悔しい1年に
「チームに全く貢献ができなかったので、とても悔しいシーズンになったと思います」。
ロッテの佐々木千隼は、2022年シーズンをこう振り返った。プロ5年目の昨季は開幕直後、ビハインドゲームでのロングリリーフを担当していたが、結果を残し続け序列を徐々に上げていき、6月3日の中日戦から勝ちパターンに組み込まれ、初めてオールスターにも出場。東京五輪明けの後半戦からは、勝ちパターンの8回を任され、プロ5年目で初めて最後まで一軍で投げ抜き、54試合、8勝1敗、26ホールド、1セーブ、防御率1.26の成績を残した。
今季も“勝利の方程式”の一角として期待されたなかで、開幕は出遅れ復帰してからも好不調の波が大きく23試合に登板して、2勝3敗1ホールド、防御率6.39に終わった。
昨年は11月までシーズンを戦い、シーズンオフが短かったことも苦戦した原因の一つか問うと佐々木は「う〜んどうですかね、そこは感じてはないですね」と返ってきた。
では、どこがうまくいかなかったのかーー。
「コンディショニング不良とかあったので、そこからなかなかいい感覚で投げられずにズルズルときてしまった。どこかでいい感覚を取り戻したらよかったんですけど、終わってしまった。すごく悔しいですね」。
今季は投球フォームを見ても4月30日の楽天との二軍戦では、走者がいない場面でもゆったりした投球フォームではなくクイック気味で投げたり、7月10日のオリックス戦では左足の上げ方を変えていたり、8月20日の楽天戦でも左足の上げ方を微妙に変えているように見えた。投球フォームに試行錯誤していたことも、うまくいかなかった原因に繋がっているのだろうかーー。
「そうですね、色々と試しながらいいきっかけになればいいかなと思いながら、色々と試しながらやっていただけですね」。
継続して活躍することの難しさ
悪かったときばかりではない。5月17日の楽天戦では1-3の7回に登板し、3番・浅村栄斗から始まる打順も浅村を左飛、4番・島内宏明を遊ゴロ、5番・マルモレホスを3ボール2ストライクから最後は低めに落ちる121キロのスライダーで空振り三振、クリーンナップをわずか14球で料理。その裏、打線が5点を奪い勝利投手になった。7月23日の日本ハム戦でも4-5の4回から登板し1イニング目を無失点に抑えると、直後の5回表に井上晴哉、レアードの連続ソロで勝ち越し、2イニング目となった5回裏も無失点に抑えた。
佐々木が良かったときは、右打者のアウトコース、左打者のインコースにストレートがビタっと決まり、テンポよく打者を打ち取っている。
「テンポよく投げられているときは、自分が思った球を投げられているときはいいかなと思います」と話しながらも、「それもなかなかできなかった。自分のテンポで投げることができなくて苦しい展開になってしまった」と反省の言葉が並んだ。
今季は佐々木本人にとって悔しいシーズンとなり、改めて“継続”して活躍する難しさを知った1年にもなった。
「やっぱり継続するのは難しいなと感じましたし、継続できている人、何年も継続している人は改めてすごいなと思いましたね」。
シーズン5位に終わったチーム、そして佐々木自身にとっても巻き返しを図るべく、来季に向けて新たなスタートを切っている。「秋季練習からしっかり体を鍛えて、課題も見つめ直して吉井監督のもとでまたチームに貢献できるように頑張りたいという思いです」。
佐々木を応援するマリーンズファンは多い。特に昨年は故障に悩み、苦しんだ時期を乗り越え、一軍という舞台で勝負し続けた姿を喜んだマリーンズファンは多かったはず。私もその一人だ。来年、吉井理人新監督のもと、再び一軍で居場所を掴み取り、マリンスタジアムのマウンドで躍動する姿、そして登場曲をたくさん聴かせて欲しい。
取材・文=岩下雄太