ヘッドコーチ兼内野守備コーチ退団が発表されるなど、ネガティブなニュースが相次いだ。SNSなどを中心に来季以降のロッテを心配、不安視する声が多かったなかで、7日夕方に吉井監督就任が発表され、一気に歓喜に沸いた。
吉井監督は球団を通じて「(就任要請に)ただ、ただ驚いています。これまでコーチとしての役割ということで勉強をしながらやってきましたが、これからは全体のマネジメントを任される立場になるということで身が引き締まる思いです。基本的には選手のパフォーマンス向上と人間力の向上の2つを上げること。そして最終的には勝つこと、10月に大舞台に立てることを目指していきます」とコメントした。
投手コーチ時代に最強のブルペンを構築
20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン開幕が遅れるなど、投手陣の調整が難しかったことに加え、大事なシーズン終盤を見据えて、3連投、1週間に4試合以上登板が非常に少なく、1週間の登板数をしっかり管理。
同年6回終了時点でリードした試合は44勝3敗1分。19年はイニング別失点で8回が最も多い87失点だったが、リリーフ陣を補強した20年は8回の失点数が47と減少した。ジャクソン退団後は苦しい台所事情となったが、唐川侑己、ハーマン、澤村拓一、益田直也の勝利の方程式が確立した。
翌21年は開幕から勝利の方程式が固まらず、4月が終了した時点で、6回終了時にリードしていながら逆転され敗れた試合は3度あった。それでも、5月以降は調子の良い投手を勝ちパターンで起用し、開幕直後はビハインドゲームを中心に存在感を示していた佐々木千隼は徐々に序列を上げていった。
東京五輪明けの後半戦は、7回・国吉佑樹、8回・佐々木千隼、9回・益田直也の勝利の方程式を確立。6回終了時点でリードした試合の試合は49勝5敗6分で、4月24日のソフトバンク戦から9月5日の日本ハム戦にかけて引き分けを挟んで28連勝ということもあった。
国吉は益田が3連投中だったときに勝ち試合の最後で投げ、佐々木が連投中のときには8回のマウンドにあがった。佐々木はシーズン通して1度も3連投、1週間に4試合以上の登板がなく、フレッシュな状態で登板することができた。益田はビハインドゲームでの登板は1度もなし。
特に2021年は、“勝利の方程式”と呼ばれる投手たちをチームの勢いをつけるために、1点、2点を追う展開で投げさせるということがほとんどなかった。
2年連続2位に入った昨季は救援陣の働きが大きかったが、延長12回制が3年ぶりに復活となった今季、延長戦の成績は5勝10敗1分、8回の失点はイニング別では3番目に多い67失点、守護神がシーズン途中に益田直也からオスナに変更、新型コロナウイルス感染による離脱者も多く“これがロッテの勝利の方程式”という形を最後まで作れなかった。
また3連投した投手は今季オスナだけだったが、安定した投球が続くと東條大樹、唐川、西野勇士など勝ちパターンを務める投手に依存する傾向が強く、ビハインドゲームでも登板するなど登板数が増え、疲労からか打ち込まれる場面もあった。その逆にビハインドゲームで投げることの多かった中村稔弥、八木彬などは2週間近く一軍登板がない時期もあった。今季は、投手運用という部分で苦労することが多かった印象だ。
投手コーチ時代、“投手運用”に定評のあった吉井氏には、今季最後まで固まらなかった“勝利の方程式”をはじめとした救援陣を、投手コーチとともにどう運用していくのか非常に注目だ。もちろん、野手を含めたチーム全体のマネジメントをどのようにしていくのかも見どころのひとつ。2025年に常勝軍団になるため監督を託された吉井氏のもと、来季どんな戦いを見せるのか、ワクワクしているマリーンズファンも多いのではないだろうか。
文=岩下雄太