黙々と打撃練習
「しっかり打つことで貢献したいというのはありますし、打ちたいという気持ちが強い」。
ロッテ・藤岡裕大は、強い決意、覚悟を持って今季に向けて準備をしている。プロ5年目の昨季はプロ入り後、自己ワーストの28試合の出場にとどまり、打率も.176に終わった。巻き返しを図るべく、同年10月に行われたZOZOマリンスタジアムでの秋季練習では、グラウンドに一番に現れ置きティーを行う日があれば、全体練習が終わったあと、休むことなく一塁側ベンチ前からライト方向に向かってロングティー。
さらに特打で振り込んだ後、加藤匠馬(オフに中日にトレード移籍)と共にロングティーする日もあった。スタッフに動画を撮影してもらい、自身の打撃をチェックし、チェック後に何かを確認するように素振りする姿を何度も見てきた。
シーズンオフはスイングのフォームを見直すことをテーマに取り組み、打撃フォームも「もっと打ちたいから」という理由で改造。「ちょっと形を変えたり、重さをいじったりしました」とバットも改良した。
2月1日。石垣島春季キャンプが始まってからも、全体練習後の個別練習で黙々とケージで打撃練習する姿をほぼ毎日のように見た。新しい打撃フォームについて2月8日の取材時点で「いい時はいい感じで打てているなという時もありますし、ああちょっと違うなという時もありますし、まだこれからもうちょっと振り込んで形がしっくりくるようにしたいなと思います」と話していた。
あれから約2週間――。今季実戦初出場となった21日の広島との練習試合、0-0の3回一死二塁の第2打席、コルニエルが2ボール2ストライクから投じた高めのストレートを捉え、三塁線を破る適時二塁打を放った。早速、安打という形で結果を残した。
遊撃のレギュラーを目指す
藤岡がレギュラーを狙う“遊撃”は、他の選手たちもポジションを掴もうと連日アピールしている。昨季9月2日のオリックス戦からシーズン最終戦まで、25試合連続で遊撃で先発出場した茶谷健太は、ここまで対外試合の打率.563(19-6)、6打点の活躍を見せる。21日の広島との練習試合でも代打で登場し、2点適時打を放つなど2安打した。
また、ドラフトで毎年のように遊撃の選手を指名し、昨年はドラフト2位で友杉篤輝(天理大)、同5位で金田優太(浦和学院高)、育成3位・勝又琉偉(富士宮東高)、育成4位・黒川凱星(学法石川高)と4人も獲得した。即戦力ルーキーとして期待される友杉は、練習試合でも積極的に遊撃のポジションで起用されるなど、ライバルが増えた。
藤岡は遊撃を争うライバルが増えたことに「そこは気にしていないです。自分のやることをやるだけです」とキッパリ。レギュラーを掴むためには、打つことが重要になってくる。
練習試合、オープン戦で「まずは怪我しないことを第一にやって、その中で与えられたチャンスでしっかり結果を出せるようにやるだけかなと思います」と意気込む。昨季は悔しい1年に終わり、昨年の秋季練習から今季に懸ける想い、必死さがこちらにも伝わってきた。井口資仁前監督が退任し、吉井理人監督が就任した今季、バットで結果を残し、もう一度、レギュラーに返り咲いて見せる。
取材・文=岩下雄太