ロッテの小野郁は、先発投手が5回で降板したあとの勝ち試合の6回、東條大樹が連投中のときには勝ち試合の7回、大量リードした場面の9回、1、2点ビハインドの展開で登板など、様々な場面でマウンドに上がった。投げる場面が決まっている“勝利の方程式”の投手に比べると、やや大変なポジションではあったが、44試合に登板して18ホールド、防御率1.99と結果を残した。
3・4月終了時点で8試合・7回1/3を投げて、失点は4月16日の日本ハム戦でアルカンタラに浴びた本塁打による1失点のみ。小野は益田直也から「(アルカンタラに)スライダーを打たれたのですが、“あれだけ速い球があるんだから、しっかりまっすぐで勝負できる。お前はしっかりまっすぐを投げていけ”と言われました」とアドバイスをもらい、続く4月22日のオリックス戦から5月14日のオリックス戦にかけて9試合連続無失点に抑えた。
「気持ちの持ち方、試合の入り方、先頭打者の入り方。去年の失敗が今年いきていると思います」と、昨年は“勝ち試合”で登板した際に苦しい投球が目立ったが、今季初めて同点の場面での登板となった4月6日の日本ハム戦、宇佐見真吾、上野響平、野村佑希ともに3ボール2ストライクとなったが、四球を出すことなく3人で抑えた。
「大きく変わったことはないですけど、自分の持ち味をいかして、1個ずつ、まずは1個ずつ。3人で抑えるとかじゃなくて、目の前の一人のバッターに対してしっかり向き合ってやっていけているのかなと思います」。今季は勝ち試合の登板でも、ビハインドゲームの登板と同じように安定した投球を披露。
5月4日の西武戦で7-4の6回、今季初めて3点差以内でリードしている場面でマウンドにあがり、高木渉をオールストレートで3球三振、山田遥楓を縦のスライダーで空振り三振、柘植世那もスライダーで見逃し三振と、圧巻の三者連続三振。5回に先発・河村説人が4点を失い、直後の6回表の攻撃が三者凡退に終わり、流れが西武に傾きかけたなかで見事な投球だった。
同日の登板を境に小野は勝ち試合の6回や、東條が連投中の時は勝ち試合の7回を任された。前半戦は38試合・35イニングを投げて、0勝0敗15ホールド、防御率1.80の成績を残した。
今季1年通してストレートが抜群に良かった。4月27日の楽天戦3-3の8回一死走者なしで島内を見逃し三振に仕留めた152キロの外角ストレート、6月19日の日本ハム戦4-1の6回無死走者なしで石川亮を空振り三振に斬ってとった156キロの外角ストレートは素晴らしかった。
今季の小野は4月6日の日本ハム戦で宇佐見真吾、5月8日のソフトバンク戦で中村晃、5月11日の楽天戦で島内宏明、5月22日のソフトバンク戦で野村勇、甲斐拓也、7月9日のオリックス戦で吉田正尚にクイック気味に投げ、打者のタイミングをずらし工夫を凝らした。
走者がいない場面でもクイック気味に投げる理由について「たまにしかやっていないですけど…」と前置きをした上で、「そんなに球種がある方ではないので、そういうところから工夫してやっていければ、同じ球種でもタイミングがずらせたりできるのでやっています」と明かした。
「東條さんの事を考えると複雑な気持ちですが、東條さんの分まで頑張ることが出来ればと思っています。地元福岡で開催されるオールスターにもなりますので自分らしく全力投球をしたいです」と新型コロナウイルス陽性判定を受けた東條に代わって出場したオールスターでも、第1戦、1-2の5回に登板すると中野拓夢(阪神)、塩見泰隆(ヤクルト)、近本光司(阪神)を三者連続三振に仕留めた。第2戦も1-1の5回に登板し1回をパーフェクトリリーフ。直後の6回に柳田悠岐(ソフトバンク)がソロ本塁打を放ち、勝利投手に。そのインパクトは間違いなくプロ野球ファンの胸に刻まれたはずだ。
オールスター明けはさらなる活躍が期待されたが、8月3日に新型コロナ陽性判定を受け離脱。様々な局面で投げる小野の不在は大きく、小野の役回りができる投手がいなかったのは結果的にチームにとって痛かった。
3年連続で40試合以上に登板し、今季は自己最多の18ホールド、防御率1.99は移籍後最も良かった。着実にステップを踏んでいる。来季は勝ちパターンの一角で投げるような位置で投げて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太
3・4月終了時点で8試合・7回1/3を投げて、失点は4月16日の日本ハム戦でアルカンタラに浴びた本塁打による1失点のみ。小野は益田直也から「(アルカンタラに)スライダーを打たれたのですが、“あれだけ速い球があるんだから、しっかりまっすぐで勝負できる。お前はしっかりまっすぐを投げていけ”と言われました」とアドバイスをもらい、続く4月22日のオリックス戦から5月14日のオリックス戦にかけて9試合連続無失点に抑えた。
「気持ちの持ち方、試合の入り方、先頭打者の入り方。去年の失敗が今年いきていると思います」と、昨年は“勝ち試合”で登板した際に苦しい投球が目立ったが、今季初めて同点の場面での登板となった4月6日の日本ハム戦、宇佐見真吾、上野響平、野村佑希ともに3ボール2ストライクとなったが、四球を出すことなく3人で抑えた。
「大きく変わったことはないですけど、自分の持ち味をいかして、1個ずつ、まずは1個ずつ。3人で抑えるとかじゃなくて、目の前の一人のバッターに対してしっかり向き合ってやっていけているのかなと思います」。今季は勝ち試合の登板でも、ビハインドゲームの登板と同じように安定した投球を披露。
5月4日の西武戦で7-4の6回、今季初めて3点差以内でリードしている場面でマウンドにあがり、高木渉をオールストレートで3球三振、山田遥楓を縦のスライダーで空振り三振、柘植世那もスライダーで見逃し三振と、圧巻の三者連続三振。5回に先発・河村説人が4点を失い、直後の6回表の攻撃が三者凡退に終わり、流れが西武に傾きかけたなかで見事な投球だった。
同日の登板を境に小野は勝ち試合の6回や、東條が連投中の時は勝ち試合の7回を任された。前半戦は38試合・35イニングを投げて、0勝0敗15ホールド、防御率1.80の成績を残した。
シーズン通してよかったストレート
今季1年通してストレートが抜群に良かった。4月27日の楽天戦3-3の8回一死走者なしで島内を見逃し三振に仕留めた152キロの外角ストレート、6月19日の日本ハム戦4-1の6回無死走者なしで石川亮を空振り三振に斬ってとった156キロの外角ストレートは素晴らしかった。
今季の小野は4月6日の日本ハム戦で宇佐見真吾、5月8日のソフトバンク戦で中村晃、5月11日の楽天戦で島内宏明、5月22日のソフトバンク戦で野村勇、甲斐拓也、7月9日のオリックス戦で吉田正尚にクイック気味に投げ、打者のタイミングをずらし工夫を凝らした。
走者がいない場面でもクイック気味に投げる理由について「たまにしかやっていないですけど…」と前置きをした上で、「そんなに球種がある方ではないので、そういうところから工夫してやっていければ、同じ球種でもタイミングがずらせたりできるのでやっています」と明かした。
オールスターにも出場
「東條さんの事を考えると複雑な気持ちですが、東條さんの分まで頑張ることが出来ればと思っています。地元福岡で開催されるオールスターにもなりますので自分らしく全力投球をしたいです」と新型コロナウイルス陽性判定を受けた東條に代わって出場したオールスターでも、第1戦、1-2の5回に登板すると中野拓夢(阪神)、塩見泰隆(ヤクルト)、近本光司(阪神)を三者連続三振に仕留めた。第2戦も1-1の5回に登板し1回をパーフェクトリリーフ。直後の6回に柳田悠岐(ソフトバンク)がソロ本塁打を放ち、勝利投手に。そのインパクトは間違いなくプロ野球ファンの胸に刻まれたはずだ。
オールスター明けはさらなる活躍が期待されたが、8月3日に新型コロナ陽性判定を受け離脱。様々な局面で投げる小野の不在は大きく、小野の役回りができる投手がいなかったのは結果的にチームにとって痛かった。
3年連続で40試合以上に登板し、今季は自己最多の18ホールド、防御率1.99は移籍後最も良かった。着実にステップを踏んでいる。来季は勝ちパターンの一角で投げるような位置で投げて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太