ニュース 2022.11.19. 10:30

ロッテ、“勝利の方程式”を固定できず…今季のリリーフ陣を振り返る

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ソフトバンク移籍が決まったロベルト・オスナ (C)Kyodo News

開幕直後は苦労も…


 「3.46」。この数字は今季のロッテの救援防御率だ。

 昨季は開幕直後、守護神・益田直也につなぐリリーフの部分で苦労したが、東京五輪明けから7回・国吉佑樹、8回・佐々木千隼、9回・益田という勝ちパターンを確立し、2年連続2位入りを果たした。もちろん、その前を投げる唐川侑己、小野郁、東妻勇輔らが支えていたことも忘れてはならない。

 今年に向けては2位入りに大きく貢献した投手たちに加え、新外国人のゲレーロ、トミー・ジョン手術から復活を目指す西野勇士、若手の成田翔、土居豪人、横山陸人、新人の廣畑敦也、八木彬などが一軍に割って入れば、昨季以上に安定したブルペン陣が形成されるのではないかと予想された。

 開幕すると、唐川、佐々木千が出遅れ、国吉も状態が上がらず、勝ちパターンだけでなく、リリーフ陣全体の運用に苦労。特に4月終了時点で1勝5敗1分と延長戦でほとんど勝てなかった。ただ昨年も開幕直後は救援陣が不安定で、春先ロングリリーフで結果を出していた佐々木千が東京五輪明けに勝利の方程式に入った例もある。

 今季も開幕から東條大樹と小野が存在感を示していた。東條と小野は開幕直後ビハインドゲーム、同点の場面を中心に投げ、東條は3・4月11試合・9イニングを投げて0勝1敗3ホールド、防御率2.00の成績を残し、小野も3・4月は8試合・7回1/3を投げて3ホールド、防御率1.23。

 東條は5月4日の西武戦から勝ち試合の7回を担当するようになり、小野も5月4日の西武戦で今季初めて3点差以内でリードしている勝ち試合の6回に登板した。小野はその後、先発が5回で降板したあとの勝ち試合の6回、東條が連投中のときには勝ち試合の7回、大量リードした場面の9回、1、2点ビハインドの展開で登板など、様々な場面でマウンドに上がった。

 開幕直後はゲレーロ、西野勇士の2人が8回を担当していたが、ゲレーロが4月19日の西武戦から5月27日の阪神戦にかけて12試合連続無失点に抑え、守護神・益田が連投中のときには勝ち試合の9回を任されるなど、“8回の男”を掴みとったかのように見えた。

 そこに、メジャー通算155セーブの実績を持つオスナが6月9日に入団。6月24日のオリックス戦で来日初登板を果たすと、6月26日のオリックス戦で2-2の11回に登板し、その裏に髙部瑛斗がサヨナラ打を放ち移籍後初勝利。7月6日の日本ハム戦で初めて勝ちゲームの5-4の8回に登板した。この登板以降は、オスナが8回を投げ、7月19日の西武戦では守護神・益田が連投中でベンチ外だったこともあり、5-3の9回にマウンドにあがり来日初セーブをマークした。

 ビハインドゲームでも勝ちパターンの東條を投入するなどシーズン終盤に疲労が出ないかという不安点はあったが、オールスター前に6回・小野、7回・東條、8回・オスナ、9回・益田の勝ちパターンを構築。この4人の誰かが連投となれば、西野、ゲレーロも勝ちパターンに組み込まれ、7月19日の西武戦では8回・ゲレーロ、9回・オスナで逃げ切る形もできた。6月4日終了時点に首位と10あったゲーム差も、オールスター前に2.5ゲームまで縮めた。勝率1位でのリーグ優勝に向けて、リリーフ陣の形ができたと思われたが…


コロナ禍、守護神交代、勝利の方程式を固定できず


 オールスター前の7月25日に東條、勝ち試合やビハインドゲームなどで登板していた西野も7月26日に新型コロナウイルス陽性判定を受け、特例2022で一軍登録抹消。東條に代わってオールスターに出場した小野が夢舞台で抜群の投球を見せ、勝ち試合の7回は小野やゲレーロが務めれば、なんとかなると思われた。実際、オールスター明けの初戦となった7月29日のオリックス戦、6-4の6回から小野、7回・ゲレーロ、8回・オスナの継投で9回を迎えた。

 8-5の9回は守護神・益田がもちろんマウンドへ。先頭の中川圭太にセンター前に運ばれると、吉田正尚に四球で一、二塁のピンチを招き、杉本裕太郎に同点3ランを浴びた。結局試合は延長12回に1点を失い8-9で敗れた。

 翌30日は4-4の7回に佐々木千が杉本、宗佑磨に適時打を浴び敗戦投手に。悪い流れが続いたが、8月2日の楽天戦では7月末にトレードで加入した坂本光士郎が、6-3の7回に登板し1回を無失点に抑え、8回・オスナ、杉本に同点3ランを浴びた以来の登板となった益田もしっかりと締めて後半戦初勝利。

 これで勢いを取り戻していくかと思われたが、翌3日に小野、坂本が新型コロナウイルス陽性判定を受け、特例2022で一軍登録抹消。すぐに一軍復帰したが、ゲレーロも8月4日(5日に一軍復帰)、オスナも8月3日(11日に一軍復帰)に特例2022で一軍登録抹消していた。

 これだけリリーフ陣が離脱すれば、台所事情がかなり苦しくなることが予想される中で、昨季開幕直後に勝ちパターンを務めていた唐川が一軍復帰。打者の手元で小さく曲がるカットボールを中心に打者を打ち取っていく投球スタイルは健在で、6-5の7回に登板した8月19日の楽天戦では、7球全てカットボールで三者凡退に抑えた。

 同日の楽天戦では6-5の9回に益田ではなく、オスナが登板。鈴木大地に安打を許したが、後続を打ち取り逃げ切った。1点リードのなかで7回・唐川、8回・ゲレーロ、9回・オスナの継投で逃げ切った。

 ここから勝利の方程式を固定できなかったのが今季のロッテだった。抜群の安定感を誇っていた唐川は8月、22試合中(昇格した3日以降の試合数)半数以上の12試合に登板した影響もあったのか、9月に入ると失点が目立ち、シーズン最終盤の9月23日に一軍登録抹消。ゲレーロも故障により9月11日に一軍登録を抹消された。

 新型コロナから西野が8月23日、東條が翌24日、小野が9月20日復帰し、開幕直後に右肘を手術した岩下大輝も、リリーフ要員で8月24日に一軍登録された。8月20日に一軍登録抹消された益田も9月2日に一軍に戻ってきたが、最後まで“これがロッテの勝利の方程式”という形を作れなかった。


吉井監督の手腕に期待


 3連投した投手は今季オスナだけだったが、安定した投球が続くと東條、唐川、西野など勝ちパターンを務める投手に依存する傾向が強く、ビハインドゲームでも登板するなど登板数が増え、疲労からか打ち込まれる場面もあった。その逆にビハインドゲームで投げることの多かった中村稔弥、八木などは2週間近く一軍登板がない時期もあった。

 2年連続2位に入った昨季は救援陣の働きが大きかったが、延長12回制が3年ぶりに復活となった今季、延長戦の成績は5勝10敗1分、8回の失点はイニング別では3番目に多い67失点、守護神がシーズン途中に益田からオスナに変更、新型コロナウイルス感染による離脱者も多く、投手運用という部分で苦労することが多かった印象だ。

 ただ来季、投手コーチ時代、“投手運用”に定評のあった吉井理人氏が指揮をとる。コーチ時代の20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン開幕が遅れるなど、投手陣の調整が難しかったことに加え、大事なシーズン終盤を見据えて、3連投、1週間に4試合以上登板が非常に少なく、1週間の登板数をしっかり管理。翌21年は“勝利の方程式”と呼ばれる投手たちをチームの勢いをつけるために、1点、2点を追う展開で投げさせるということがほとんどなかった。

 今季最後まで固まらなかった“勝利の方程式”をはじめとした救援陣を、投手コーチとともにどう運用していくのか非常に注目だ。

▼ 主な救援陣の投球成績
東條大樹 59試 4勝4敗30H0S 防2.08
益田直也 52試 1勝2敗8H25S 防3.29
ゲレーロ 49試 3勝3敗24H3S 防3.52
小野 郁 44試 0勝0敗18H0S 防1.99
西野勇士 37試 3勝3敗15H0S 防1.73
廣畑敦也 30試 0勝1敗2H0S 防4.91
オスナ  29試 4勝1敗9H10S 防0.91
佐々木千隼 23試 2勝3敗1H0S 防6.39
八木 彬 22試 0勝0敗0H0S 防3.63
小沼健太 21試 1勝1敗1H0S 防6.04
唐川侑己 17試 2勝1敗8H0S 防5.28
田中靖洋 15試 0勝1敗2H0S 防8.36
岩下大輝 14試 1勝0敗3H0S 防0.55

▼ 3連投した投手(移動日挟む3連投は含まない)
オスナ(7月17・18日のソフトバンク戦・19日の西武戦、8月24・25日の西武戦・26日の楽天戦)

▼ 1週間に4登板以上した投手
小野郁(5月3日〜の週、5月31日〜の週、7月18日〜の週、7月26日〜の週)※7月26日の週はオールスターの連投も含めて1週間に4試合登板
益田直也(6月7日〜の週)
ゲレーロ(6月7日〜の週)
東條大樹(6月7日〜の週、8月29日〜の週)
オスナ(7月18日〜の週)
西野勇士(9月12日〜の週)
岩下大輝(9月19日〜の週)
坂本光士郎(9月19日〜の週)

文=岩下雄太

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