3年目をパイレーツで迎えた筒香嘉智

◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2022年:第6回・筒香嘉智

 今季がメジャー3年目だった筒香嘉智は、『パイレーツの4番打者』として開幕戦を迎えた。

 前年は1シーズンの間に3球団を渡り歩き、3球団目のパイレーツで復活の兆しを見せた日本の大砲。3年目の躍進を胸に、今季は春先からその打棒が炸裂する。

 開幕戦で3打数2安打の好発進を決めると、2戦目も4打数2安打で2打点。かつてない最高のスタートダッシュを決めた……かに見えた。

 ところが、その後は深刻な打撃不振に陥り、4月下旬には早くも打率が1割台に下降。5月9日に一度は2割台まで戻したものの、すぐに1割台へと戻り、最終的には.171でシーズンを終えた。

◆ 『バレル率』に課題

 8月に自由契約となり、日本プロ野球復帰の噂もあった中、筒香が選択したのはブルージェイズとのマイナー契約だった。

 3Aではパイレーツ所属時も含めて計38試合に出場。打率.301で7本塁打・30打点と自慢の打力をアピールしたが、移籍後のメジャー再昇格は叶わず。そのまま渡米3年目の戦いを終えている。

 筒香がDeNA時代からウリにしていたのが、“パワー”と“選球眼”。アメリカに渡ってからも、1年目と2年目は限られた出場機会の中でも2年連続で8本塁打を放ち、出塁率も3割台を維持していた。

 ところが、3年目の今季はわずか2本塁打に留まり、出塁率も.249まで低迷。特に本塁打が激減した理由は、『バレル率』を見ても明らかだ。

 バレルとは、打者にとって「打球の初速と打球角度の理想の組み合わせ」を指す。初速は速ければ速いほど良く、角度は26度から30度が本塁打の出やすい角度と言われている。

 筒香のメジャー3年間のバレル率を1年目から順に並べていくと、「9.3%」→「6.9%」→「5.6%」と右肩下がり。長打をウリにしている選手であれば、少なくとも10%台にはのせておきたいところだが、これまで一度も到達したことはない。

◆ 特に深刻だった“角度”

 初速と角度のうち、今季特に課題になったのが打球角度だった。

 1年目からの平均角度の推移は「17.2度」→「17.1度」→「10.1度」。今季はとにかく打球が上がらなかったことが分かる。

 初速は「90.2キロ」→「89.6キロ」→「88.8キロ」とほぼ横ばいだったことを考えれば、ひとえに本塁打の減少は打球に角度をつけられなかったことが大きかったと言えるだろう。

 来季は31歳で開幕を迎える筒香。年齢的にも苦しい立場であることは明らかで、メジャーを目指すのであればまずマイナーで結果を残さなければならない。

 FAとなった今、再びメジャーを目指すのか。はたまた日本復帰という選択肢もあるのか。その動向にも注目が集まる。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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