同学年の2人が今季限りで現役引退
今年はストーブリーグが例年以上の盛り上がりを見せている。
FA権を行使した選手は8名。3名だった昨年と比べて倍以上になり、宣言選手が8名以上となったのは、2014年のオフ以来で8年ぶりとなった。
さらに活況なのがトレード。昨オフは1件も成立しなかったのが、今年はすでに6件も成立しているのだ。
そのひとつが、長野久義(広島→巨人)の移籍。異例ともいえる“無償トレード”だったが、報道によれば広島サイドの「最後は巨人で」という親心とも受け取れる配慮もあったと言われている。
今季はキャリアワーストとなる58試合の出場に留まり、打率.211(123-26)で3本塁打という苦しい戦いに。その恩に報いることはもちろん、古巣への復帰をキッカケに最後のひと花を咲かせたいところだろう。
今年12月で38歳になる長野は、プロ野球の世界においては大ベテランになる。
同学年の坂口智隆と嶋基宏は今季限りで現役を引退。この1984年生まれ世代では、長野が“現役最後の野手”となった。
年齢を考えると多くを求めるのは少し酷かもしれないが、この世代にはまだまだ一軍の戦力として奮闘している選手がいる。
期待される「存在感」
現役の1984年生まれ世代(1984年4月2日~1985年4月1日生)の選手を調査すると、戦力外となった増井浩俊のほかに、岸孝之(楽天)と谷元圭介(中日)がいる。
岸は田中将大に次ぐチーム2位の141回を投げ、同3位の8勝をマーク。防御率も3.19と安定した投球で試合を作り、先発ローテーションを守ってきた。来季も計算の立つ先発投手として、活躍に期待がかかる。
谷元は確固たる勝ちパターンではなかったものの、中継ぎとして34試合に登板。移籍後初セーブを挙げるなど、0勝0敗1セーブ・6ホールド、防御率2.61とその役割を十分に果たした。
今季の長野は不本意な成績に終わってしまったが、投手と野手の違いこそあれど、同学年の2人が立派に一軍で結果を残しているという点は刺激になるはず。
巨人で外野のレギュラーを奪うことは決してかんたんではないが、代打の切り札として控えれば相手に与える脅威は大きく、主力を休ませる際の“第4の外野手”としても頼もしい限り。加えて若い選手のお手本としてもこれ以上ない存在で、チームに貢献できることはたくさんある。
古巣に戻った長野がどんな形で存在感を発揮するのか。来季の巨人の注目ポイントとなりそうだ。
文=BASEBALLKING編集部