首脳陣も認める貢献度
今年7月の支配下昇格から約3カ月…。宇田川優希は日本一に輝いたオリックスの“剛腕リリーバー”として、その名を轟かせた。
8月3日・西武戦で2三振含む三者凡退のデビューを飾ると、同21日以降は13試合連続無失点でレギュラーシーズンを走り抜け、気付けば“勝ちパターン”の一角に。ポストシーズンでは一段と輝きを放ち、クライマックスシリーズ2試合、日本シリーズ4試合をすべて無失点に抑えた。
150キロ超のストレートと、大きく落ちるフォークのコンビネーションはもちろん、イニング跨ぎを厭わないタフさも武器で、試合後半の勝負どころで幾度となく相手打線を制圧。中嶋聡監督と能見篤史投手兼任コーチが、日本シリーズを勝ち抜いた「ポイント」として宇田川の名前を挙げる程の貢献度だった。
やっぱり難しいイニング跨ぎ
日本一という最高の形でシーズンを終え、宇田川は「すごく嬉しい気持ちと、ホッとした気持ちがある」と率直な思いを口にしつつ、「ピンチの場面でこそ自分の投球ができたので、そこは4試合通して良かったかなと思ってます」と、自身の投球を振り返った。
日本シリーズでは4登板のうち、第4戦と第7戦でイニングを跨ぐ好リリーフを見せたが、「基本自分は1イニングかなと思って投げている」そうで、イニングを投げ終えベンチに帰ってから“続投”を知らされ、自軍の攻撃中に気持ちを作り直しているとのこと。
「体力面は大丈夫だけど、その後の気持ちの作り方が難しいかなって。高山投手コーチには『インターバルの時間を上手く使えよ』と言われて、その前の回を本当に“無し”にして、また1イニングという風に投げている」
そんなタフネス右腕も、京セラD大阪での最終戦となったシリーズ第5戦はベンチ入りメンバーから外された。緊張状態で登板を続けていたことで精神的な消耗もあったようで、神宮での第6・7戦を前に休養日を確保したことで「本当にリフレッシュできて、また頑張ろうという気になれた」という。
堅実に課題を見つめる守護神候補
レギュラーシーズンでは19試合に登板し防御率0.81と、短期間に強烈なインパクトを残したが、大卒2年目の宇田川は来季の新人王資格も保有している“ルーキー”。
「今年は勢いでいった部分もありますけど、来年は前半から開幕一軍を目指して、このオフシーズン頑張ろうと思っています。前半から(一軍に)いたら難しい部分もたくさん出て来ると思う。体力面がいちばんの課題になると思うので、いつでも投げられるような体づくりをしたい」と、シーズン終了と同時に自己分析し、早速オフの課題克服を見据えている。
あくまで次なる目標は開幕一軍。まだフル稼働した経験がないだけに、これぐらいの目標値がちょうどいいのだろう。近未来の守護神候補として2023年をさらなる飛躍の年にしたい。
取材・文=どら増田