レギュラー奪取を狙う若手選手にフォーカス!
3月30日に開幕するプロ野球。WBCでは侍ジャパンが3大会ぶり3度目となる優勝を果たしたことで例年以上の盛り上がりが期待できるが、どの球団も望まれるのは新戦力の台頭だろう。そんなレギュラー奪取を狙う若手選手についてフォーカスしてみたいと思う。今回は入団2年目以降の野手について4人の選手をピックアップした。
■ 野口智哉
生年月日:1999年9月20日(23歳)
ポジション:内野手
身長・体重:181cm・90kg
投打:右投左打
出身地:奈良県
所属チーム:オリックスバファローズ
絶対的な主砲だった吉田正尚(レッドソックス)が抜けたオリックス。その穴を埋めるのは簡単なことではないが、若手で期待がかかるのが2年目の野口だ。関西大では新型コロナウイルス感染拡大の影響で3年春のシーズンが中止になりながらもリーグ戦通算100安打を達成。7シーズンで4度のベストナインも受賞している。ルーキーイヤーの昨年は内野手登録ながら外野も含めてあらゆるポジションを守り、35安打を放った。フルスイングの迫力は十分で、今年のオープン戦では打率.364をマークするなど対応力も確実にアップしている印象を受ける。運動能力の高さも魅力で、ショートの深い位置から見せた文字通り矢のような送球でも話題となった。ショートには紅林弘太郎がいるものの、あらゆるポジションを守れるのも魅力だけに、昨年を大きく上回る成績も期待できそうだ。
■ 田村俊介
生年月日:2003年8月25日(19歳)
ポジション:外野手
身長・体重:178cm・93kg
投打:左投左打
出身地:京都府
所属チーム:広島東洋カープ
愛工大名電では1年夏から背番号1を背負い話題となったが、打撃が高く評価されて外野手として昨年のドラフト4位で広島に入団。ルーキーイヤーの昨年はキャンプでもいきなり紅白戦でツーベースを放つなど高卒新人離れした打撃を見せていたが、故障もあって二軍でも目立った成績を残すことができなかった。しかし2年目の今年は一次キャンプから積極的にアピールし、オープン戦でも一軍に帯同。14試合に出場して打率.278、1本塁打と結果を残して見せた。たくましい体格は19歳には見えず、安定したスイングからスムーズに引っ張る打撃は天才と言われた前田智徳を彷彿とさせるものがある。また高校までは投手も兼任していたこともあって、肩の強さも魅力だ。野手陣の世代交代が課題のチームだけに、持ち味の打撃をアピールして一軍定着を狙いたい。
■ 五十幡亮汰
生年月日:1998年11月27日(24歳)
ポジション:外野手
身長・体重:171cm・65kg
投打:右投左打
出身地:埼玉県
所属チーム:北海道日本ハムファイターズ
中学時代は陸上の100メートル、200メートルで全国大会優勝を果たした経験を持つ快速の外野手。高校時代は非力な打撃が気になったが、中央大では年々着実に力をつけ、2020年のドラフト2位で日本ハムに入団している。大学時代にスリーベースの三塁到達でマークした10.58秒というタイムはまさに規格外と呼べるもので、単純な脚力に関しては12球団はおろか、長いプロ野球の歴史の中でもトップと言える存在だ。課題となっているのはとにかく故障が多いこと。過去2年も度重なる故障で長期離脱となり、満足にプレーできている期間は非常に短い。それでもファンからの期待が大きいのは、やはり他の誰も持っていない異次元のスピードがあるからだ。しっかりコンディションを整えて、1年間一軍に帯同することさえできれば、圧倒的な数字で盗塁王を獲得することも十分に期待できるだろう。
■ 古賀悠斗
生年月日:1999年9月10日(23歳)
ポジション:捕手
身長・体重:174cm・86kg
投打:右投右打
出身地:福岡県
所属チーム:埼玉西武ライオンズ
長年チームの扇の要として活躍した森友哉がフリー・エージェントで移籍した西武。そんな中で正捕手定着の期待がかかるのが大学卒2年目の古賀だ。捕手に転向したのは高校2年秋からだが、抜群の強肩とパンチ力で明治神宮大会、選抜高校野球でも活躍。中央大でも1年秋からレギュラーをつかむと、大学ナンバーワン捕手と言われるまでに成長し、2021年のドラフト3位で西武に入団している。1年目の昨シーズンは打率1割台、盗塁阻止も0とプロの壁に苦しんだが、それでも度々ポテンシャルの片鱗を感じさせるプレーを見せている。特に安定したキャッチングと正確なスローイングは十分に一軍レベルにあり、投手の良さを引き出すリード面でも成長を感じさせた。古賀にとってはレギュラー獲得の最大のチャンスと言えるシーズンだけに、攻守にレベルアップした姿を見せてもらいたい。
文=西尾典文(にしお・のりふみ)