「1年間一軍でいられるように」
「去年2試合だけ一軍を経験させてもらって、自分の中で悔しい思いをした。3年目絶対やってやろうという気持ちで、オフシーズンもやってきている。3年目はずっと1年間一軍でいられるようにやっていきたい」。
ロッテの山本大斗は、力強く宣言した。山本は20年育成ドラフト3位でプロ入り。この2年間は、みっちりとファームで実戦経験を積んできた。
ルーキーイヤーの2月に「一番の魅力だと思うので、長打力でアピールしていきたいなと思います」と話していた山本は言葉通り、1年目の21年3月20日のDeNAとの二軍戦、プロ初打席で田中健二朗が投じた初球のストレートをライトへ運ぶプロ初本塁打を放つと、同年9月15日の日本ハム戦では「その日の練習でまっすぐが強いから福浦さんに、まっすぐにタイミングを合わせて、それで浮いてきた変化球を打っていくように言われていたので、その通りできたので良かった」と吉田輝星から本塁打を放つなどプロ入り後初となる1試合2ホーマー。1年目はファームで5本のアーチを描いた。
2年目の22年は育成選手ながら春季キャンプA組スタート。開幕前に支配下選手登録は叶わなかったが、7月に6日の楽天戦から3試合連続本塁打を放つなど、月間4本塁打を放ち、7月30日に支配下選手登録を勝ち取った。
支配下選手となってからも、ファームで過ごしていたが、9月30日にプロ初昇格。同日のオリックス戦、2-3の9回一死走者なしで茶谷健太の代打で登場すると、1ボール1ストライクから平野佳寿が投じた3球目の134キロフォーク、4球目の136キロフォーク、いずれもストライクゾーンからボールゾーンに落ちる球に空振りし三振に倒れた。10月2日のソフトバンク戦では、初めてZOZOマリンスタジアムで行われた一軍の公式戦に出場したが、空振り三振に倒れ、一軍では2試合に出場して2打数0安打だった。
それでもファームでは一時イースタン・リーグトップの本塁打数を記録するなど、チームトップの12本塁打を放ち、シーズン終了後の10月に行われたフェニックス・リーグでは4ホーマー。吉井理人新監督からは“ダイナマイト”を命名された。
11月にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では徹底的に振り込み、全体練習終了後にも黙々とロングティーを行っている姿があった。
秋季練習が終わってからも「秋季練習、シーズン中に色々教わっているので、そのおさらい復習しながらやっていました」と、福浦和也ヘッドコーチ兼打撃コーチから教わったことを反復練習。“復習”とは、逆方向へ意識したバッティングだ。
13日に行われたロッテ浦和球場での自主トレでは「とにかく強い打球を打とうと考えてやっていました」とロングティーを行い、「とにかく力強く振るというのはずっとやっていきたいこと、続けていっている感じです」と秋季練習から取り組んでいることを継続。2月1日からアピールするために、しっかりと準備を続けている。
ロッテは昨季チーム本塁打リーグ5位の97本塁打、チーム本塁打トップは山口航輝の16本と長打力が課題。高卒3年目の今季、山本にかかる期待は大きい。
取材・文=岩下雄太