火消しの連続も淡々「結果的にそうなっただけ」
日本シリーズでヤクルトを破り、26年ぶりに日本一に輝いたオリックス。宇田川優希ら若手リリーフ投手陣の活躍が注目されたなか、39歳のベテラン右腕・比嘉幹貴も奮投し、ツイッターでは「比嘉さん」がトレンド入りするなど話題になった。
第7戦では5点リードで迎えた8回に山﨑颯一郎がヤクルト打線に捕まり、1点差に追い上げられた一死無走者の場面でマウンドへ。神宮球場が反撃ムードで騒然とするなか、中村悠平とドミンゴ・サンタナを二者凡退で打ち取り、見事に反撃ムードを断ち切った。
「一人ひとり打者を抑えようかなと。それだけです。気持ち的には(山﨑)颯一郎で終わると思ってたので、まさか投げるとは思ってなかった。でも行くってなった以上は、一生懸命頑張ろうかなと思いながら投げてました」
今シリーズではチーム最多タイの5試合に登板し無失点と好投。第1戦は山本由伸の緊急降板後の2番手、第2戦は延長11回の上位打線、第3戦は宮城大弥が招いたピンチ、第5戦も田嶋大樹が招いたピンチでの火消しと、試合の流れが相手に傾きかけている厳しい状況での登板の連続だった。
そんな火消しの連続について、本人は「結果的にそうなっただけで、流れを止めるとか考えてなく、本当にアウトを一つでも多く取って次につなごうと…」と淡々。シーズン同様に目の前の仕事に集中した結果だと振り返った。
今年の日本シリーズは「本当にヤクルトが強くて。めちゃくちゃ強かったので。疲れました。でも良かったです。日本一になれてすごいうれしいです。昨年負けてしまって、みんな悔しかったと思うので。今年こそはという。もちろんリーグ優勝が先の目標だったんですけど、それの次は日本一ということで、それも達成できたので。こんな日が来るとは…というかね。言い方悪いですけど、ずっと弱かったので、嬉しいですね」と喜びを爆発させた。
シリーズで脚光を浴びた宇田川や山﨑颯など、成長著しい若手の活躍に「すごいなと思いながら見てます」と率直な思いも明かしつつ、自身も持ち味を発揮してヤクルト打線を翻弄。「チームで勝てるように“チームブルペン”として頑張ろうと常々みんなでやっているので、結果として日本一になれて良かった」とリリーフ投手陣の結束力をアピールした。
比嘉は12月7日に40歳の誕生日を迎えるが、まだまだ実力健在。来季も一軍ブルペンの精神的支柱として大いに存在感を発揮してくれるだろう。
取材・文=どら増田