金村氏は「全員がMVP」
『SMBC日本シリーズ2022』は30日に神宮で第7戦が行われ、オリックスが5-4で勝利。
3戦未勝利から怒涛の4連勝でシリーズを制し、26年ぶりの日本一に輝いた。
初戦はエース・山本由伸がシーズン中には見られなかったような苦戦を強いられ、しかも故障により途中降板。想定外のスタートとなると、2戦目は3点リードを守り切れずに引き分け。負けはしなかったものの、“勝ちを逃した”印象の方が強かった。
1日空けてホームで臨んだ第3戦も、宮城大弥で落として3戦未勝利。30日放送のCSフジテレビONE『プロ野球ニュース』に出演した平松政次氏も、「あのままヤクルトのシリーズになるかなと思った」と語る。
ところが、第4戦を1-0で逃げ切ると、第5戦は主砲・吉田正尚のサヨナラ2ランで劇勝。勢いのままに神宮での第6戦も完封リレーで快勝すると、一気に4連勝で頂点まで登り詰めた。
オリックスが息を吹き返した要因について、平松氏は「リリーフ陣が整った」点が一番だと強調する。
初戦ではベテランの平野佳寿が村上宗隆に一発を浴び、第2戦では3点リードの9回に阿部翔太が代打・内山壮真に同点3ランを被弾。2試合続けてリリーフ陣が失点を喫した中、終盤戦における不安点を払拭したのが“USJ”の存在だった。
Uは宇田川優希。第4戦では1点リードの5回、一死三塁から登板して見事に火消し。1回2/3を無失点に抑えて勝利投手となると、第6戦ではホールドを挙げ、第7戦でも2イニングを無失点。圧巻の投球でチームに勢いをもたらした。
Sは山﨑颯一郎。第7戦こそホセ・オスナに3ランを浴びたものの、このシリーズは4試合に登板して3ホールドを記録。うち2試合は2イニングを無失点と、早めの継投を強いられる展開の中でもアウトの数を稼ぎ、ベンチの悩みを軽減させた。
そしてJはジェイコブ・ワゲスパック。このシリーズは4試合に登板して1勝3セーブと4つの勝利すべてに関与。打たれた安打はわずかに1本で、第6戦は9球、第7戦も8球でプレッシャーのかかる9回をあっという間に締めている。
このリリーフ陣の奮闘について、同じく番組に出演した金村義明氏は「初戦で山本由伸が故障してしまいましたが、逆にチーム一丸になるキッカケになったのかなと」とコメント。
「シーズン中も奇跡的な勝ち上がり方で優勝しましたけど、山本はその原動力でしたよね。だからこそ、“その分俺たちがやらないといけないぞ”と。MVPはチーム全員にあげたいですね」と語り、逆境を力にまとまりが強くなったのではないかと見る。
“USJ”が勝ちパターンにハマり、ピンチの時にはベテランの比嘉幹貴が颯爽と現れて火消し。周りの奮闘に触発されるように平野や阿部も立ち直った姿を見せ、オリックスのブルペンは戦いを重ねるごとに強固になった。
MVPをはじめ各賞にリリーフ陣の名前はなかったが、彼らの力なしでは26年ぶりの日本一は叶わなかっただろう。
☆協力:フジテレビONE『プロ野球ニュース2022』